見出し画像

世界的大企業ならでは、なのか? - スウェーデン・イケアの挑戦

 先日配信された「日経ビジネス2022年12月19日号」の特集記事を読んでいて感じ入ったことがあります。そのタイトルは「イケアの執念 - 超サステナブル経営の内側」。 “Part 1 脱炭素へ、インフレ突破“、”Part 2 環境配慮=高コストはNO - 自己否定いとわぬ突破力”, “Part 3移動・昇格は公募制 - キャリア形成、個に主導権“, “Part 4 貧しさが生んだ挑戦魂 - サステナブルの民主化へ”と勇ましい言葉が目次に並びます。 持続可能性を追求するということの強い執念が、イケアをしてここまでやらせるのかと驚くほどですが、この記事を読んでいて同社の本気度が伝わってきました。  

 イケアが続ける挑戦は誠にアグレッシブで売上高6兆円超の大企業と思えないスピードで進んでいるようです。 この記事の読者である私の気持ちが思わず高ぶった幾つかのキーワードを次に列記してみます。 これらのキーワードはこの日経ビジネスの当該記事から引用したものが大半ではありますが、私自身の意訳も含んでいます。

  • 2030年までの目標として、温暖化ガスの吸収量が排出量を上回る「クライメートポジティブ」を達成する ― この目標を達成するためには世界各地のイケアの組織にあるレストランで食される食べ物も例外ではなく、イケアは“植物由来”、”低価格”、”味もよい“点に徹底的に拘り、植物由来ミートボールの代替え品である植物由来のプラントボールを現時点(2022年)で年間2億5000万個販売

  • “環境配慮に配慮した製品は割高”という常識は通用しない

  • 素材と設計の見直し、リサイクルや中古品回収と再販売

  • 2030年までに製品の素材に占めるリサイクル素材またはリサイクル可能材料の割合を100%にする

  • 2025年に全電力を再エネに==>自前の再エネ設備に9400億円投資、サプライヤーにも資金援助

  • 男女平等、社員の全階級で男女比率は1:1 日本法人の女性管理職は50%達成

  • ぬいぐるみにも回収素材

  • 「仕方なくやる」は持続不可能  

 ここに記されているそれぞれの内容は、大企業だから出来ることだと考えてしまうとそこで思考は止まります。 確かに、大企業だから…ということにも一理あると思いますが、中堅・中小企業でも知恵を絞れば出来るのではないか、ANSLists2.0に掲載している「やさしい企業」の中にも既に小規模ながら持続可能性の追求に道筋をつけている企業を多く見ます。また、持続可能な社会に貢献している、あるいは、できる素地・素材を内包している企業も多くあるように思います。   

 では、何故、日本全体を見渡した時に「持続可能性」の追求という点で後れを取っているように見えるのでしょうか。日本社会が陥ってしまった「失われた三十余年」から未だに脱出できない根本原因の一つが、上述の思考停止だと思います。 失敗を恐れず「必ずできる」と執念をもちスピード感をもってやり続けること、精神論のように聞こえますが、これを実際に行い成果を出しつつあるということがこの記事に書かれているイケアの挑戦です。    
 
繰り返しになりますが、”持続可能”な世界づくりが言われ始めて久しく、今や喫緊の課題となっています。 これに貢献できる素材が日本には沢山埋もれており、一丸となって取り組めば世界に大きく貢献できるはずだと思います。 直ぐに、解を見いだせるわけもありませんが、このことも頭に置きながらANSLists2.0を綴っていきたいと思います。

ANSListsでは「やさしい」企業を多数紹介しています。

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?