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58:生活保護より厳しい国民年金生活者

事前相談に来られる高齢者で多いのが『個人事業者』いわゆる自営で生活してきて現在は国民年金だけで生活している人達です。

サラリーマンは国民年金の他、厚生年金を会社が半分負担する形で強制的に加入しますから年収1200万円なら老後の年金は月額30万円以上あるはずですが、国民年金は満額でも78万900円(月額65,075円)ですから、夫婦とも国民年金なら月額13万円、地方都市で自宅があれば何とか生活はできるでしょうが国民年金に遺族年金はありませんから、配偶者が逝去した翌月から年金は半額になります。

夫婦で生活しても、単身で生活しても、電気水道光熱費は変わりませんし、食費も殆ど変わらないでしょうから最高でも月額65,000円の収入での生活は一気に厳しくなります。

一方、群馬県各市の生活保護費を『単身世帯』で調べると以下の通りです。
①生活扶助基準額+②住宅扶助基準額=支給額

70~74才》①69,530円+②34,200円=103,730 円 前橋市
75才以上》①65,470円+②34,200円=  99,670 円 前橋市

70~74才》①69,530円+②30,000円= 99,530 円 高崎市・桐生市
75才以上》①65,470円+②30,000円= 95,470 円 高崎市・桐生市

70~74才》①66,640円+②30,700円= 97,340 円 その他市町村
75才以上》①62,850円+②30,700円=  93,550円 その他市町村

※持家なら住宅扶助基準額は支給されません
※「家賃」が基準額より低い時は家賃額が支給される
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参考までに東京23区の生活保護支給額
70~74才》①74,220円+②53,700円=127,920円 東京23区
75才以上》①71,900円+②53,700円=125,600円 東京23区
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以上の現実からいくつか不自然な点と疑問点を書き出してみましょう。

群馬県主要5都市の中で高崎、前橋の人口が多く、続いて太田、伊勢崎で、両市より人口半数の桐生が二級市扱いで葬祭扶助費や生活保護費も高い。

かつて桐生が3番目に人口の多い市だっからですが、昭和25年の改正後、平成26年改正でも手が付けられず現状との矛盾感は否めない。

されど、それ以上に国民年金しか無い個人事業者、農業、林業、漁業従事者の老後が悲惨な状況であるのに改善しない事が解せない。かつては何処の町も個人事業商店街があり庶民の台所を賄ってきたし、そのお蔭で活性化してきた都市も多く町の発展功労者だと思う。

国民年金は1961年に始まったが強制加入でなく強制は1986年から、しかし5年後の『1991年バブル崩壊』で零細事業、個人事業は不景気風を受け景気回復もせず、時代の変化で大型モール優勢で閑古鳥が鳴く日々の中、年金の支払いにも事欠き国民年金満額受給者は非常に少ない。

個人年金等で補えば良かった――、正論ではあるが、国が個人事業者等への厚生年金加入の道を開いておけば、穏やかな老後を過ごせた人達もいたであろうと思われる。厚生年金加入さえできない個人事業、零細企業の踏ん張りで敗戦後の経済成長を実現した国でありながら、公務員と大企業など一定規模以上の企業サラリーマンを優先してきた結果が60人に1人の割合で生活保護申請されてる現状なのだから疑問を感じる。

生活保護受給条件に際して特に疑問を感じるのは『福祉課担当者によって判断が違う』ことであり、その根底にあるのは『3年毎に職場が替わる事だろう』特に下記2点に於いての問題を感じる

》自動車の所有
心身の障害があれば当然ですが、地方都市に於いて30分に1本の電車とか1日数本のバスでは通勤・通学に支障があるのは明白、必要不可欠なら車の所有が認めらるのに『全く考慮せず自動車は駄目』と言われてるとしか思えない現実が多過ぎる『仕事をさせたくないのか!?』としか思えない判断をする担当者が多く、軽自動車限定で充分なのだから個々の事情が考えられる程度のスキルと頭脳と常識は持たせてから仕事をさせるべきだ。

》自宅不動産
住む家が必要なのは当然の事、自宅があれば『住宅扶助』が無くなり支払い額が減るのだから構わず自宅は駄目とする担当者の存在も納得できない。

生活保護の審査については相当問題があり、改善では無理、抜本的な大手術の改革が必要だが、今回はそこでなく生活保護が適用されると様々な特典があり、その点を加味すると生活保護も受けず気概で踏ん張ってる国民年金生活者が生活保護者より数段大変な現実であり、それを放ったままにしている国家、都道府県、市町村行政の感覚は全く理解できない。

『8つの生活保護扶助』

・生活扶助(食費、被服費、光熱費等)
・教育扶助(学用品費等)
・住宅扶助(家賃、地代等)
・医療扶助、介護扶助、出産扶助
・生業扶助(生業費、技能習得費、就職支度費)
・葬祭扶助の8種類に分かれ必要に応じて単給または併給されます。

『生活保護メリット』

・所得税・住民税・固定資産税などの税金免除
・国民年金保険料免除
・国民健康保険料免除
・介護保険料免除
・介護サービス利用料免除
・NHK受信料免除
・保育料減免
・医療費免除

国民年金(多少の厚生年金含む)だけで生活する人と、生活保護の表面に見える収入だけで見れば、左程の違いはありませんが『生活保護メリット』を考慮すると、かなりの違いが出るのは誰でも分るでしょう。高齢化すれば医療費負担、或いは入院治療費が有るのと無いのでは全く違うのが分るでしょう。

だからと言って生活保護メリットを減らせと言ってるのではありません。個人事業をしてきた人達も隆盛な時は多額の税金を払うなど収入に応じた税金は払い続けてきたのですから、せめて生活保護と同等もしくは、それ以上の生活保障があって然るべきでは――、と思うのは自分だけでしょうか!?

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参考資料(お時間のある時にでも読んでみてください)
あんしんサポート葬儀支援センター  
代表ブログ 葬儀支援ブログ「我想う」
家族の死後に後悔しない為の一冊

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