セラムン二次創作小説『イルミネーション・デート(ネフまこ)』


「うわぁ~綺麗っ!!!」


弾ける極上の笑顔で感嘆の言葉を漏らすのは俺の彼女である、まことだ。

俺たちは今、外でデート中。


真冬の12月。この時期はクリスマスも近いとあって、街のいたるところにクリスマス・ツリーやイルミネーションの点灯がされてある。


そんな12月の初旬、5日は俺の愛しの彼女の誕生日でもある。

今年は平日で、互いに学校があり一日一緒に過ごす事が叶わない。

まことの為に俺が出来ることを色々考えたが思いつかず、思い切って聞いてみるとクリスマス・ツリーやイルミネーションを色々見たいと言う。


「そんなんで良いのか?」


安っぽい普通のデートに拍子抜けし、不安になった俺はそう質問した。


「そんなんがいいんだ」


どこか寂しそうに笑うまことの顔を見て、俺はハッとした。

そう、まことは今まで普通の人生やデートを楽しんで来なかった。いや、楽しめなかったと言った方が正解か?


小さい頃に両親を亡くしたまこと。

そこから中二までずっと母方の祖父母の元で暮らして来た。

実孫ではあるものの、居候と言う立場故やはり遠慮や肩身は狭く我儘は言い出しにくい環境だったのだろうことは推測出来る。


そして中二。麻布十番へと転校したと同時に戦士として目覚め、凡そ普通の生活とはかけ離れてしまった。

学生と戦士。2足のわらじを履き、いつ襲って来るとも分からない敵に備えていつでも動いてプリンセスを守れるようにしておかなければいけない。勿論、戦闘力を高めておくのも必須だ。

学生だから勉強もしなければいけない。本来の敵はそこだからな。

……まぁ、成績は良くは無いようだが。


そんな生活の中、普通の人が当たり前にやっている事全てを犠牲にして来たまこと。普通の尊さを小さい頃から痛感してきたからこそ、“そんなんがいいんだ”の一言には重みがあって、心に来るものがある。


だからこそ、その願いを叶えてやりたいと今俺は、まことを外デートに連れ回してやっている。

幸か不幸か、まことは一人暮らしだから門限は無いし、俺ははなから家族にどうでもいいと思われているのか遅くなっても何も言われない。

お互い時間には限りは無いから、遅くまでイルミネーションデートを楽しめる。


「まことがいっちばん綺麗だ」


クリスマス・ツリーを眺めていい笑顔をしているまことを見た俺は、単純に思った事が口に出た。

やはり花や木を見ているまことは、何より一番輝いている。

緑が好きなまことの誕生日にクリスマスやイルミネーションと言うイベントがあるのはラッキーだ。


いや、寧ろこう言ったイベントがあるからこの付近にまことが産まれ、緑が好きになったのか?

はたまた緑が好きだから、この時期に産まれたのか?

恐らく両方だな。まことは前世でセーラージュピターだった頃から、自然には興味を持っていた。それこそ、好奇心旺盛なプリンセス以上に。


そんなまことだからこそ、自分自身の誕生日は一年で一番楽しいイベントがあるこの日になったんだ。何て素晴らしい奇跡か!

それなのに今まで普通の生活とは程遠い所にいて、それを楽しむ事が出来づらい環境だったなんて、マジ泣けるぜ!


「バカ、言ってろ!」


小さい声で言ったつもりが、まことに聞こえていたらしい。

頬を赤らめ、照れ臭そうに俺にそう怒ってきた。その顔もまた可愛いんだわ。


「マジだって!やっぱツリー見てるまこと、イキイキしててマブいんだよ」

「やっぱりこう言うの見てると楽しい。勉強になる」

「何で勉強?せっかくのデートなのに」

「刺激になるんだよ!飾り付けとか、勉強になる」


なるほどな。そういう事か。

普通のデートをしたかったのも勿論だろうけど、クリスマス・ツリーを色々見て自分の知識として吸収する事も忘れない。

まだ飾り付けが出来ていない、俺と一緒に育てたもみの木。初めて俺と作った木だからどう飾ろうか考えてくれていたんだな。優しいな、まこと。


「あのもみの木の飾り付けの事か?」

「そうそう、納得した飾り付けがしたいだろ?」


そんなに俺とのもみの木の事を考えてくれているなんて、マジ感動だ。大切に思ってくれていたことを知り、目から雫が……流れてこないけど。目頭が熱くなるもの、込み上げてくるものがあった。


「そんな気張らなくとも普通でいいんじゃねぇか?」

「そうだけど、やっぱり勇人と一緒に飾り付けしたいし」

「そっか、じゃあ後日一緒に飾ろうな!」

「うん」


俺が提案した約束に、今日一番の幸せそうな笑顔が弾けたまことと目が合って、自然に顔が近づいて行った。

まことの柔らかい唇を堪能する。


「まこと、誕生日おめでとう。産まれてきてくれてありがとう」

「ありがとう、勇人。付き合ってくれて、リクエストに応えてデート連れて来てくれてありがとう。楽しかった」

「こんなんで良ければいつでも連れて来てやるぜ!」


その後も都内の有名スポットを何ヶ所か巡りながらデートを楽しんだ。

二人で育てたもみの木にどんな飾り付けがいいか。何を飾るか。飾りを吟味するのに、雑貨屋も色々回ることも忘れずに。


色々見て回る間、まことはいい笑顔をしていた。

そんなまことを見て、外でのデートももみの木の飾り付けもいいが、俺はまことの胸や尻を揉みたいと邪な妄想をしていた。





おわり



まこちゃん、お誕生日おめでとう🎉
去年のまこ誕にサイトに載せたお話になります。



この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?