セラムン二次創作小説『秩序の戦士、セーラーコスモスの誕生』




「ここは、どこ?」


何も無い所で人の形を保ちながら、セーラースーツに身を包んだ女性が疑問を口にした。


「ここは、ギャラクシー・コルドロン。銀河の星が生まれ、星が最後に還り着くところ」


その女性の前に現れた小さな女性が、今いる場所の説明をする。

それを、静かに聞くセーラースーツに身を包んだ女性。


「あなたは、だあれ?」


そう質問したが、そもそも何も分からない。その中で出て来た疑問を口にしていた。


「私は、ガーディアン・コスモス。コスモス・シードの守護・星霊」

「ガーディアン・コスモス……?」


小さな女性の名はガーディアン・コスモスと言う。自身とは違う身なりをしている。


「お待ちしていましたよ。セーラーコスモス」

「セーラー……コスモス?」


セーラースーツに身を包んだ女性の名はセーラーコスモスと言うらしい。名を呼ばれたコスモス自身も聞き覚えが無いのか、混乱しているようだ。


「ええ、あなたの名よ。あなたはセーラー戦士。この宇宙の秩序を守る為、強大な敵であるセーラーカオスと戦う使命を持っているのよ」


ガーディアン・コスモスから、自身の使命を黙って聞いていた。

右手に持っていたロッドに目を向ける。なるほど。セーラー戦士として戦う使命を持っているからこの様な武器を手にしているのだと理解した。


「ここで、戦って宇宙を守って欲しいの。否、そう決まっているの」

「ええ、分かったわ」


コスモスは受け入れた。そう言う運命なのだと思ったから。

そして、セーラーコスモスは射手座Aスターでその日から一人孤独に宇宙の秩序を守る為、セーラーカオスと戦う日々を送り始めた。


彼女は強かった。スキルも精神力も。そしてカオスも又、強かった。

しかし、互角。中々決着が着かない。

来る日も来る日もカオスと対峙する。

終わらない戦い。


けれど、彼女はそう言う物なのだと悟っていた。

カオスと戦えるのは自分だけ。そう思っていた。

来る日も来る日も一人、カオスとの激戦。 

彼女は、セーラー戦士として信念を持っていた。宇宙最強の戦士として恥じないよう、平和と秩序を守るのだと一人で戦って行こうと。



彼女には前世があった。

プリンセス・セレニティとして過ごした前世。

そして、生まれ変わり月野うさぎとして過ごした前世。

どちらも愛する人と沢山の仲間に恵まれていた。

月野うさぎとして過ごし、ネオクイーンセレニティとなり千年と言う寿命を全う。その人生を何度となく繰り返した。


しかし、今のコスモスにはその前世は無い。前世の記憶を持っていなかった。生き返る時にギャラクシー・コルドロンに捨てて来たようだ。

一人で強く戦っている今の彼女には、そんな温かい前世の記憶は要らなかった。必要なくなったのだ。


“セーラー戦士とは、一人孤独で戦うもの”


それが彼女の思想だった。

仲間などいらない。頼れるものなど必要ない。私が一番強いのだからと。


そんな彼女は、やがて銀河の星々へと名を轟かせて行った。


“一人孤独に強く戦うセーラー戦士が存在する。強大な敵であるカオスを一人で勇敢に立ち向かう精神力のある戦士がいる”


彼女の名は伝説となり、全セーラー戦士の憧れの存在となって行った。

神のように崇められ、敬われ、やがて平和の象徴とされた。


コスモスの容姿も関係しているだろう。

髪の色は銀髪で、ツインテールをハートのシニヨンで括られている。その容姿は、かつて銀河最強のクリスタルを持つと言われていた月の王国のクイーン・セレニティと似ている。

セーラースーツも、銀髪に似た繊細な白銀に、華奢な体には不似合いなマントを肩から靡かせている。そして、それは時には大きな翼となり、羽ばたく。それは天使のようでもある。

翼を持つことから、神様だと尊敬された。

正に麗しい神。コスモスにピッタリの呼称だった。


ただ一人で戦っていただけで。強いと言うだけで尊敬され、コスモスは恐れ多かった。


信頼する仲間を欲しいと思った事は無い。仲間などいらない。先立たれたら寂しくなるだけだ。

そう。孤独や寂しさを根底で理解していた。記憶こそ持ち合わせてはいないが、感情は確かにあった。しかし、何故感情があるのかまでは理解出来ないでいた。


そしてコスモスは、前世の記憶が戻らないまま一人でギャラクシー・コルドロンでずっとカオスと戦い続けた。





おわり


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