セラムン二次創作小説『夏休みは絆を深めて(外部家族)』


今年も夏休みがやって来た。ほたるにとっては転生して二度目の夏休み。

例によって昨年に引き続きほたるは、出された宿題をその日のうちに片付けていた。

そして、昨年大苦戦していた読書感想文と自由研究。毎年恒例と知り、ほたるは早めに自由研究への対策を練っていた。


「ほたる、調子はどうだ?」


昨年、早々から夏休みの宿題の壁にぶち当たっていた事を見ていたはるかが気にかけて話しかける。


「うん、今年は大丈夫だよ」


ほたるは明るい声で答える。昨年とは違い、楽しそうな声にはるかは驚きと共に安堵する。


「自由研究や読書感想文、悩まなくて良さそうか?」


昨年はあれだけ苦戦していた夏休みの二大面倒宿題。今年は何か対策があるようだ。


「うん。読書感想文はまだ読んだ事無い本が幾つかあったから、それを読むつもり」


プリントを出してリストをはるかに見せる。

それをザッと見渡すと、確かに我が家には無い本で、ほたるが読んでいなさそうだと納得した。


「一番苦戦していた自由研究は?」

「えへへぇ~。それは、これ!」


嬉しそうにほたるは手に持っていた物をはるかに見せた。


「ホタル図鑑?」


ほたるが持っていたのは分厚い図鑑だった。ホタル専門の図鑑の様だ。


「そう!今年の自由研究は私の名前と同じで夏の風物詩の一つ。虫のホタルだよ」


良い題材を選んだでしょ?と得意げにほたるは話した。

確かに昨年は“蛍の光”と言う映画で戦争が題材で重かった。小学生が自由研究の題材として選ぶには余りにも重い。

それに比べて虫のホタルならば、何とも子供らしくて可愛い。これならピッタリだし、応援出来るとはるかは素直にそう思った。

それにしても昨年に引き続き、“ホタル”に惹かれるとは、本当に好きだなとはるかは微笑ましくなった。


「なぁにぃ、はるかパパ。ニヤニヤして、気持ち悪いよ?」


考えている事が顔に出ていたらしく、目に見えて気持ち悪かった様で指摘された。


「いや、ほたるは自分の名前が本当に好きなんだなと思ってさ」

「確かに、はるかの言う通りね」


少し前に家事を一段落させたせつながはるかの言葉に頷く。


「うーん、そこまで意識はしていなかったんだけど、気にはなってるかな」


土萠創一と螢子の元に生まれた時に“ほたる”と名付けられ、再転生した時も何の疑いも無くそのまま“土萠ほたる”の名を継続して使用することを決めたせつな達。

何故、“ほたる”なのか潜在的に知りたいのかもしれない。


「ちびうさちゃんもね、今度は“兎の生態”を調べるって言ってたよ」

「へぇー、ちびうさも気になってるんだな」


ちびうさの場合、親であるうさぎから名前が引き継がれている。それでも何か気になるのかもしれない。

共に人間では無い生き物の名を授けられたほたるとちびうさ。仲良く意気投合するはずである。


「じゃあ、今年は私たちの出番はなしかしら?」


親の手から巣立って行くみたいで寂しいわとたった今リビングに入って来たみちるが残念そうに呟いた。


「煮詰まったら、お願いするかも」


みちるのガッカリした顔を見て、空気を読んでそうほたるは答える。

そしてそのままほたるは図鑑を広げ、雑多に読んで行った。


生息地、何を食べて生きているのか。種類、見頃etc.....


そして、その中でもほたるが気になったのが、寿命だった。


「二週間しか生きられないんだ……」


絶句して、明らかにショックを受けている。

そんなに長くは無いとは予想してはいたが、二週間とは思いもせず驚きを隠せない。

蝉が一週間とは知っていたが、二倍なだけで余りにも短い。

卵から成虫になるまでに約1年かかり、 生涯の大部分は水中で生活し、成虫になってからの寿命は約2週間。

成虫になるまでが長く、割に合わないとほたるは思った。


「だから私はいつも長く生きられないのかな……」


今世も、クリスタルを奪われて一度死んでしまっていた。

泣かぬ蛍が身を焦がすと言うことわざがある様に、短命で長生き出来ない。使命のために命を落とすことには厭わない。寧ろ、それが正しい戦士としての在り方だと受け入れ、理解していた。


「ほたる……」


落ち込むほたるを見たはるかが傍に行き、頭を撫でてやる。


「ほたる、あなたは私たちにとって希望の光よ」

「そうよ、あなたがいなくては寂しいわ」

「ほたるがいるから、毎日が楽しいんだ」


はるか達は、ほたるの必要性をそれぞれが吐露した。

みちる達の話を聞いたほたるは、心が温かくなるのを感じた。


「私も、はるかパパ、せつなママ、みちるママに育ててもらって感謝してるよ。これからも手と手を取り合って、うさぎお姉ちゃんのサポートしていこうね!」


自由研究を通して絆を再確認したほたるとはるか達だった。





おわり


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