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ワクワクの継承

気づけば最後にnoteを書いてから約1年が経とうとしています。書き残しておきたいことは山ほどあったのに、言語化するという作業はやはり訓練ですね。キーボードを叩くまでに挫けてしまっていました。

その言い訳になってしまいますが。昨年は私が働くダンススタジオDANCEMASTERSの35周年公演があったため、そこに一点集中で生きておりました。全てのエネルギーを一日の為に。大袈裟でなく本気でそう生きていました。公演が終わった後もDVDの映像編集確認もしているのですが、本番後業者さんが大病をされたので納期が大幅に送れた上に、あまりに私の編集の要望が多すぎた為「もう私が編集してしまえ!!」となり、2024年2月までその編集作業をしておりました。そんなこんなで気づけば1年。本当に早い…怖い。

話を戻して。35周年公演というのはスタジオが35年目を迎えたということです。DANCEMASTERSはJAZZダンスをメインジャンルとしたレッスンを展開しているダンススクールで、年に一度EXTRAVAGANZAという名の発表会を開催しています。現在の一般的なダンススクールは何人もイントラの先生がいらっしゃって、その先生方が各ナンバーの全てを担って下さると思うのですが、DANCEMASTERSはお教室スタイルなのでメインのイントラは私含めて2名、その2名で運営から舞台面含め全ての業務を回しております。

振付をはじめとするクリエイティブの分野に関しては私がほぼ全ての業務を担っているのですが、丁度今年の発表会へ向け始動したころなので、この機会に発表会へ向け行なっている業務内容についてまとめてみようと思います。普通のインストラクターの業務とは一味違うかもしれませんが(笑)今まで改まってまとめたことがないので自分でも整理ができていいかも、と思います。


でははじまり、はじまり。

1. 振付
これは全てのダンスの先生がされている事なので特別なことではありませんが、EXTRAVAGANZAは2部構成となっており、第1部は各クラスでのダンスナンバーの披露、第2部は本の面から制作する舞台作品の部となっているので、ある意味全然違う種の振付をしています。第1部では各クラスの色やレベルを見極め、生徒の皆さんの目標達成や成長が見える作品を作ることが自分にとってのテーマです。担当している生徒さんは幼稚園〜70代までいらっしゃるのでどのクラスの作品も皆さんが素敵に見えるものであるように。私自身にとっても毎年挑戦です。

▼2023. EXTRAVAGANZA 第1部Opening Number

第2部は物語に沿ってその役やシーンに適した振付を作ります。イメージとしてはミュージカルやダンス劇ですね。ジャンルに囚われず作品として成立した振付となるように、しかもそれが生徒さんにとっても挑戦や楽しみになるものであるようにがテーマなので、ここに関しては普通の発表会の振付とは一線を画しているものなのかなと思っています。昨年のEXTRAVAGANZAで振付したのは第1部9曲、第2部11曲、合計20曲。自分の引き出しの無さに絶望したり作ったもののイメージと違ったり、毎回ひぃひぃ言いながら制作しています(笑)

▼2023年EXTRAVAGANZA第2部「シンデレラと2足の靴」

②第2部のシナリオ制作
第2部は約1時間程度の舞台作品を作っています。昨年のシンデレラの様に題材があるものから、完全オリジナルの物語まで過去作ってきました。題材があるものに関しても、そのままその作品を上演することはほぼありません。原作者が物語に込めたテーマや教訓などを軸に新たな物語を構築し、キャストのキャラクターや物語の組み方まで新しいものとしています。昨年の「シンデレラと2足の靴」のテーマは「幸せとは何か?」でした。女の子の幸せの象徴として何十年も憧れられているシンデレラはなぜ幸せになれたのか?そもそも幸せとはなるものなのか?その答えを原作とは違う形で導きました。子供達は元より大人の方からの反響が大きく、ストーリーのテーマの重要性を改めて感じる機会となりました。

③音楽作業
専門的な音の加工が必要でない限り基本的には編集しています。ナレーションが必要な時はナレーターとしてレコーディングする時もあります。
昨年の第2部舞台作品「シンデレラと2足の靴」で市場のシーンがあったのですが、ミュージカル映画の様なシーンにしたかったので、振付に合わせて布が舞う音や足音をPCで打ち込んで入れました。そんな地味な作業もやります。楽曲はシーンに合わせ様々なジャンルから見つけるので、フレンチポップスやロシアの子供歌唱団、韓国ドラマのサントラなど垣根なく聴き漁り、選曲時の視聴数は数百曲に及びます。見つかる時は奇跡のような展開で素敵な曲が見つかるのですが、ヒットしないときは本当に地獄のような時間が続きます。。。


④お衣装
第1部第2部どちらにおいても私自身最も拘っている部分です。全員が同じデザインの時もあれば全員異なるデザインもしばしば。当人任せではなくこちらで探します。昨年のあるナンバーのお衣装が全員白ブラウス・白パンツだったのですが、全員違うデザインの白ブラウスを探しお渡ししました。

一人一人全身が異なるデザインの場合、個々でサイズも似合う色も異なるので、それぞれのことを考えながらコーディネートを組みます。写真左上のナンバーの時は上から下まで全員違うアイテムを探して23体組みました。全体としての色や系統のバランスを考えることは勿論、この子は足が綺麗だから出したほうがいいとか、こっちの系統の方がこの子は魅力が増すから良いんじゃないかなど、PCの中のお衣装と向き合い生徒さん一人一人を想像しながら選んでいます。お衣装を個人に任せる時もありますが、舞台全体を通してお衣装が持つ印象の重要性は非常に高いので、プロデュース・演出という意味でこちらでとりまとめています。

