見出し画像

10:誰の葬式かで葬式内容は違って当然

葬式には様々な決まり事があると思い込んでる人のほうが多く、ネットでも本でも葬式とはこうあるべきもの――、と建前論というか、安っぽいドラマというか、ようは無責任な他人事ひとごとばかりが目に付きます。

千数百件の葬式を自ら担当、全家族と膝を突き合わせて本音を聞き、本音で支援してきた葬式の現場しか知らない人間から言わせて貰うと、葬式とは『誰が』『誰の』『どんな想いで』するかによって違って当然、その当り前を伝える文章は見たことがない。

故人の供養――、普通は――、一般的には――、これらの言葉は葬儀屋が売上を上げる目的で使ってる言葉だと思って間違いない。少なくとも残る家族の生活を考えてる葬儀屋では無いと断言する。残る家族の生活を最優先してる僕から出る言葉では無いからです。

まず葬式をする人は家族とは限らず、親戚もあれば、後見人もあるし、離婚した元配偶者が行う葬式もあって、離婚すれば他人で無関係なのに『何でかなぁ』と思ったが理由を聞けば「あーねぇ」と思う。

対象者が離婚後再婚しておらず2人の間に子供がいて頼れる人が無ければ、病院施設から相談を受けた役所は子供に連絡します。対象者と子供の関係が良好なら問題ありませんが、離婚後は一切連絡もとらず付き合いも無い事も多く、子供達に負担を掛けたくない片親が死後の面倒を看る事になる。

普通に考えて離婚した相手と良好な関係はありませんし、一緒には生きられないから離婚した相手の葬式など関わりたく無いのが本音。貴方がこの立場ならどんな葬式を考えますか?

生きてる時はどうであれ死んだら仏なのだから手厚く弔ってあげたい。何て思う人っているかな? 出来れば関わりたく無くて当然だろうから「火葬だけで充分、遺骨処理が必要なこっちのプラン、逝去連絡は病院から直接うちに連絡してくれるよう依頼しておけば全て終わったら連絡するから顔は出さなくても良いですよ」と言う。

感情の違いはあるけど似たようなケースなら『叔父叔母の葬式』『兄弟姉妹の葬式』『親戚の葬式』など家族以外の葬式もそうです。

離婚した元配偶者は極端だけど実際は何件も経験してるし、夫婦だって家族だって全て良好な関係でなく、最悪な関係の家族は結構いるんじゃないかなぁ、で無かったらこれほど離婚経験者が多く無いだろう。

自分の最後を頼める人がいない人って天涯孤独で無くて、誰も引受けてくれない人が多く、生前から付き合い方を――、と言っても無理だろうから、元気なうちに死後に必要になる事の全てを完全予約しておくべきだろう。

家族以外で引き受けて火葬してくれる人がいたらラッキー、都内民間の火葬場なら火葬場への支払額9万円、葬儀屋は別途で23区の葬祭費7万円を差し引いても超低料金の葬儀屋で最低10万円以上の負担、直葬プラン15万円なら17万円ほどの負担です。

中には行政からの連絡で顔も知らない親戚の葬式を引き受けちゃう優しい人もいて『なぜ!?』と思うでしょうが『行き倒れの人の火葬は行き倒れた地域の行政が行う』決まりがあり余分な出費は抑えようと片っ端から親族に連絡すると優しい人は引受けちゃうんだね。

火葬と遺骨処理費用を払える余裕があれば問題ないけど、行政からの連絡で家族以外の葬式を考える際、参考になりそうな事を書いておきます。

・行政からの依頼は当然拒否は出来ます
・対象者が生活保護なら行政にお任せが得策です
・国保(社保)への加入確認(葬祭費5万円支給される)
・年金も含めた預貯金有無の確認
・但し掛った葬式費用は故人の預貯金から貰えますが、多額の預貯金があっても受け取れるのは法定相続人で欲をかいても私腹は肥やせません。

葬式を考える上では2つの要素があります。

『対象者及び施主の財布事情』
対象者(自分)に多額の預貯金がある時は『公正証書遺言書』を作成、相続や葬式も含め揉めない工夫をしておく事です。

家族の葬式に於いても、家族の収入、対象者の預貯金や年金と存命中の医療費や施設入所費の掛りようで葬式内容は変化して当然、痴呆が入って施設入所期間が長ければ最低でも月額15万円掛り、特別養護老人ホームなら7万円、8万円で足りるケースもありますが入所条件が要介護3以上(日常生活の全てに於いて介護が必要な状態)と敷居は高い。

ようするに対象者の終幕後は出来るだけの事をしてあげたいと思っても財布事情が許さなければ無い袖は振れないのです。

そこで無理をさせる葬儀社か、家族の生活を優先する葬儀社か、どちらの葬儀社を選択したがで、葬式後の家族の生活は天と地の違いが出ます。

葬儀屋の実態は後述しますが、残る家族の生活より、故人の――、と口にする葬儀屋は僕の立場ではお勧めできません。ローンを組ませたり、事前相談で葬式代が出る保険を勧めるのは高額な葬式前提の葬儀屋だからです。

また無理をさせようとする葬儀屋を静止してくれたり家族の生活を優先したアドバイスしてくれる親戚や友人知人は大切にすべき相手ですが、葬儀屋や寺の受売りで残る家族の生活を考えてくれない人達なら例え親戚でも「付き合いを止めろ!」と言いたい。

家族生活を崩壊させる意見の親戚、もしその場に僕がいたら例え喧嘩になっても断固親戚に意見するだろう。それでも親戚の意見を聞く家族なら依頼は受けず一般の葬儀屋に連絡するよう伝えるだろう。家族の生活が守れない葬式をする気はなく、この場合必要なのは葬儀支援でなく葬儀屋だからです。

『家族全員仲良しではないから――、』
同居の家族だから仲が良い訳ではありません。本当は嫌だけど長男、長女だから同居してる人だっています。でも別居だけど対象者への愛情が深い家族だっています。そんなケースでは対象者への愛情の深い人が施主となり葬式することを勧めます。

費用は割り勘が基本ですが、各々したい葬式、火葬、家族葬など話し合い各々が思う葬式形態の分割料金を出し合えば良い(子供3人の場合)仮に直葬12万円、家族葬30万円だとします。

例えば長男は直葬で良いなら1/3の4万円払う、次男と長女は家族葬なら各1/3の10万円払うと24万円で6万円足りませんから一人2万円づつ追加支払いとなる。但し長男は一切口を出してはならなず、葬式で食事があるなら参加人数も限定されます。これなら各々の気持ちを汲んだ葬式になる。

ほんの一例に過ぎませんが、どんな葬式をして、費用分担をどうするかでも事前に支払う人達の間で取り決めを作っておけば揉めずに済みます。

また「私は嫁に行った人間だから――、」と費用は出さない発言をする人もいますが親であることに変りはありません。貴方を育てくれた人達なのですからその発想は明らかな間違いだし財産分与の権利もあるからです。拒否するなら相続も放棄しなければ辻褄つじつまがあいません。

ひとつだけ覚えておいて欲しい
『自分が費用を全額出す覚悟があるなら、葬式について何を言っても構わないが、その覚悟が無いなら例え子供でも口を出すべきではない』

|||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||
参考資料(お時間のある時にでも読んでみてください)
あんしんサポート葬儀支援センター  
代表ブログ 葬儀支援ブログ「我想う」

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?