糖尿病の予防には医者の力はあまり頼りにならないという話
最近、糖尿病予防に対する議論が盛り上がっている。
この人の影響は大きいと思われる。
この御方は糖尿病ではないが、糖尿病薬を予防内服しているとのことである。(※糖尿病薬を予防内服を行うことは糖尿病発生を遅らせるエビデンスがあり、欧米では推奨されているが、日本では自費診療となるので注意。)
ここで言う糖尿病とは2型糖尿病であり、代表的な生活習慣病(昔で言う成人病)の一つである。
一般の方は糖尿病と聞くとどう思われるのだろうか。
「一生治らない」、「自己責任の病気」、「太った人がなる病気」
といったところだろうが、これはいずれも間違いである。
●糖尿病は治療目標を満たせば必ずしも薬を飲み続けなくても良くなることがある。
●どれだけ食事・運動で自己管理をしていても遺伝の影響で糖尿病になることはある。
●痩せていてもインスリン分泌能が枯渇し、糖尿病(高血糖)になってしまうことがある。
つまり、どんな人でも糖尿病になる可能性はあるし、どんな人でも糖尿病になることを少しでも遅らせる努力が必要であると言える。
そこには勿論、食事療法や運動療法と言った擦り切れるほど言われてきた非薬物療法が大事な訳であるが、医者はしばしば効果的な非薬物療法を提示できないし、患者によっては十分な治療コンプライアンスを得られないことがある。
まあ、それも当然であり、医師は食事療法や運動療法のやり方は医学部で習わないので、あまり具体的、個別的なアドバイスはしない/できないのだ。特に非専門医は大部分の場合において、栄養に関しては栄養士に頼っていたり、「カロリー・糖質制限をしてください」や「運動習慣を作ってください」など常識レベルのことを伝えるのみとなっていることが多い。
つまり、各患者のリテラシー(情報を利用する力)やコンプライアンス(予防を継続する力)が2型糖尿病治療・予防には非常に重要なのである。
もし2型糖尿病発症を遅らせたいと考えていただけるのであれば、まずは自分が高リスク者(肥満、高血圧、高脂血症、濃厚な糖尿病の家族歴がある)であるかどうかを知るところから始めて頂きたい。また、年に一回は必ず健康診断を受けることが二次予防の意味でも重要である。
Reference) Development of Risk Score for Predicting 3-Year Incidence of Type 2 Diabetes: Japan Epidemiology Collaboration on Occupational Health Study(PLOS ONE 2015年11月11日)
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