第2部のお衣装も第1部と同様全て手配します。昨年はドレスや中世の市民の服、虫や動物のお衣装だったので探すのが一苦労でした(笑)左上がその中世の時代の市民の子たちのお衣装なのですが、統一感が出る様にトップス・スカート・スカーフ・靴下までセットで組んで渡しました。
ドレスは前後の役との兼ね合いで、上下が別れる使用でなければいけなかったり、どのお衣装にも言えることですが、前提として本人が可愛く見えなきゃいけないと思っているので、その子に適したデザインで且つサイズや色の展開があるかどうか、作品のイメージに合っているデザインであるか、何より値段が予算内に収まるかどうかなど、山ほどの条件の中お衣装を探しお渡しました。あ、シンデレラの頭に巻いているターバンも朝から鍋でコーヒーを煮出して染めたり…地味な作業もやりましたね(笑)
そんな昨年のお衣装、第1部第2部通して組んだ数…173体。数えながら心が折れそうでした(笑)173種類の異なるお衣装のコーディネートを作ったということですね私…発注のミスもありませんでしたしこればっかりは自分を褒めてあげようと思います。さぁそして今年は何体になるのか…(怖)


⑤パンフレット・チケット・看板デザイン
通常は業者さんに頼まれるのが一般的だと思うのですが、毎年私が作っています。中でもパンフレットの表紙のデザインはその年のEXTRAVAGANZAの顔になるものですし、生徒さんや保護者の方々がとても楽しみにしてくださっている物なので毎年期待を背負って気合いを入れて作っています。

左)2023年のパンフレットの表紙      右)2022年のパンフレットの表紙

このパンフレットの中身も全て制作しておりまして…全20p愛情たっぷり、睡眠時間削りまくりで作っております。チケット、会場入口に設置される看板のデザインまで。デザインに関しても公演内容との整合性が取れないことや、シンプルにパッと見た時に心がトキメかないものは嫌なのです。振付期間とこのデザイン制作期間がバッチリかぶっているので、本当にこの期間の記憶がございません。ほぼ無心、瞑想状態とでも言いましょうか…そんな状態でいつも作っている気がします。デザインのインスピレーションが降ってくるまでの時間は本当に修行だと思っています。


⑥第2部舞台作品のビジュアル・劇中写真、映像撮影編集・制作
こちらも普通のダンスの発表会の映像とは違う類の映像になりますかね。舞台へ向けた予告編から劇中で使用する映像の撮影・編集全て行なっています。特に劇中の映像は演出上、年々必要不可欠なものとなっている為特に熱を入れています。キャスト陣が集まりヘアメイクをし、グリーンバックで撮影したものをひたすら編集する。そんな劇中映像1〜2分程のものを4、5本作っています。またビジュアル撮影も行なっているので、キャストのお衣装・ヘアメイクを通してのイメージ構築を行なった後、撮影しポスターや劇場での映写画像も制作してます。


⑦演出・照明プランの提出
舞台を制作してくださる照明さんや舞台監督さんにこちらの要望を伝える照明プラン・演出プランというものを書きます。照明プランは音源のタイムに合わせダンスの構成とその時に欲しい照明を細かく書きます。照明さんにお任せでいいパターンもありますが、私はほぼ全ての曲の照明プランを書いているので50枚くらいになります。5、6時間やっても終わらない時もありますし、手が腱鞘炎になりそうな時もあります。そしてそれでも本番タイミングがズレたり、思うようにいかない時もあり舞台袖で吠えることも多いです(笑)演出プランに関しては大道具のデザインや釣り物(舞台上部から垂らすもの)そのタイミングまで細かく打ち合わせします。Pintarestのおかげで様々なイメージのアイディアを画像で具体的に見せてお伝えすることができるので、とても助かっています。それでも本当にやってみたいセットを組もうと思うと金額の桁が変わりますし、それをたった一日で撤去するなんて事を考えると余りに勿体なく、理想と現実のバランスをとりながらも妥協しないものを作る、勉強あるのみだなと…。


クリエイティブ面に関してはざっとこんなものでしょうか。その他事務的なタスクや生徒さん、保護者の皆様とのやり取りは常にあるお仕事なのでそれは前提として今回は書いておりません。
本当にあらゆる事をやらせて貰っていますが、全て幼い頃から自分が興味があったものなので作業としては大変なのですが、苦ではありません。「苦ではない」と言い切れるのはワクワクの継承、それこそが私の役目だとも感じているからです。みんなが楽しい!!と感じられるものを提供したいです。
私の子供の頃の記憶の多くがエンターテイメントの瞬間です。舞台を観てワクワクした瞬間の光景や、憧れのダンサーさんの表情や肉体の残像。今でも鮮明に蘇る画がたくさんあります。そしてその体験全てが原動力となって今の私があります。だからこそ今度は私がそのワクワクを手渡せる様に、一人一人を全力で輝かせたいと思っています。

何より発表会でこういったクリエイティブな挑戦ができているのは全て生徒、保護者の皆様のご理解、賛同、応援があってのものなので本当に感謝しています。


さぁ、始まったら本当に一瞬なんです。8月25日の本番までに今年はどんな景色が見れるだろう…。その全てを大事にワクワクしながら挑みたいと思います。


次はnoteいつ書いてるかな(笑)
ごきげんよう

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