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コロナ禍の厳しい医療経営。ミッション•ビジョンの確立が組織を強くする

こんにちは!Antaa運営です。

医師が共に学び、共に成長する『Antaa Academia 』。講義では、多方面でご活躍される先生方をゲストにお呼びし、医療経営やマネジメントをテーマに、ご自身が経験したこと、そこから得た学びをお話頂いております。

8月27日に行われた「Antaa Academia 5期DAY2」では、医療法人社団新潮会 北城雅照理事長が登壇してくださいました。本記事は、発表の内容をご紹介します。

医療法人社団新潮会 北城雅照理事長
北里大学医学部卒業後、慶應義塾大学医学部整形外科学教室入局
2019年東京都足立区に整形外科クリニックと病院を開院し、開院100日で延べ受診患者数1万人を達成。正しい医療を提供し信頼できる整形外科クリニックを日本に増やすために活動。他にも複数企業の経営陣として参画中。
Antaa Academia1期生。クリニックサイトはこちら

私が、東京都足立区に整形外科クリニック・リハビリテーション病院を開業して早3年が経ちました。開業からわずか3か月で、述べ外来患者数が1万人を達成し、順調な走り出しに見えました。しかしコロナ禍の影響により、2020年4月以降は病床稼働率は50%と低迷、外来患者数の増加も減速傾向にありました。

今日の講義では、こうした危機に対してどう組織を運営していったか、お話出来ればと思います。では、ここで皆さんにクイズです。

クイズ:コロナ禍の厳しい医療経営。生き抜けられた要因は何でしょうか?


私の答えとしては、まず『ミッション・ビジョン』を明確にしたことです。
外来をやっていると、どこに正しい情報があるのか、何が正しい情報かが分からない、ということが多々あります。一方、質の高い医療情報や技術を保有している先生方も沢山いらっしゃいます。足立慶友整形外科の中で双方を上手にマッチングすることで「患者さんに正しい医療を提供するプラットフォーム」でありたい。

これが、開業する上で掲げた『ミッション・ビジョン』です。何が正しいかは、その時の状況によって変わります。日々研鑽することで”今はこれが正しい”といわれる医療を学び続けています。

足立慶友整形外科で実現したいこと

私は”医療はサービス業”と思っているため、患者さんにきちんとしたサービス提供をすべきと思っています。たまに高齢者の方に、タメ語で話す医療従事者がいますが、それはよくないと思っています。目上の方には礼節を保って対応することは、サービス業では当たり前です。その当たり前をきちんと提供しようねと。そうすればここに「来てよかった」と思い、何かあったらまた来てくれる場所になるのではないでしょうか。

あとは、自分自身の立ち位置を決めました。具体的には、叶えたい未来を実現する組織のためプロデューサーに徹したことです。ミッション・ビジョンを体現するべく、自分自身も柔軟に変えました。ほかにも、当院の志に共感してくれている”メンバー集め”も重視しました。新卒採用説明会や面接の場には、必ず出向くようにしています。候補者の評価ポイントは、人間性と能力の主に2つとしています。人間性は特に重要視しており、「自責」ができるか・両親からの愛情を受けているか・感情を出してくれる人間味の部分があるかなどを見ています。

以上が、冒頭クイズに対する私の答えです。
2022年8月現在では、延べ来院患者数20万人超、年間手術件数は600件超のクリニックへと成長を遂げました。

続いては、いま私がやっていること、未来に向けてやっていきたいことをお話します。

医療経営の見える化のため、一石を投じる存在に

現在は組織が衰退していかないよう、成長を刺激することに注力しています。組織の人数が多くなると、他部署メンバーの顔が分からなくなり、自部署の優位性を訴えるセクショナリズムが出現します。そのため、セクションのトップ同士の相互理解の場を作り、まずはトップ同士が認め合える関係性を保つようにしています。ほかにも、セクション同士が協力して達成するプロジェクトを立ち上げるなどして、お互いが認め合う行動を称賛しています。

今後は、「経営指標の見える化・効率化」と「情報発信と回収を徹底・拡大」を行います。医院経営をしていく上で、何を指標にすればよいのか、算出した数字が本当に正しいかどうかわからないことがあります。手探りで指標を作ったりもしましたが、2年前から本格的にプログラミングを学びはじめ、その知識を元手にレセプトデータから経営指標が見える解析ソフト「APOLLO HCX」を関係者と製作しました。現在は、この企業のCTOとして『医療経営の見える化』を促進する活動をしています。

「APOLLO HCX」

あとはソーシャルネットワークを通して正しい情報を発信したり、コミュニティ形成にもチャレンジしたいです。ユーザーの方は当院を受診するかは問わず、コミュニティに入って頂くだけで有益な医療情報を得ることはもちろん、ユーザー同士の関係性も育めます。思えば、病院の待合室で患者さん同士が会話をしながら情報交換することは元来あります。それをデジタル上のコミュニティに置き換えるイメージです。

最後に、『医療経営の見える化』は今後特に重要だと思っています。10年後、20年後にはプログラミングがより民主化し、それを扱える医療者も増えていくでしょう。そのためにも、まずは自分その分野で一石を投じる存在になれればと思っています。

医師が共に学び成長する「Antaa Academia 」

本記事は、2022年8月27日に行われた『Antaa Academia 第5期 Day2』の講義内容をまとめたものです。Antaa Academiaは、次代の医療機関経営/運営の中核を担うマネジメント層の育成を目的に、約半年間にわたり医師向けのマネジメント•リーダーシップに関する講義をお届けするオンライン学習プログラムです。

環境や立場によって、組織を率いたり経営に携わったりする医師の方もいらっしゃるでしょう。しかし「どのようにチームを引っ張ればいいのか」「どのように考え意思決定し、どう振る舞えばいいのか」一人で悩むこともあるのではないでしょうか?

Antaa Academiaは、こうした悩みを抱える医師同士で集まり、共に学び、共に成長する機会を提供しています。

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