夜中のバスは未知への扉
同じ系列の色々な教室で塾講師をしています。
教える科目はその時々。
メインは理科で、時々英語や数学も教える。
付け焼き刃なんで簡単に剥がれちゃうけれど、その時に出来る全力を振り絞る。
そうして色々な教室を渡り歩くと、色々な生徒がいて、色々な教室があることに気がつく。
普段の生活は電車とその駅の周辺がほとんど。
だから、バスなんて年に数回旅先で乗る程度。
塾に行く時を除けば。
教室によってはホントに住宅街の真ん中で、バスが交通の要のところもある。
そういう所は、教室の周りを複数のバス路線が通ってるから、行きと帰りで違うバスにのることも。
普段あまりバスに乗らない自分にとってみたら、バス自体が異空間なのに、夜闇に走るバスなんて異世界に等しい。
窓の外は真っ暗で、窓に反射する車内の様子が外の世界を阻んでる。
疲れてぼーっとする頭を、バスのエンジンの揺れに合わせて揺らしながら
「どこか知らない場所に漂着したらいいのに。」
なんて妄想する。
でも、異世界に思えたバスの中もしっかり現実で。
最後はどこかの駅にたどり着く。
「もう覚めちゃった。」
次のバスはどこへ往く。
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