アニソン視点によるディスクガイド 007 緊急企画 星野源

星野源 / ドラえもん

 多数の人に認知されると、一人ひとりの評価は過小になってしまいがちであります。僕はアニメもしくはマンガとしての『ドラえもん』が特別好きというわけではないのですが(そしてもちろん映画を観に行く予定もない)、星野源の「ドラえもん」は好きです。なんてことを言うと、鼻で笑われたり、ネタと捉えられたりしてしまいます。

 この歌がなぜ僕の心を掴んだのか、それは星野源が『ドラえもん』のためだけに歌を作ったからです。あれだけの才能のある人ならば、『ドラえもん』の枠を超えて、どんな場面、場所でも使われ続ける名曲を作ることは可能だったはずなのです。しかし彼は「ドラえもん」という曲名で「ドラえもん」と歌うことでそれを拒否している。『ドラえもん』でないと「ドラえもん」は成立しないのです。星野源はウケを狙ったわけでも、子ども受けを狙ったわけでもなく、ただただ、『ドラえもん』とその登場人物たちのためにこの曲を作ったのです。それは当たり前のことであるべきなのに今まで誰もしてこなかった。そしてこの曲が生まれた以上、今後これを超える『ドラえもん』の歌はまず作られないでしょう。そのことを理解していない人が多そうなので急遽これを書きました。

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