セラムン二次創作小説『恋を見つけた私は、孤悲を知る』




かつての私は、周りにはいつも沢山の友達や仲間がいた。


月の王国でプリンセス・セレニティだった時も周りには常に人に囲まれて幸せだった。


身の回りを世話してくれるマーズ、マーキュリー、ジュピターにヴィーナス。

常に一緒。私の守護神で側近。


だけれど、彼女達は身近な信頼を置けて、私を理解してくれるお友達でもあった。心配したり、一緒に泣いたり笑ったり。


ルナとアルテミス。四人とは役割は違っていたけれど頼れる猫。


お母様。強く優しく、聡明で素敵な人。私もいつかお母様の様なクイーンになれるのかな?と目標であり、越えられない人。


そして、私は地球の王子様ーーエンディミオンに恋をした。かっこよくて優しくて、そして誰よりも強いお方。


禁断の恋だと分かってはいても止められなかった。本気で愛していた。未来が無い恋だと理解はしていても、ずっと一緒にいたいと願ってしまった。


そしてその恋のせいで月は地球に反撃されて、滅びる事になった。


時は経ち、月野うさぎとして地球に生まれ変わった。この人生でもまた私は周りには沢山の友達や仲間がいた。


やがてルナと出会い、セーラームーンと言う戦士になった。助けてくれたタキシード仮面に恋をした。仲間が次々出来た。


前世の記憶が蘇り、プリンセスであったことやかつての仲間、そして恋をしていた事を思い出した。タキシード仮面がまさかエンディミオンだったなんて。また、知らず知らずに惹かれていたなんて。運命だと感じた。


次々襲ってくる敵。その中でヴィーナス達以外にも戦士がいることを知る。


彼女達はヴィーナス達とは役割が全く違っていた。任された管轄で一人孤独に外部の敵から太陽系への侵略者を守ってくれていた。


その為に与えられた武器、三つのタリスマンーーガーネットオーブ、スペースソードそしてディープアクアミラーはセーラーサターンを封印する為の力も持ち合わせている凄いものだ。


プルート、ウラヌス、ネプチューンの三人はそれぞれにサターンの守り人として一人孤独にその場でずっと外敵から守っていたと言う。


プルートなんて、ずっと時空の扉の前で一人孤独に守り続けている。なんて凄い精神力。


ほたるちゃん。セーラーサターンの時は星一つ簡単に滅ぼせる力を持ってしまった為に幽閉され、孤独にその時を待ち続けた。

転生してもその数奇な運命に翻弄されて、サイボーグ化した体に敵を宿らせ、更にサターンとしての力も増幅させ、普通の人生を遅れず父親ともあまり上手くいかず孤独な人生を送っていた。


孤独なのはヴィーナス達もそうだった。


マーズであるレイちゃんは、幼い時に母を亡くし、父とはそれ以来確執が生まれて嫌っていた。霊感があり、色んな人に気味悪がられて忌み嫌われていた。


マーキュリーである亜美ちゃんは、幼い頃に両親が離婚。それ以来母親と暮らし、父親は画家で色んな場所を転々としていて中々会えなかった。頭が良く、一人で勉強していて友達がいなかった。


ジュピターであるまこちゃんは、幼い頃に両親が飛行機事故死。以来、まこちゃん自身も飛行機が苦手になる。力持ちだったまこちゃんは、怖がられる事が多かった。


ヴィーナスである美奈Pは、私たちより先にセーラーVとして活躍。その中で前世の記憶を取り戻し、一人で頑張っていた。


エンディミオンだったまもちゃんは、六歳の自身の誕生日に両親を交通事故で亡くした。まもちゃん自身も記憶喪失になり、天涯孤独の身になって一人孤独に記憶を探しながら生きてきた。


みんなそれぞれ私には到底知り得ない孤独を抱えていた。


孤独とはどんなに怖いものかなんてこの時の私には知る由もなかったけれど、みんなの心に寄り添い続けた。彼女達が前世でそうしてくれたから、私も彼女達に寄り添い続けた。


ネオクイーンセレニティになった時も、みんな受け入れてずっと私の傍にいて支えてくれた。


私はこうしてなんとかみんなの力を借りながら長い人生を終えることが出来た。色々あったけれど、幸せな人生だと心から思えるものだった。


人に恵まれ、孤独とは無縁で幸せな人生だった。


月の王国のプリンセスとして生まれ、全て決められた人生は望んでなんか居なかったし、セーラームーンとして敵と戦うのも怖かった。


それでも何とかやっていけたのは、多くの人に愛され、支えられたからこそだった。


そして、今ーー


私はセーラーコスモスとしてギャラクシーコルドロンで一人孤独に宇宙を守っている。


恋人であり、人生の伴侶でもあったタキシード仮面も、かつての仲間たちもいない。文字通りの一人。


最終的に一人になってしまった。あれだけたくさんの人達に恵まれていたのに。


孤独は怖い。辛い。悲しい。

まもちゃんも亜美ちゃん達も、そして、セーラーサターン達も。みんな一人、こんな想いを抱えていたのかな?


みんなが抱えていた孤独を知る為に私はセーラーコスモスとしてこの宇宙に君臨しているのかもしれない。


仲間がいないと言う事や、一人で立ち向かう勇気、彼女達の孤独に触れるため。


どれだけ孤独と言うのは悲しい事なのか。それを知ればまた私は一歩、本当のセーラーコスモスになれるのかもしれない。


全てを捨て去る勇気ーーそれは、仲間をも捨て去り、孤独を知る事も意味しているのかもしれない。


全てを受け入れる勇気ーーそれは、孤独さえも受け入れるということでもあるのかもしれない。


孤独を受け入れた時、本当の最強のセーラーコスモスとしてセーラーカオスを倒せるのではないかと思うの。

セーラーカオスも、きっと一人孤独が怖いんだろうから。





おわり




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