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ブローデル『物質文明・経済・資本主義 15-18世紀 日常性の構造』序論・まえがき・世界の人口ー案出すべき数字

フランスの歴史学者、フェルナン・ブローデルの本をオンライン読書会でがっつりと読んでいく。概要1000字、分かったこと250字で書いていく。

欧州では市場・企業・資本主義の合理的構造がじょじょに進んだ結果、産業革命がおこったというのが通説だ。しかし、いくつもの経済の分かりやすい部分だけをとらえて推移を追ってきたに過ぎない。丸ごと見ないと分からない。

丸ごととは3層に分かれる。物質文明とも称すべき自給自足や物々交換で成立する下層、中間層に市と結びついた生産・交換のメカニズムが機能する経済、上層は18世紀のアムステルダムの商人など特権的な人たちが関与する資本主義からなる。

ここにある複雑性や異質性がそのまま観察することが世界の理解に繋がる。そうすると、個々の時代において人類には可能なことと、不可能なことがあるが、一つの層だけが可能であっても時代は動かない。三つの層、特に日常生活を支える下層をおさえないと胎動は表面化しづらい。その根底にあるのが人口だ。

人口が増えると空間とそれを利用をする人のバランスが崩れ、構造全体が問い直される(栄養不足者・貧窮者と流行病・食糧欠乏の関係)。だが、15-18世紀の世界の人口を正確に把握できるデータはない。すると「さまざまな人間団塊相互間には、諸世紀を通じて、相対的に固定した数的関係が保たれていた」ことを根拠に、比較的「使えそうな」欧州の数字をベースに他地域の数字の算出を試みることになる。

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その結果、欧州人口の4-5倍、中国人口の4-5倍が、世界の総人口になる。そこから分かるのは、15-18世紀は疫病や戦争などによる膨大な死亡率をも打ち勝つ、人口の圧倒的な増加(上図)があり、人類はこの圧力に順応しなければいけなかったのが、この期間の大切な事実である。

増加の原因は、医学や衛生の進歩とだけとは説明できない。なぜなら全世界で一斉にそうした進歩があったわけではないからだ。人間の数が増え、それらの人間の住み着くことができる空間を増やすことが可能になったからだ。それも世界的共時性のある現象としてである。

しかも、この時代に国際経済が強大な力をもっていなかったことを考慮すると、その要因は他にある。全人口の80-90%は物質文明の層に属する農民であった。したがって、この物質文明の変化を招く物理的・生物学的な(地球に統一感を与える)世界レベルでの結びつきがあったと考えられ、その要因の大きな一つに気候変動が挙げられそうだ。

気候変動がすべての背景にあると単純化することは避けないといけないが、昔から人は、気候や天の責任を問題にする傾向がある。個人や集団の運命も天体によって説明しようとするのは、人間が巨大な自然に対して先天的に脆弱であると認識せざるを得なかったからである。

<分かったこと>

人は分かりやすいところからしか説明しようとしない。分からないことはほっておくしかない、と。そして分からないことは、逆に神話や伝説としてしか残らない。したがって科学的で合理的な記述と非科学的な記述の間に溝ができ、両者が対立関係におかれる。とても不合理な展開だ。それが15-18世紀を描く歴史においても適用されていた。全体性への拘りは手間がかかるが、除外してはいけない。


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