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宗教勧誘された話1


二十代半ばの頃、
私はアパートで1人暮らしをしていた。


実家で家族と共に過ごす事が、
自分にとっては辛くて
物理的な距離を置きたかったからだ。

1人暮らしの生活費は、親に頼みこんで出してもらっていた。
この点私はとてつもなく恵まれていたと思う。

生活はギリギリもギリギリだったのだが、
何より家族と距離を置けた事が
自分の病気の療養と精神的な自立に少しずつ
つながっていた。


私は大学を卒業してから鬱症状と体調不良に
ずっと悩まされ、新卒として働けなかった。

バイトをしていたが、体調の波が酷く
行けたり行けなかったりを繰り返し
働く事自体が続かなかった。

社会的な居場所がないことにより
孤独感は募っていた。


○鬱症状


○家族問題


○居場所のない孤独感


これらを誰にも相談できず悩んでいた頃に


ピンポーン!とインターホンがなり
人の良さそうな、優しそうな
おばさんがやってきた。

「書写の会というのをやっています!もし書道に興味があれば、一緒にやりませんか?」


インターホン越しにそう言われた。


その時私は、
何か人生が良い方向に動き出すような

そんな予感がして、
心がすごくときめいたのを覚えている。
(あてにならんもんやなぁ、私の直感とは)



私は、子どもの頃から書道が好きで習っていた。

部活に時間を費やすために
やむなく習い事を全てやめることになったのだが、

書道だけは、大人になってもいつか習おうと心に決めていた。


それが、こんなタイミングで、もう一度書道ができる機会がやってくるとは!

話だけでも聞いてみようと思い、

おばさんと玄関先で立ち話をした。


"書道好きな人が集まって、一緒に書道をする
サークルで現在会員を集めるため、近所を周っている"

と、内容はこんな感じだった。


好きだった書道を、もう一度できるなんて

しかも、誰かと一緒にできるなんて

自分の居場所が見つかるかもしれない!

そう思った。


それから、おばさんは毎日やってきた。


私の同級生の親であることや、近所にすんでいるということを聞いて、一気に距離が縮まり
話が弾んだ。(その内容が真実かどうかは今となっては怪しいが)


おばさんと会話する、この時間が楽しかった。


なんせ、こうやって他人とたわいも無い会話をする事自体が久々だったのだ。


おばさんとの会話で、
人と繋がっているという実感を、
言葉にできない安心感を得ていたのは事実だ。


初めのうちは、そうして、やってきては
たわいも無い話をし、
書写の会の無料体験とやらの紙を渡された。

その紙というのは
書かれてある文字を、模写するという実にシンプルなものだったが、
久しぶりに筆をとって文字を書く事が楽しかった。


ただ、模写する文字というのが、

「幸福」「真実の愛」「神の御心」とか

「幸福は家庭にあり」だの

今思い返してみると、
その宗教団体の信仰の軸となるような内容だった。

いや、普通に考えて、
そんな内容を書道で模写するわけないやろ

と、だいぶツッコミたくなる笑



書写の会の無料体験とやらの紙の端に

◯庭連合と、書かれてあった事の闇深さに


その時は気づきもしなかった。
















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