幸運な師弟関係とは、魂同士の恋愛関係である
「有能な教師と出会うことで、有能な生徒が目覚める」と思いがちだが、実態は、「有能な生徒と出会うことで、有能な教師が目覚める」のである。
ほとんど運命とも思える幸運な出会いをした教師と生徒、師と弟子は、ある種の恋愛関係に陥る。二人の間にあるのは、肉体関係を伴わない恋愛感情のようなものだ。それは、肉体を超越しているため、「魂同士の響き合い」と言ってもいい。
魂同士の響き合いとは、いかなるgive(gift)も介在させない関係のことである。魂同士を媒介するものは魂だけである。いかなるgiveも介さないので、そこにはいかなる申し訳(excuse)も必要ない。
そういう関係は、一方が他方に一方的に影響を与えるのではなく、相互に影響し合う関係だ。つまり、双方とも相手のファンなのだ。そのとき、双方とも、相手に自分と同じものと、自分にはないものの両方を見ている。このとき、教師(師)が生徒(弟子)に、かつての自分だけを見出すなら、その関係は単なる上下関係となる。常に上に立つ師は、弟子に「早く私の場所までこい」と手招きする。
もし双方が、相手の中に自分にないものを見るなら、それが未来へ向けての共通のヴィジョンとなる。共通のヴィジョンこそが、未来から二人を手招きする。有能な生徒(弟子)に出会うことで、教師(師)の未来も拓けるのだ。
教師が生徒をうまく導けないと思う理由は、目の前の生徒が自分をどこへ導こうとしているのかに思いを馳せないことにある。
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