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そんな忘我の夜には―

お酒を飲んだ。
日中に読んだ小説の影響か、お酒を飲みたくて仕方がなくて、ウィスキーを割って飲んだ。そこから徐々にアルコールの摂取量はエスカレートしていって、今では酔っ払いが一匹、パソコンの前に鎮座するだけである。

普段の思考回路であれば、「自分自身」という社会的生物の1個体の体面を守ることにとらわれて、自分という存在の輪郭を強く意識し、その外側に広がる他者と世界の耳目から守ろうと努めていた。
でも、アルコールをたくさん摂取した夜だけは、その自意識から解放される。

自我の境界があいまいとなって、他者との間に隔たりを感じにくくなる。普段なら見せない笑い上戸な一面なんかを表に出してしまう。

そんなときにこそ、小説を読むと、最高にキマると思う。
やっぱり、奈須きのこさんの「空の境界」は最高すぎる。
どんな時に読んでも、自分の思考をその世界観、文体に引きずり込まれる。
今もまさに、その真っ最中。

アルコールの助けによって、自分自身の輪郭があいまいだからこそ、他者の思考がそのまま流れ込んでくる気がする。それはなんて贅沢な―。

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