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オンライン診療を新たにはじめる時に見たいスライド4選

オンライン診療は、離島医療などの場面で活躍されるのではないかということで限定的に開始された経緯があります。現在では、診療報酬改訂や診療の規制変更を経て、ようやく離島以外でもオンライン診療を使えるようになりました。そして2019年以降のコロナ禍でよい意味でオンライン診療の適応拡大に拍車がかかり、ケースによっては初診でもオンライン診療が可能です。

オンライン診療をはじめる前に、まずは厚労省が実施しているオンライン診療研修が必要です。それに加えてオンライン診療の知識を得るために、Antaa Slideをチェックしましょう。

オンライン診療が規制緩和されて実臨床でも活用しやすくなった

需要が増えてきたとはいえ、いきなりオンライン診療をはじめるのは困難です。新たにオンライン診療をおこなうための機器を整備し、どのような疾患を対象にするかなどを事前に決めておく必要があります。実際に導入された先生の実例を参考にしましょう。内田直樹先生の「オンライン診療で何ができるのか」を紹介します。このスライドでは開業医の先生がどのようにオンライン診療をはじめたのか注意すべき点など、実例を知ることが可能です。

オンライン診療は基本的に、すでに診断がついている疾患の経過観察や再診に向いています。再診の場合には、特に疾患の制限はないようですが、麻薬や抗精神病薬の処方はできないことは知っておくべきでしょう。スライドにはオンライン診療をはじめてみてのよかった点や課題も提示されています。具体的な課題としては、高齢者がスマートフォンやPCなどでオンライン診療専用のアプリを使えない、インターネット環境が整っていないなどがあるようです。

オンライン診療に向いていない疾患もある

オンライン診療にも向き不向きがあります。どのような病気でも苦しさや強い痛みなどの急激な症状や重篤な状態は、オンライン診療には向いていません。慢性疾患でオンライン診療により経過を観察していた場合にも、急変時には対面診療に切り替える、救急要請するなどの対応を事前に決めておくのがよいでしょう。

さらに詳しく疾患や対応を知るために、吉田伸先生のスライドを紹介します。スライドにあるように、日本プライマリ・ケア連合学会からオンライン診療ガイドが作成されています。オンライン診療を導入する際は、ぜひガイドにも目を通しておきたいですね。スライドでは、オンライン診療の対応対象の展望についてまとめられています。コロナ診療ではトリアージに、かぜ診療も訓練すれば将来的には初診に、オンライン診療で診察や治療が可能かもしれませんね。

産婦人科医でなくても緊急避妊薬処方に精通しよう

緊急避妊薬は性交後72時間以内に内服する必要があり、迅速性が求められます。しかし避妊薬を必要としているすべての人が、産婦人科にアクセスできるわけではありません。最近では、緊急避妊薬のオンライン処方が可能となりました。研修を受けた薬剤師がいる調剤薬局において薬の受け取りができます。この機会に緊急避妊薬についてスライドで勉強しましょう。

柴田綾子先生、遠見才希子先生のスライドは、オンライン診療に限ったものではありません。産婦人科医でなくとも、救急外来などでも緊急避妊薬を必要とする患者さんに対して処方する場面もあると思います。オンライン診療をうまく使えば、患者さんの緊急避妊薬へのアクセスもしやすくなり、望まない妊娠を減らせます。緊急避妊用ピルの禁忌はアレルギー、肝障害、妊婦の3つの禁忌を回避すれば、安全に使用できるということです。産婦人科医でないと、なかなか出しにくいと考えてしまうかもしれませんが、注意すべきことはとてもシンプルです。

禁煙外来はオンライン診療と相性がよい

循環器内科や呼吸器内科の先生は、外来で禁煙外来をおこなう頻度が増えたのではないでしょうか。近年、会社や飲食店で全面禁煙となってから、禁煙希望の患者さんは増えています。なかなか禁煙するために通院するのは難しい場合もありますよね。禁煙外来はオンライン診療と相性もよく、専用アプリを使っているクリニックも。うまく禁煙外来をおこなうためにAntaa Slideで学びましょう。

ガラパゴス伊藤先生のスライドでは、行動変容理論でのアプローチを紹介しています。どのような病気でも、症状がなかったり軽かったりする場合には、治療を開始するのか継続するのかの判断が難しいことも多いですよね。禁煙外来において、各行動変容のステージごとの声かけについて具体例があげられています。また、ニコチン依存症に対しておこなう禁煙治療は自費ではなく保険診療で治療が可能です。バレニクリン、ニコチンパッチなど薬物治療をうまく活用しましょう。

オンライン診療をうまく活用してよりよい医療を提供しよう

この記事では、オンライン診療をはじめるにあたって参考にすべきAntaa Slideを紹介しました。オンライン診療やオンライン医療相談に加え、遠隔読影のシステムや救急搬送前に患者さん情報を救急隊や病院間で共有するシステムが新たに開発されています。IoTやAIなど新たな技術がどんどん医療に流入しています。よりよい医療を提供するために、さまざまな技術を活用できるのはよいことですね。

執筆:すたば@救急医