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私は名無し、名前はまだない

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私は名無し、名前はまだない
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猫であったらよかっただろうか。

名前を持たない仲間たちが世界中で生きている。そう思えただろうか。
路上を駆け回る野良と呼ばれる種族に属して。
野生と呼ばれる種族に属して森の中を駆け回っているだろうか。


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おい君と呼ばれて上司の前に立ち、刻み込まれて元に戻らないような深い皺が集合した顔を向けられる。仕事のミスをした時に怒られることと同程度に日々のストレスを私に向けてくる。「コーヒーがないぞ、早く持ってこい」このご時世に秘書でもない私にコーヒーを運ばせる人がいるだろうか。そう思いながらサーバーに向かった。

サーバーのスイッチを押して黒いコーヒーが出てくるのを待っているが、なかなか出てこない。豆が切れていた。サーバーの下の棚から備蓄されたコーヒー豆の袋を取り出し機械に流し込んだ。ピピっという音と共にサーバーが動き始め、嫌な上司に作るコーヒーでも渋い匂いと立ち込める湯気が私の心を落ち着かせた。

入れたばかりの温かいコーヒーを上司のもとへ届けに行くとオフィスの後ろのほうから再び君と呼ばれた。私はこの会社で君として生きている。君は上司の思うがままに仕事を任され、コーヒーを注がされる。

呼ばれたほうにそそくさと駆け寄るとスマホの画面を見つめた男が応接室のソファに腰かけていた。君の知り合いだそうだよと私を呼んだ社員に伝えられ二人きりになった。

「どうしましたか」

私の知り合いらしいが誰だろうか。とりあえず事情を知ろうと図ってみる。

「あの、この子知ってますか」

とさっきまで眺めていたスマホの画面をこちらに向けてきた。そこにはかなり遠くから取られた猫が小さく写っていた。

「すいません。私は存じ上げないですね。ペットが逃げたんですか」

「いえ、ペットではないんです」

はぁとため息を漏らして男はつづけた。

「ペットではないんですが私の大切な猫なんです」

何を言っているのかと思ったが、私はこの男の身なりを完全に忘れていた。ぼさぼさの髪にこけた頬、薄汚れたパーカーに敗れたジャンパーを羽織っている。私がよくいく会社前の公園に住処を作っていた人だった。

「野良ですか。どこか行ってしまったんでしょうね」

「そうですか、、あなたなら知っていると思っていました」

また男はため息をつき。その場を後にした。
男がさった後、またもや上司が君を呼んだ。
そそくさとその場を後にし上司のもとへ向かった。


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週の日記
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長くなりそうな話だったので今回はここまでにしました。

今月始めたアルバイトで名前を未だに覚えてもらえません。
似ている人がいるだとかで違う人の名前で呼ばれて最初のほうは違いますと訂正してましたが何度も間違えられるのでとうとう面倒になって否定せずにその名前でその日は働くことにしました。
人の名前を何度も間違えるなんてなんて失礼なんでしょうか。
でもふと思うと、店長は皆から店長と呼ばれて名前をなくしているんですよね。

花粉症が本格的にきつい時期になってきて鼻水はたれるわ目はかゆいわで毎日根性試されてる気分です。今まで医者に行ったことはないんですけど医者に行くと花粉症はマシになるものでしょうか。市販の薬でひたすら耐えてその春を乗り越えるのが私のやり方ですが。外に出てる日よりもその次の日の朝が一番つらいです。

来月になると学校も始まってまたいろいろと忙しくなりそうなので今月は好きなだけダラダラしたいです。社会人になったらダラダラなんて許されなさそうなのでこの時間を大切にしたいです。


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