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孤爪研磨の物語『劇場版ハイキュー!! ゴミ捨て場の決戦』

『劇場版ハイキュー!! ゴミ捨て場の決戦』
見てきました

私がハイキューにハマったのがちょうどアニメ4期が終わった後だったのでリアルタイムで見られるのは今回がはじめて

実はゴミ捨て場以降が映画になると発表されてしばらくは
梟谷推しの私としては、「狢坂戦はカットの可能性大やん…」と萎えてしまって素直に喜ぶことができなかった
でも公開が近づきいろんなところでハイキュー熱が高まっていくと、やっぱり大好きな作品なので、めちゃくちゃ楽しみかつ緊張してきてしまった

映画の予定のずっと前に現地入りし、
グッズをたくさん購入する人や厳選したものを購入する人と一緒に長蛇の列に並んでパンフレットを購入し、
「公開日に来る人たくさんいるんだね」って話す女子高生の会話をほほえましく聞いて、
そんな映画が始まるまでのそわそわした時間も尊くて大切な思い出

※以降映画のネタバレあります


映画の始まりは、日向と研磨の出会いから
迷子になってしまった研磨を日向が見つける
研磨の鞄の中のバレーシューズから、研磨がバレーをやると知って嬉しそうな日向
「バレー好き?」と聞かれて「べつに」と答える研磨に悲しそうな顔をする日向

日向と研磨の出会いをじっくりと再び描かれるシーンからはじまることで、今作は「日向が研磨にバレーをおもしろいと思わせることができるかの戦い」っていうテーマがすごくわかりやすくなった気がする

研磨に“おもしろかった”と言わせたい日向と
いつも新しくおもしろい日向を攻略したい研磨という
春高バレーでの勝ち負けと違う目的を持つ2人が戦うという
ゴミ捨て場の決戦のおもしろいところがちゃんとすごく伝わりやすかった


もう研磨が主役だった…とてもよかった…
要所要所の研磨の表情がとてもいいんだ…
研磨が日向をどんどんと追い詰めていくシーンでは、その強さと不気味さにものすんごい強い敵、大魔王、ラスボスに見えてしまう
ただの一高校生のはずなのに

しかも、ゴミ捨て場の決戦では“研磨が勇者”で“日向が倒すべき対象”という表現がされているのに、完全に研磨が魔王だった
それほどまでに戦略を使って日向を“攻略”していく研磨が不気味なほど強かった


試合の経過の途中にはよく夏合宿でのできごとやクロと研磨の過去とか回想シーンが数多くはさまれていて、彼らの一緒に歩んで積み重ねてきたことの多さがわかって泣ける
特に幼いクロと研磨が昔河原で練習しても上手くできなかった真ん中超速攻を試合で決めるシーン、ふたりの楽しそうな表情がとても良い
あの時はできなかった、でもあの時練習したからできた技

音が消え、研磨の上がった息遣いだけが聞こえてきて、最後の一点のラリーが、研磨視点で描かれていたのには鳥肌がたった
ここには、研磨の「バカ!!まだボール落ちてない!!」の表情とか
海くんの田中のスパイクを受け止めたスーパーレシーブ、
それが夏合宿の練習試合と重なるコート全体の絵とか
原作で印象的なシーンがいくつもあって、
正直それを映画館で映像を見ることを楽しみにもしていたけど
それを原作のまま表現せずに研磨目線で表現するという挑戦

「この人たちはこの景色を見ているんだ」って映画の観客を試合の観客じゃなくてプレーしている選手目線引き込む演出
本当に良かった
これが映像化されることの醍醐味だと思った


他に映像化ならではで印象に残ったのは、
日向がなかなかスパイクを決めることができず、嫌な雰囲気が漂う中、菅パイセンが「ナイスレシーブ!その調子で次も頼むぞ」と日向のレシーブをほめてくれるシーン(あれ原作なかったよね?)
日向目線で顔をあげると菅パイセンの明るい顔があって、嫌な雰囲気がぱっと軽くなって、菅パイセンの偉大さがわかる

あとはクロの教えで成長したリエーフのブロックからのクロのナイスレシーブという“チームワークがハマる瞬間”。そこから攻撃に入るクロの動きを追った映像が本当にかっこよかった!!!

あ、あと烏野全員翔陽化。笑

音駒との戦いだから特にそう見えたのだろうけど、レシーブとブロックの映像での迫力が最高だった
選手の腕と指が心配になってしまうほどのレシーブとブロック
音がめちゃくちゃすごい
バレーボールのかっこよさはスパイクやサーブだけじゃないんだぞというメッセージのようにも思えた


“もう一回”が無い試合
どちらか一方は負けたらもう同じメンバーでの試合はできない高校最後の試合

色がつき、動きがつき、
音がつき、声が吹き込まれると
試合がめちゃくちゃはやく進んでしまって
あっという間に終わってしまったけど
それでも終わった後悲しくても
どこかすがすがしい気持ちでいられたのは
両チームの選手が互いを敬って、称えて
また3年生はそれぞれ自分たちの得てきたものやバレーへの想いを後輩たちに“繋ぐ”ことができているからとわかるからだと思う


ナイスゲームをありがとう

『ハイキュー』36巻より


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