セラムン二次創作小説『STARLIGHTにキスをして(ネフまこ)』


大好きだった先輩には失恋した。

とても素敵な人だった。

だからいつも先輩の影を追い求めていた。

好きになる人を先輩と重ねていた。

どんな些細な事でも、その先に先輩を見ていた。

先輩が余りにも素敵過ぎて理想が高くなっていた。

彼女がいる人を好きになったりもした。

プレイボーイを好きになったこともあった。

後悔はしていない。

自分の感情には忠実でありたかった。

嘘は付きたくなかった。

いつも恋をしていたかった。

いつでも乙女でありたかった。

戦士をしていても女性でありたかった。

だけどいつも全て失恋した。

タッパがデカく力持ち故に中々女に見られなかった。

誰より乙女なのに女扱いされなかった。

恋がしたい。彼氏が欲しい。

それは女性として当然の欲望と感情.

なのに彼氏ができなかった。

どうして出来ないんだろう?

努力もしてるし積極的にアピールだってしている。

何も怠ってなんかいない。

そんな時ふとマンションから見上げた夜空。

星がとっても綺麗に輝いていて遠い記憶が蘇る。


「星は何でも知っている」


そう言って星占いをしていた人のことを。

それは前世での出来事の記憶。

プリンセスの護衛で地球で会った男性。

ガタイも良くタッパもデカい。

そして優しいそんな奴。

ロマンティストなのに恋愛に興味ない。

そんな奴に密かに恋心を抱いていた。


「……ネフライト」


顔も名前も何もかも思い出した。

いつの間にか夜空を見上げて涙を流していた。


「……れ?泣いて、る?」


上を向いたら涙は溢れないはずなのに。

アイツの事そんなに好きだったのか?

私は私の好きな人は先輩のはず。

先輩も知らず知らず影を追い求めていたのかな?

心の何処かにあったネフライトが好きという感情。

年上でないといけなかったのは先輩が好きだったから。

それだけじゃなくてネフライトの面影も追っていたのか?

先輩のことは確かに好きだった。

今も尊敬する先輩だ。

ネフライトも大好きだ。

顔を思い出した今思い当たる事が一つある。

それは大学祭のダンスパーティーで一緒に踊った人。

結局は敵だったけれど顔が似ていると気づいた。

ダンスの相性も良くて気持ち良く踊れた。

また一緒に踊りたくてずっと待っていた。

その人と踊りたいと思ったのは嘘偽り無い気持ちだ。

だけどもしかしたらネフライトと踊りたかったのかもしれない。

タイガーズアイに強く惹かれたのはそのせいか?


「会いたいな……」


ネフライトに会いたい。

もうこの世にいないことは知っている。

私では無く違う女の子に恋をしたことも。

例え生きていても二人の間に入れない。

私の事も忘れている。

先輩と同じでまた失恋確定だって分かっている。

だけどそれでも私はお前が好きだ。

お前が誰を想っていてもこの感情は止まらない。

後悔もない。

想うくらいはいいよな?

こうして星が綺麗な夜にお前を想うくらいは許してほしい。


「愛してる、ネフライト」


星に向かってそう呟く。

目を瞑りキスを贈る。

目を開けるとスターライトの雨が降り注いだ。

まるで“俺も愛してる”と言っているかのように。

眩い光に胸がいっぱいになった。





おわり



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