お花の話(多分明るい)
私はお花の名前をよく知っている。
切り花じゃない、生えてる方。
その辺にある草花。あと木も少し。
「若い人にしては、よく知ってるねえ」ってよく言われたり、坊やに私の母が「ハルに聞いてごらん、お花の名前詳しいから」って言ってるのを聞いたことがあるから、多分そうなんだと思う。
理由はいくつかある気がしていて。
・祖父の話
私が幼い頃、近くに住む祖父が市民農園を借りて畑をやっていた。田舎の山の生まれで、若い頃に夫婦で稼ぎに都会に出てきた人だった。自然を愛していた。家と道路ばかりの中に突然畑が現れる不思議な場所で野菜を作っていた。
野菜の種類は、比較的なんでも。
キャベツ、ブロッコリー、人参、大根、じゃがいも、里芋、さつまいも、長芋、枝豆、トマト、きゅうり、なす、大葉、そら豆、えんどう豆、とか。あと夏みかん。
季節ごとに持ってきたり、収穫させてくれた。
家では『ワタ』『シンビジウム』が印象的で、よく手入れしていた。
・祖父の田舎の話
祖父と一緒に新潟の田舎の親戚の家に行ったことが3度程ある。
ここで育ったと教えられた。
とても素敵な場所だった。
コンビニも、スーパーもない。車は一人一台ないと暮らせない場所だ。山の中に住んでいた。
一緒に山菜取りをした。山の斜面を登ってたくさん取った。その時多分もう祖父は70歳にはなっていた気がする。よく考えると元気すぎるな。笑
その後も私はその田舎を気に入って、3度ほどまた、伺っている。
また行けたら行きたいと思っている。
・母の話
母もまた植物が好きな人だ。
散歩するたびに木や草花の名前を教えてくれた。
食べられる雑草を摘んでみたりして。
『よもぎ』で団子を作ったり、『のびる』に味噌つけてたべたり、『つくし』のお浸しをしたり。
マンション住みなのに、ベランダは草花だらけ。
幼い頃は『おしろい花』がたくさん咲いていて、それで『色水遊び』をよくしていた。タネの中身を出すのも好きだった。『おじきそう』もあって、よく触っていた。
今のベランダは多肉植物だらけになっている。
どんどん育って大きくなってしまうから困るらしい。
・デイサービスの話
二つ目の理由は、直近のお仕事が介護(デイサービス)だったから。
『季節を大切にしたほうがいい』と上司に教わった。
季節の行事、季節の食べ物、季節のお花。
それを高齢の方々は大切にしてきた。一緒に楽しむことができる。と。
だから、勉強した。
利用者さんに聞いたり、調べてきて話すと伝わって嬉しかった。
私は身の回りの生えてる草花が好き。
お花畑が好き。
育てるのは多分向いてないから、見て、楽しむことにしている。
住んでいる場所がマンションだし、こまめに手入れできる自信がないし、枯れたらとても悲しい。
利用者さんとよく、送迎車から外の景色を見て、あの花綺麗だねってよく話してた。
・覚えたお花の種類とか
春は梅、蝋梅、まんさく、菜の花、桜、ボケの花、桜草、芝桜、水仙、鈴蘭水仙、つつじ、石楠花、カイドウ、ネモフィラ、藤、チューリップ、ハナミズキ、バラ、クレマチス
夏はあやめ、あじさい、アリストロメリア、朝顔、ひまわり、立葵、さるすべり、ふよう、
秋はコスモス、バラ、金木犀、りんどう、紫式部、はなみずきの紅葉、もみじの紅葉、銀杏の紅葉、
冬は木蓮、サザンカ、椿、センリョウ、マンリョウ、シクラメン、ランタナ
とか。いろいろ、覚えた。
利用者さんのお庭のお花を見たり、飾ってくれない?って持ってきてもらったものを卓上に飾ったり。
あとは月下美人は年に一度しか咲かないのを見たり、
三大香花の沈丁花、クチナシ、金木犀を覚えたり、
かすみの木とか。もけもけがあるの。
レモンの花を見たり。
よくある赤い葉っぱはアカメカナメモチっていうらしいとか。
ドクダミとかアロエは薬とかね。
たくさん覚えた。楽しいなあって思うし、私は会話が苦手だったから、場繋ぎにとても役に立った。
クイズにしたり、この辺りで花畑では今は何が咲いているよとか伝えると、喜んでもらえる。
一緒に見て、綺麗だねえって言って、いい香りだねって言って、わからなかったら調べたりして。
共感できて、嬉しいと思った。
・私の好きなもの
私は、空の移りゆく色が好き。ピンクみたいな夕方の空や黒いようで青いような夜中の空だったり、沢山の、名前のつかない色がすき。木漏れ日が好き。優しい光が好き。虹が好き。お花畑や紅葉とか雪とかを見ることがすき。素敵なものを感じることが好き。そうやって過ごすのが私はとても好き。
坊やも『イチョウ』『ひまわり』『あじさい』『きんもくせい』を覚えだしていて、嬉しい。
『どんぐり』や『まつぼっくり』や『ねこじゃらし』をよくお土産にくれる。この前は『しいのみ』をくれた。
それが、嬉しい。