初めての詩集
義務教育の国語の教科書に毎年必ずのように載っている詩。
なんだか古臭い言い回し、物語というには細部が欠け、文字数は極端に少なく手抜きに感じる
どうにも好きになれない。
教科書で読むなら小説や、論説がいいな
心が動くし、新しい何かの情報が知れるから。
それが長らく僕の詩のイメージでした。
だから本屋に行って、詩集が棚に並んでいるのを見ると
誰が買うのだろう。
ずっと疑問に持ち続けていました。
そんな僕も今日「誰が買うのだろう」と思う側から、
「誰」の側に移動をしました。
横浜の野毛の方にお伊勢さんがあると知り、最近の不運に終止符を打つために行ってみようと思った帰り。
ぶらりぶらぶら散策をしている最中、古書店を見つけました。
何故だかあのあたりは古書店が多いイメージがあります。
古書店と古本屋って似ているようで全然違う気がするんです。
古本屋はbook offみたいな最近20年くらいの本を扱う店。
一方古書店は、それよりもっと古い本を扱う店。
そんな古書店の前を通りかかったとき、表通りに面した本棚に「一冊百円」と酢昆布の箱くらいの大きさの張り紙が目につきました。
何かいい本あるかな、と覗いてみると
村上春樹とかの新しめの本もあったものの、背表紙から目が離せなくなる本が。
それが、菊池敏子「紙の刃」という詩集。
菊池さんとはいつの時代のどんな人なのか知らないものの、「紙の刃」というタイトルから目が離せず、村上春樹そっちのけで知らない詩人の本を会計へ。
「古い本がたくさんありますね。いつからお店やってるんですか」
「2000年からだよ」
思ったより新しい・・・。
なんて会話をしながら、お会計。
家に帰って開いてみると、古い本特有の香り。グラシン紙の手触りが真っ先に。
あの古書に巻いてある紙、滑って読みにくいけど、巻いてるとちょっとカッコイイなんて気がしてしまう紙。
あと、古書特有の布製の表紙の手触りを味わってからいざ本編。
(あの布表紙好きだから最近の本もあれがいいなぁって)
ちょっとした日常の風景を短い言葉で綴ってる。
細部が欠けているからこそ、そこを想像で補える。
時にほっこりし、時にはっとする。
昔教科書で読んだときには気づけなかった、詩の心地よい手触りを
初めて体感しました。
また、別の詩集も今度は読んでみたいです。
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