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横光利一『祕色』(2021/10/27)

「奨学金の書類取りに来てね!」のメールが来たので一年半ぶりぐらいに平日の大学へ行きました。用事自体は5分で終わります。5分のために片道2時間です。学生部へ書類を受け取りに行き、一年半ぶりの学食で腹を満たし、バスに乗って銀閣寺道。

本日の第二の目的、古書善行堂さんへ。
岡崎武志『古本道入門』で紹介されていて、即大学の帰りに寄った記憶。
店主さんと話すのが楽しいですよね。話していると自分の中での初版本や古本の魅力って何だろうって気付くこともあります。

大学がオンライン授業になり、古本まつりが軒並み中止となり、京都に来る事もあまりなく……こちらも一年半ぶりぐらいになります。戦後に出た菊池寛『受難華』買ったのが最後かな?十周年のブックカバーそのままで置いてます。
今月末、知恩寺で古本まつりがあるのでその時でもよくない?って思ったんですが、皆考える事一緒だと思うので……(近いし)

古書善行堂さんでは横光利一『祕色』を購入。
それから、帰りの電車で読む岩波文庫の永井荷風訳著『珊瑚集』を。
百円?バス代の両替?何のことかな。

ちょっと色々あって横光利一を前よりも読むようになり、興味を持ったわけです。元々「春は馬車に乗って」とか好きですけども。

うわー!めっちゃ良いやん、このフォント。強い。ずっと見てられる。

ところで「横光利一」って名前からしてカッコイイですよね。
アルバイトか何かの名札で本名とは別に名前決めて良いよってなったら「花京院」と「横光」が争うと思います。


おや、立派な検印紙。
この時代の本の良いポイント。
出版社ごとにクセのある検印紙と作家ごとにクセのある検印。良すぎるからZoomのアイコンにして世界を大混乱を巻き起こそうかな。
それにしてもこの絵はペンギン……?ペンギンなのか?なにこれ、ペンギン?

何よりも装丁が良いのよね。
ウズラの卵みたいな和紙。著者自装。

今の本にはない昔の本の魅力は、こうした装幀にあると思います。
装幀にこだわりすぎて本の値段をガンガンに上げちゃったり。谷崎潤一郎は装幀にこだわってめちゃくちゃ値段上がったりしているじゃないですか。誰が本の表紙に漆塗り使うって想像するのか……初めて見た時は衝撃でしたね。

話を戻して。
中身は小説と随筆、俳句です。

いや、それにしても触り心地の良い紙だな……小口に親指をそっと添えてパラパラパラとページ送りを繰り返してしまう。この和紙特有の軽さが良い。

これよ、これ。
作品自体は全集や電子書籍でも読めるけど、やっぱり単行本が欲しいんよね。さらに、その当時に出た本で読む贅沢。

「なんでわざわざそこまでして古書を集めるの?」って聞かれたりもするし、理解されないし、珍しい目で見られたりするけども……
とある大学生が書くこのnoteを通じて古書や近代文学の魅力をお伝え出来れば良いなと思います。
楽しいんだよ!ってのを伝えていきたいです。
店主さんと話しながらそう思いました。
話して気付くことばかりだ。
今はTwitterやnoteで簡単に発信できるもんね。
頑張ろ……頑張ろ。



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