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節目とオムライス

独り暮らしのアパートへの引っ越しが完了しました。
引っ越しは大きな家具が少なかったこともあり、業者に依頼はせず両親と3人で行いました。内見で一度来ただけの町。1度入っただけの部屋。

引っ越し作業が終わり、両親が帰路についてからは自分はリフォーム直後のケミカルな匂いの残る部屋に独り取り残されていました。23年間実家で暮らした自分が初めて手にした自由。それと同時に無限に選択肢があるが故の不安や焦燥感。いろいろな感情が一気に押し寄せてフリーズしてしまいました。

何とか気力を振り絞って、夕飯を食べに駅の方へと足を向けるものの、空腹感はわいてこず。ここでいいかと妥協して入ったチェーンのファミレスでは、オムライスを注文。僕にとってオムライスは、高校受験の日から新しい場所へと連れて行ってくれる魔法の食べ物。

第一志望の高校に恋焦がれて、1年間猛烈に勉強した高校受験。午前の数学が劇的に難化したために出来はボロボロ、心もボロボロ。昼休みになって、持ってきたお弁当を開けると母手作りのオムライスとメッセージカードが出てきて一気に心が和みました。午後の理科も過去問で見たことがないほどに難しくなっていたものの、昼休みである程度平静をとりもどしていたからこそ何とか回答。なんとか第一志望に合格。

昨夏に受験した2度目の大学院入試でも、某コンビニが発売しているオムすび(オムライスのおむすび)を、高校受験の時のジンクスにかけて食べました。

今日もこれから始まる新生活もそれらにどの受験と同じようにうまくいきますようにとオムライスを注文したものの、緊張などから目の前のオムライスの味はせず、ただただ高校受験の日の母のオムライスの味を思い返すばかりでした。

だけど、独り立ちした今だからこそ、節目ごとのオムライスは自分で作らないといけない。はじめきっと不慣れだから焦げたり味のバランスが悪かったりするだろうけど、試行錯誤を重ねるうちに、きっと母の味と23年を生きたライアンとして生きた自分の味が合わさったオムライスができるはず。

それと同じように新生活もはじめはトラブルが多くとも、きっとちゃんと生活できるはず。

頂いたサポートは、南極の植物を研究するために進学する大学院の学費や生活費に使わせていただきます。