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2022米中間選挙、最終版までもつれ込み

2022年米中間選挙まで残すところ数日。米政治専門紙ポリティコの11月4日現在の予想は、上院は未だ接戦、下院は野党・共和党優勢の模様。知事選では民主党に分があるとみている。一方、同日のNBCテレビ(ウェブサイト)が中立のクック政治レポートを基に伝えたところによると、郵送並び投票所で期日前投票を済ませた人の数は全米で約3870万人(民主党45%、共和党36%)に上り中間選挙としては過去の記録を上回る投票率で、上院は同数議席で競り合い、下院は民主党が僅かにリードしている。

大接戦の上院で共和党が多数党となるのに必要なのはたった1議席の上積み。激戦州10州の中でも、特にペンシルベニア、ジョージア、ネバダの3州が勝敗の鍵を握る。ペンシルベニアとジョージアの両州では共和党候補がそれぞれトーク番組の司会者と元NFL(全米フットボールリーグ)選手という抜群の知名度とトランプ氏の推薦を受けて優位に立ったが相次ぐスキャンダル発覚で失速、最終版で持ち直しを見せている。また、観光産業が主のネバダ州は特にインフレの打撃が大きく、現職の民主党候補が不利な戦いを強いられている。

選挙前最後の週末となった5日にはペンシルベニア州でバイデン大統領とオバマ元大統領が民主党候補の応援演説を行うほか、トランプ氏も同州に共和党候補の応援に入る。両党の顔である現職と前大統領が1州に勢揃いすることとなり、ラストスパートに向けて過熱ぶりが伝わる。特に2年後の大統領選に向け再出馬を模索しているトランプ氏にとってはこの演説が前兆戦と言えそうだ。ただ、今も絶大な人気を誇るオバマ氏を除き、バイデン大統領はその支持率の低さが仇となりかねず、さらにトランプ氏に至っては人気と反感が表裏一体で、共和党穏健派や態度を決めかねている有権者を遠ざけることになると危惧されている。

バイデン政権発足から2年。MAGA(トランプ氏の熱狂的支持者)による議会襲撃に始まり、コロナ対策、アフガニスタンからの米軍撤退、ロシアのウクライナ侵攻、記録的インフレ、移民の急増、気候変動、銃撃事件の増加、人工妊娠中絶の合憲性を覆す最高裁判決など争点は多岐にわたり、そのたび政治的攻防を繰り返してきた与野党。10月後半の各世論調査では有権者の最大の関心事はインフレを含む経済が35-44%と圧倒的首位で、民主主義への脅威が20%台で次に続く。政権の信任投票と位置付けられる中間選挙だが、今回は民主主義対トランプ氏とMAGAに代表される独裁主義の選択を問う戦いにもなっている。直前に起きたペロシ下院議長の夫への襲撃事件で犯人がトランプ支持者だったことで政治暴力への懸念が再燃し、反トランプから民主党に票が流れるか、または通説通り全てはその時点での経済状況が決定打となり政権にNOが突きつけられるのか、選挙当日まで目が離せない。

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