セラムン二次創作小説『モテるのも辛いもんだ(外部家族)』


「ほたる、大きくなったらはるかパパと結婚する」


まだ小学生のほたるが、はるかに抱きつきながらそう言った。

どこで覚えて来たのか、嘘でもそう言ってくれる

ほたるにはるかは嬉しくなり、思わず顔が緩む。

隣をチラッと見ると、みちるがほたるの言動を微笑ましく見ていた。そんなみちるにはるかはホッと一安心すると共に、どこか恐怖を覚えた。後が怖いと。


「ありがとう、ほたる。とっても嬉しいよ」

「あー、嘘だって思ってるんでしょ?あたし、本気だからね!」


子供だと思って軽く感謝の言葉を述べると、勘のいいほたるは瞬時に察知して、不貞腐れる。

小さい娘がいる家族は、大抵こんなやり取りをしているのだろうが、本当の家族では無い自分たちには関係ないと何処かはるかはぼんやり思っていた。

しかし、本当の家族以上の絆で結ばれたはるかたちも例外ではなく、誰より普通の事をしたいと願うほたるによって、嬉しいやり取りをする事になるとは思わなかった。


「いつまでそう言ってくれるのかな……」


大きくなり、他に大切な人が出来たら、こんな事を言っていたことすら忘れるだろう。まだ先の事だが、はるかは遠い未来の事を考えて、物思いに耽ってしまった。

それに、もしうさぎがネオクイーンセレニティになる事を選んだとしたら、普通の生活は出来ない。


「ずっと言うよ!あたし、はるかパパ大好きだもん♪」

「僕も、ほたるの事大好きだ」

「わぁい♪」


こう言うところ無邪気で子供っぽくて可愛いなとはるかは思った。


「あら、強力なライバルの出現ね」


台所仕事が終わったせつなの登場だ。


「私も、はるかの妻よ」

「せつなもなのか?」

「ええ、あの日誓ったわよね?」

「ああ、確かに」


会話をしながら、空いていたはるかの左側に腕に手を回しながらせつなはピタッとくっ付いて座った。

その右側には同じ体制のみちる。真ん中にははるかの胸にもたれてスッポリと収まって座っている。


「あらせつな、はるかは私のものよ?」


笑顔でみちるも応戦してくる。


「はるかパパはほたるのものだもん!」

「はるかは私の旦那様よ」

「いいえ、はるかは私の旦那様よ」


ほたるの言葉を歯切りに巻き起こった突然の求婚論争。三人とも笑顔だが、どこか本気のようで恐怖を感じる。

それでも三人に求婚され、はるかは幸せだと心が温まっていくのを感じた。


「おいおい、僕は三人とも愛しているよ」

「そう言うと思ったわ」

「でも、一番はみちるママでしょ?」


知っているのよ。みちるママを見る時は表情全然違うもんと続けてほたるはそう言った。その言葉に、はるかはやれやれ、よく見ているなとバツが悪そうな顔になる。


「三人の気持ちは嬉しいよ」


素直に受け取ろうとはるかは思った。


「やれやれ、仕方ないわね。はるかはみちるのものだって最初から分かっていたわ。でも、たまには私の事も愛してね」

「せつなの事も毎日、愛しているよ」

「そうかしら?足りないわね」

「おいおいせつな、参ったな」

「愛情表現が足りないんじゃなくって、はるか?」

「みちるまで……」


本妻の余裕なのか、せつなに対する愛情表現が足りないとみちるが指摘してきて、はるかはたじろぐ。


「善処します」

「はるか、私の事、愛してる?」

「せつな、愛してるよ」

「はるか、私のことも愛しているわよね?」

「ああ勿論、みちるのことも愛しているよ。ほたるのことも、ね。三人はどうだい?」

「勿論はるか、愛してるわよ」

「ええ、はるか愛してるわ」

「うん、はるかパパだぁい好き♪」


はるか達は、互いに愛を確かめ合い、絆を深めたのだった。

モテると言うもの案外辛いものだとこの日、はるかは幸せを噛み締めた。





おわり




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