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専門外の医師向け!小児の診察時に役立つスライド4選

小児を決して診ない医師はいらっしゃいますか?すみません、この記事が役立てることはなさそうです。小児を少なくとも年に1回診察する医師はいらっしゃいますか?このまとめは小児を専門としない医師に、特におすすめの記事です。私は、救急受診件数の多い地方病院勤務や都内の一般内科アルバイトで、専門範囲外の小児診察を経験しています。軽症ならお断りせずに診てきた結果、使う頻度の高い小児診察の知識があることに気付きました。

・小児の薬処方
・熱性けいれんの対応
・頭部打撲・転落時の対応


今回は、これら3つの知識に関して学べるAntaa Slideを紹介します。

小児診察の基本は、よく使う薬剤の処方と親へのホームケア指導

「子どもは、小さな大人ではない」とは、哲学者ルソーが、発達心理の視点を持って子どもを扱うべきとした言葉でした。しかし、小児への薬剤処方に関して医師に注意を促すために使用される言葉でもあります。大人への処方を、体重換算して出せばよいというものではありません。小児診療に習熟していない医師が適切に薬剤を処方するには、まずは小児領域の頻用処方を学ぶのが安全で近道ではないでしょうか。さらに実際の小児診療は、親への説明やホームケア指導の重要性が高いという特徴があります。
まずは、小児科での処方の基本を実臨床に役立つかたちで学べる秀逸なAntaa Slideを紹介。どっと@小児科先生が作成されたスライドは、枚数は少なくコンパクトです。にもかかわらず、自分の経験症例を多数思い返してもほぼ十分な知識を網羅しています。ぜひお気に入りに登録しましょう。

救急搬送の頻度が高い熱性けいれんは対応も説明も学ぶべし

私自身、小児救急搬送の経験症例は、すべて良性の熱性けいれんでした。到着した時には患者は自然にけいれんから回復しており、家族への十分な説明の後に帰宅させました。しかし、時には、親御さんはもちろん患者本人も真っ青になって搬送されてくることがあります。熱性けいれん疑い搬送時に除外すべき疾患、初期対応、親御さんへの説明に関して、どっと@小児科先生のAntaa Slideで学びましょう。とても読みやすく、ガイドラインベースで記載されていて学習に最適です。親への説明スライドが、今日からそっくりそのまま説明に使えるのもいいですね。

子どもがソファーから落ちたと言われた時に見逃してはいけないこと

一般外来によく飛び込みがくるのが、「子どもがハイハイしてソファー(ベッド)から落ちました!」です。小児の頭部打撲については、まず、ntk@脳神経外科先生のAntaa Slideが必見です。「頭部打撲を契機に発見される虐待症例は非常に多い」と書かれており、同様の主訴を複数診てきた自分は、身が引き締まる思いでした。たまたま頭部打撲を診察した医師だけが、被虐待児における地獄のクモの糸になり得たという状況は、起こり得ます。小児を一度でも診る機会のある先生方はご一読いただきたい。万が一の時にはためらわず、その子のために警察に通報してください。

また、虐待ではないとしても「うんうん、お母さん大丈夫ですよ」と説明する根拠や医学的な基準があります。小児の転落に関して「知識無しで、カルテも書かずに」何かあったら責任問題です。転落時の医療機関受診の目安や、頭部CT撮影の目安になるようなガイドライン、研究結果などがあることを知っておきましょう。総合病院国保旭中央病院の高寺侑先生のAntaa Slideは、押さえておくべきガイドラインがわかりやすく解説されています。スライドも読みやすいのでおすすめです。さらに、小児科学会のInjury Alertなどを用いて、救急外来で事故を未然に防ぐための試みを解説したスライドはとても参考になりました。一期一会の救急診療で、小児の受診自体を減らす工夫をするという診療姿勢を見習いたいと思います。

非専門医なら小児診療で出会う場面の基本の「キ」を知っておこう

この記事では、小児科診療に今日から役立つ基本知識が詰まったAntaa Slideを紹介しました。他科の医師が小児科の知識をすべて網羅するのは難しいことです。そのため、小児診療における大切な要点を押さえていれば、それで十分ではないかと個人的には考えています。ぜひ紹介したAntaa Slideで学んでみましょう。

執筆:珊瑚@緩和医