大浜 安秀じぃちゃん

1921~2020年(享年100歳) 沖縄県石垣市に生まれる。戦前・戦後の奄美大島・沖…

大浜 安秀じぃちゃん

1921~2020年(享年100歳) 沖縄県石垣市に生まれる。戦前・戦後の奄美大島・沖縄本島・石垣島での日々を綴った、自費出版エッセイ集より、おじぃちゃの軌跡を一人でも多くの方に読んでいただけたら嬉しく思います。(孫)

最近の記事

空手の名人

 先日、医院の待合室で見た新聞によると、毎年十月二十五日は「空手の日」と定められているという。初耳である。  沖縄の空手は、中国の武術を一部取り入れ、およそ七百年前に現在の形に完成した。空手人口約五千人で、実際に演武している人口は一千万人といわれる。世界百五十ヵ国に普及し発展した。  こういう記事とともに、空手の歴代名人というか、達人といわれる七、八人の人物の写真が載っていた。その中に通称チャンミーグワ(以下、通称でお呼びします)こと、喜屋武朝徳氏も羽織袴姿に威儀を正して写

    • 辻の話

       辻の話といっても、十字路の辻ではない。むかし、那覇市辻町にあった辻遊郭のことである。俗にチージといった。なにを今さら辻の話でもあるまい。寝た子を起こすような、くだらない話はよせと言われそうである。  しかし、戦時中まであった三百軒、三千美妓といわれた辻遊郭は、くだらないどうかは別として、私は子どもの頃、ひょんなことから、辻の女と知り合ったことがある。  昭和六年ごろ、那覇、首里間にはチンチン電車が走っていた。私は小学五年生で父はどこかに勤めていた。  ある日、母が風邪で

      • 満100歳まで生きたおじいちゃんの話

        はじめに  私は「後期高齢者」の上に”超”の一字をのせたいほどの馬齢を重ねました。九十年余り生きているが、ただ呼吸していたらここまでたどりついたという感じである。健康法とか長生きの秘訣などは一切ない。ただし、毎日買い出しに一キロ近くは歩いている勘定だ。  老いを防ぐことはできない。いくらでも遅らせるために、いつも華やぐ心ー艶やかな気持ちをもつことが大事なように思う。つまり、あしたは孫の運動会だ、やれ正月だ、夏休みだ、などの日常茶飯事に自分の思いをのせて頭に描く。とにかくいろ