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2022年3月15日(ヨコタヒロユキ)

以前から告知してた通り、この度"ヨコタヒロユキ"のソロアルバム作品を恐縮ながら自分の立ち上げたレーベルよりリリースする。まだ立ち上げたばかりで弱小なレーベルではあるが、なんとか一年でここまでこぎ着けたという感じである。

ジャケットも大変シンプルな内容であるため、ライナーノーツ的なものをここで綴りたいと思う。

ヨコタヒロユキという人間に出会ったのは確か20年以上前である。彼は当時10代最後あたりの年齢で"ベビーカー"というバンドで柏を中心に活動していた。当時は単なる顔見知り程度の関係であったが、ベビーカーの音源には自分は非常に感銘を受けていた。その後ベビーカーを解散したのち、その後のバンドでパークダイナーへ出演するようになり、その後"TOY"というバンドを立ち上げる。今思えばTOYの楽曲の原型やテイストはベビーカーでも片鱗はあったと思える。その当時は時代背景に青春パンク、ハードコア、メロディックパンクの流行りもあった中、彼自身やTOYは独自のサウンドで頭角を現していたし、その後も全国へその名を轟かせることにもなる。

自分はTOYの活動スタートから彼とも関係性を強くするのであるが、その歌と楽曲のセンスには度々驚かされるばかりの当時であった。単なる自分は彼の作る曲のファンであった。その当時の関係性もあり、その思いが彼に伝わっていたかはわからないが苦笑

TOYは全国リリースも数度経てツアーも活発にしていたが、その後活動休止をした。ヨコタヒロユキも音楽やライブハウスの世界からもいつの間にか姿を消した。その後も自分は時折彼を思い出すこともあったりもしていた。

それから数年後の2017年の下半期頃であろうか。ほぼ更新されていなかった彼のツイットを目にした。「そろそろ音楽やろうかな」的な内容だったかと思う。すぐさま自分は連絡を取り、ライブをブッキングした。バンドは止まったままであったため、弾き語りという形にはなった。その後久しぶりに再会するわけだが、なんと彼はソロ音源のデモまで用意してパークダイナーに現れた。その音源も非常に良く、バンドでの活動は出来ないがマイペースにまた弾き語りから活動を始めるという考えも聞くことが出来た。

弾き語りの活動を重ねることにより、彼を懐かしむ同世代や後輩もいたがヨコタヒロユキやTOYを知らない世代や、その後の共演により彼を初めて知る歌い手なども増え、彼の周囲の環境はまた当時のバンドシーンとは違う形でアップデートしたかと思う。

話は変わるが、2019年に自分がパークダイナーのコンピレーションアルバムを制作した後、次回作はライブハウスの看板ではなくそろそろ自分のレーベルという形で心から世に出したいという思いも強くなっていた。そんな中やはり"ヨコタヒロユキ"の存在は自分の中でかなり多くなっていた。とはいえ、彼自身は数年休んだ後あくまでもマイペースに音楽を生活と共にまた楽しむというスタンスであるのは知っていたため、当初はそれを告げることはなかった。そして2020年のコロナ禍の中、レーベルを立ち上げた後に昨年BONSAI MUSIC ENT.という名のもと、まずはのろしを上げるため数々の参加してくれたアーティスト達によりコンピレーションアルバムを制作販売をすることが出来た。確かそのあたりで彼に「ソロ作品を出させて欲しい」と伝えたかと思う。

BONSAI MUSIC ENT.というレーベルはヨコタヒロユキを出すのも大きな最初の目的でもあった。レーベルという形も自分にとってはチャレンジでもあり、ようやくやってみたいという考えにもなれたタイミングでもあった。簡単なことでもないし、甘いものでもない。そういう意味ではヨコタヒロユキにもこの経験をさせてもらえた感謝は尽きない。いい音楽といい人間がそこにいなければレーベルは機能できないし、制作も出来ない。

今回の"ひつじのとき"という作品。以前デモとして出した再録曲もあるが、それ以外はほぼ書き下ろしである。まさに現在の"ヨコタヒロユキ"を表現する楽曲である。彼自身の人間性を多く書き綴るのはここでは控えておくが、とにかく彼は人間らしいユーモアも持ち合わせ、音楽というものを愛し、なおかつ真剣に今の活動やライブに向き合ってるのは強く感じてきたし、長く疎遠であった後に再会し、それから幾度も酒を酌み交わし、幾度も会話を重ね今回に至れたのは間違いない。

作品にある"ダサいままで"という楽曲の歌詞にもある通り「不完全なままで進め 未完成のままで輝きは失くさないように」この言葉は自分にも多分に当てはまると感じている。まだ不完全で未完成ではあるが、次の場所はあるわけで次のステージはあるわけである。

自分もまだまだもがいて生きていきたいところである。

ヨコタヒロユキは10代から30代へとバンド活動にその人生を捧げ、一通り経験をした。業界によくある苦いも甘いもそれなりに知り、良くも悪くも叩き込まれてきた。そして一時長い期間休んだ。そんな彼が再びソロとして歩み出す大きな一歩になれることを願っている。始めたばかりの大きな資本もない弱小レーベルでもあり、ビジネス的なビジョンは大きく言えるわけでもないが、純粋に自分は彼の歌を知ってもらいたいだけである。

ライナーノーツになってるかわからないが、この辺にしておこうと思う。なぜかというとそのために彼が作る音楽があり、歌詞があり、歌があり、今回の"ひつじのとき"があるわけだから。

BONSAI MUSIC ENT. / 岡野博樹

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