職場と私の整理

上司からのラインに脳がキュっとなった。何も驚かす内容じゃない。診断書が届きました。一ヶ月休職するなら、休職明け前に面談しませんかということ。

そこからいろんなことが手につかなくなって、ずっとスマホで再就職やら職業訓練やら検索しては形にならないこと1時間。やはり職場について考えを整理したいと思い、今に至る。

ここからは私個人の今回の転職で精神がまいった話である。
私は障害者枠でこの度グループ会社に転職を決めた。当初は業界について経験値と理解を深めたい分野があるための転職だったが、先週から休職にいたった。読んでいただけたら幸いだし、自分の整理のために書く。

1.「うちらって最高!」についていけない

4月、転職して1日目にランチに連れて行ってもらったときは「よほど仲がいいチームなのだろう」と思っていた。部長と他メンバーで緊張はなく、また年齢差もあまりないからだろうか、壁がない。ドライすぎるよりずっと良い。でも、なんか距離が近すぎる気がする。楽しめるといいな。

しかし、その日のうちにあった一瞬で、度肝をぬかれた。PCを画面共有されていたのだが、PCの背景が部長の写真だった。画像に残された細部からオンライン会議中に撮ったものだとわかる。部長も完璧にポーズを決めている。

これ、つっこむべき?いや、つっこんだら負けなのか。目の前の先輩は強めの語気で説明している、ということは大真面目。もちろん突っ込まず、この時のことは夫に苦笑いで話した。なお、この数日後にほかにも部長の写真を背景にしている先輩がいることを知った。

その後も、戸惑いは続いた。基本は在宅で仕事するので連絡がチャットになる。飛び交う雑談と絵文字・顔文字・ネットで拾った画像。チャットの通知を切りたいところだが、仕事の連携もチャットでされるため、放置のラインを見定める。数日でノリについていけないことは理解したので、適当にリアクションボタンを押しつつ、重要な情報を見逃していないか確認する。

面談で部長に背景画像について聞いてみた。照れつつも嬉しそう。ふざけてもOK、「仲良しな我ら最高」とどこかで語っていたなと思い出す。そう、「うちらって最高!」。この「うちら」に悩まされることになる。

2.でも「うちら」にあなたは入れません

ノリの違いとともに、気になっていたことがあった。
私は仲間にいれてもらえないらしい。

メンバーは女性のみで現時点で6人。そのうち1人が出向してきている。出向者と私以外の5人が部のオリジナルメンバー。

気のせいだと思ったし、思いたかったが、情報連携をしてもらえないことに気が付いてしまった。全部後出しで、作業したり、間違ったあとに教えられる。職場あるある、でも、頻度が多い。規模も大きい。なんだこれ。しかたなくメモしては自作マニュアルに反映するを繰り返す日々。そもそもマニュアルもない。新人がマニュアルを作るのも、あるある……あるある?私がきっちりすぎるのだろうか。

一部の先輩が私にだけ語気がきついと思うのも、私の被害妄想ではないかと思った。実際、合理的配慮の一部として「きつい口調はやめてほしい」と伝えている。でも、チャットのなかで文面が違う。オリジナルメンバーには友人とのラインばりの砕けた書き方だけど、私だけ厳しく伝えられる。

思い切って、出向されてきている先輩に相談した。私が抱いている不安を「気のせいだ」と言ってほしかったが、逆だった。実は先輩も、出向してきてから同じ扱いを受けていると言う。無視はされていないが、たしかに彼女に対して失礼、でも仲良さげにふざけているからOKなのか?という発言もチャットで見ていたので、息をのんだ。私たちは「うちら」に入れてもらえないのだ。

先輩からは「基本的に情報共有はされないから自分たちで探したり、あきらめないといけない」と諭された。私はその後も一部の先輩に露骨に無視されたり、フォローを拒否されたりした。

3.すみません、「でも」


入社して2週間後、ある業務を担当することになり、レクチャーが始まった。説明を聞き、負荷が大きいことは分かるのだが、なんだか得体が知れない。説明だけ聞いていても前述のこともあったので、業務関連の連絡に混ぜてもらえないか提案した。そしてメールのやりとりから残業が大量にあることを知った。入社当初の説明と食い違う。鳥肌が立った。

こんなに残業があるとは聞いてない、と部長に言うと、「そうだね。でも好きなように働けるよ?」と答えられた。「でも」って逆説になってる?残業、好きじゃないです。「いいんだよ、業務から外しても」と言われるも、部長を信用していいのかこの時点で分からなくなっていた。「ああ言えばこう言う」で疲弊する。全然解決されない平行線。説明がされないまま業務にあたってたら、と思うと心がめげそうになる。

4.嫌われたくないのはわかるけど

ここまでくると、もはや何かがおかしいと。私は世間一般から見たら、病気の療養期間もあって社会人経験は短い。ただ、上長は何人か見てきたからこそ思う。部長が管理職っぽくない

業務を教えてくださる先輩の説明があまりに部分的かつ脱線してしまうので、部長に相談したところ、「先輩の説明下手は、前から課題だった。あなたはその練習台になってもらおうと思って当てている」と言う。そして「先輩の説明下手を直してほしい」と言われた。どちらも原文のままである。

頭の中は混乱していた。
先輩の説明がわからないなら、先輩の説明の仕方を直してほしい。

すごい発想だ。そしてとてもじゃないが私にはできない。これを機に私は腹痛を起こしてしまい、翌日休む。その次の日、部長と面談が設けられた。

正直に言うしかない、と心を決め、「先輩の説明下手を直せと言われたけれど、無理です」と言った。転職してから自分の意見を言えるようになったのだけは、良いことだと思った。

部長は言う。「私そんなこと言ったっけ。記録ある?」

「説明を直して」の部分は、ハラスメントにあたるわけでもない。ただ、ものすごく悩まされた。だからカウンセラーにも話しており、ファイルにも記録しており、紙媒体で日付とともに残していた。(何の効力があるのかはわからないが、習慣だった)

記録していたことを伝えると、謝られた。画面越しに部長を見ながら、自分のほうが落ち着いていることに気が付いた。部長は謝りながら、今後について気を付けると述べつつ、他に不満はないか聞いてきてこう言った。

「ほら、私、偽善者っぽいじゃないですか。」

職場で聞いたことはない言葉、それは「偽善者」。なんで今人間性の話なのか。「わかりかねます…」と困った回答をしつつ、はっとした。

部長は、嫌われたくないのだ。
あと、この場で「そんなことないですよ」と言ってほしいんだ。

一瞬、納得する。人間だから、わからなくもない。私もリーダーやらなんやらやったとき、すごく悩んだ部分だ。わかる。わかるけど、今、私がそれでめちゃくちゃ困ってる。部長が「先輩の説明下手を直してほしい」と言ったのは、部長から注意ができないからではないか?そしてそれは、「うちら」の仲を崩したくないからではないか。管理職じゃなくて、同僚とか友達のテンションだからだ。面談するだけで、平行線でそれっぽく流している意識だけはあるらしい。

そこからというもの、体調を大幅に崩し始めて休職に至る。私って何だったんだろう、と思う。被害者意識が強いのでは、と悩んだ。ハラスメントでもないようで、結局まぁ情報連携されなかったり、とにかく頭はモヤモヤしまくって、ガス欠になった。

書いてみて思うけれど、やはり自分は「うちら」と合わなかった。それだけ。あとは切り替えて休職して、次を探したいと思う。願わくば、休職・退職のやりとりでもめたくはない。


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