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知ると役立つ眼科知識のスライド3選

患者の目に症状が出た時、眼科へすべてお任せしていませんか?眼科以外の診療科でも眼科の知識を知っていると、いざという時の診断に迷わず役立ちます。
今回は、多くの診療科で関係する点眼薬から生じる全身性の副作用や、薬剤による目の副作用、対光反射に関するAntaa Slideを紹介します。

点眼薬でも全身性の副作用が生じるため、問診で忘れずに確認しよう

点眼薬は少量の使用でも、全身性の副作用を起こす可能性があるのをご存じでしょうか?問診時に、点眼薬まではなかなか確認しませんよね。点眼薬で生じる全身性の副作用を確認するには、ドクターK先生のその症状は点眼薬の影響かも!?~点眼薬が全身に与える影響~ のスライドがおすすめです。
スライドでは、特に注意したい点眼薬として以下の4つを解説しています。

  • β遮断薬(緑内障・高眼圧症)

  • 炭酸脱水素酵素阻害薬(緑内障・高眼圧症)

  • α2受容体作動薬(緑内障・高眼圧症)

  • アトロピン(調節麻痺・近視予防)

今回はスライドで紹介されている点眼薬の中から、β遮断薬の点眼薬の副作用を確認しましょう。β遮断薬は、刺激伝導系や心拍出量の抑制作用、気管支平滑筋収縮作用があります。そのため、不整脈や心不全、喘息などの肺疾患を持つ患者に使用した場合、症状が増悪する可能性があり、注意が必要です。

スライドでは、呼吸苦で受診した患者が、実はβ遮断薬の点眼後に喘息が増悪したケースが紹介されています。他の仮想症例も、とても参考になるのでご覧ください。

ところで、点眼薬はどのように全身へ影響するのでしょうか。点眼薬も涙と同様に、涙道から排泄されます。涙道とは、目頭側にある涙点から入り、涙小管や涙嚢、鼻涙管を通り、鼻腔内へと排出される経路です。点眼薬は涙道を通って鼻腔内へ排出後、鼻粘膜などから吸収されるため、全身に影響します。

副作用を回避する方法は点眼薬の変更です。軽症であれば目頭から鼻根部を圧迫し、涙道へ目薬が流れないようにする方法も紹介されています。機会があれば、実践してみてください。

ステロイドや抗コリン薬などを使用する場合は眼科受診も検討しよう

薬は目に副作用がでることもありますが、あまり意識せずに使用している人もいるかもしれません。もし知っていれば、目に症状が出た時にすぐ疑えますよね。ドクターK先生の意外と知らない眼に影響する薬のスライドでは、以下の4つの薬を解説しています。

  • ステロイド

  • エタンブトール

  • クロロキン

  • 抗コリン薬

ステロイドや抗コリン薬は多くの診療科で使用される薬剤です。
ステロイドによる眼合併症として、頻度の多いものに白内障や高眼圧症(緑内障)があります。副作用は容量依存性とされるため、ステロイドパルス療法をする場合などは注意が必要です。また、投与経路によらず、内服や点滴の他、軟膏でも発症する可能性がある点は覚えておきましょう。

副作用として白内障を認めた場合、ステロイドを中止しても改善しないため、改善するには手術を要します。また、緑内障においてもステロイドを中止できない場合には、点眼薬や手術が必要です。ステロイドを長期間や大量に投与する場合は、眼科受診を促しましょう。

抗コリン薬はすべての緑内障に禁忌と思っていませんか?正しくは、閉塞隅角緑内障の患者には使用禁忌です。抗コリン薬を投与する場合は、緑内障の詳細を確認し、必要であれば眼科に相談しましょう。

視神経障害を見逃さないために、RAPDを確認しよう

瞳孔の診察は多くの診療科で必須ですよね。しかし、何となく診察している人も多いのではないでしょうか?対光反射を今一度確認するには、ぐちょぽい先生の知っているようで知らない対光反射〜瞳孔評価キチンと出来ていますか?〜のスライドがおすすめです。

スライドでは、対光反射の経路の図を用いて、対光反射の原理や、視神経障害と相対的瞳孔求心路傷害(Relative Afferent Pupillary Defect:RAPD)、瞳孔診察の評価方法などに関して解説しています。頭部外傷を診療し、視神経障害を診る可能性のある医師にはとても参考になります。

まず、対光反射の経路を復習しましょう。
左眼に光を入れた場合、信号は左の視神経を通り、視交叉で両側へ分かれるため、両眼で対光反射により瞳孔が収縮します。このとき、左眼は直接反応、右眼は間接反応といいます。

次に、視神経障害がある場合のRAPDについて、確認しましょう。

  1. 正常側の眼に光を入れた場合:正常側は直接反応、視神経障害側も間接反応により、両眼とも縮瞳する。

  2. 素早く視神経障害側に光を入れた場合:視神経障害により、直接および間接反応はともに減弱するため、瞳孔が開き始める。この場合、視神経障害側がRAPD陽性。

文字だとわかりにくいかもしれませんが、ぐちょぽい先生のスライドは図があり、とてもわかりやすいので、ぜひご覧ください。

眼科に関連する副作用の特徴と対光反射を理解しよう

今回は、眼科以外でも知っておきたい知識として、点眼薬の全身性副作用薬の目に関する副作用対光反射に関するスライドを紹介しました。
副作用は知らないと診断まで遠回りしてしまいそうですが、知っていればすぐに鑑別にあげられますよね。また、頭部外傷を診察する場合は、視神経障害の見逃しを避けるためにRAPDも確認しましょう。

専門外の知識のアップデートまではなかなか手が回りませんよね。まだまだ、多くの役立つスライドがAntaa Slideにはあるので、ぜひお時間がある時にご覧ください。

執筆:shun@形成外科