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「Vtuberの決意表明」らしき記事の混入について。

東京フェアリーテイルパレスよりご報告いたします。

東京フェアリーテイルパレスは現在、広報活動の一環として、広報アンバサダーであるツアーガイドクルー、「一乃宮アンリ」によるnoteの執筆活動を進めております。

今回、当世界線上の一乃宮アンリによって執筆された文章では無い記事が混入、投稿されていたことが判明いたしました。

本事象は、東京フェアリーテイルパレス内にてガイドアシスト、並びに平行世界広報窓口として稼働している特殊AIによるデータサルベージ結果が混入したものであると結論付けられております。

当該文章については、当世界線上の一乃宮アンリの確認の上、再度公開を行う事となりました。

当世界線上の一乃宮アンリからのメッセージと共に、別世界線上の一乃宮アンリに該当する人物による文章を公開いたします。

この度は一時的に混乱を招きましたこと、深くお詫び申し上げます。


当世界線上の「一乃宮アンリ」からのメッセージ。

みなさん、こんぱれ!
私がデータ確認をして今この文章を書いているのは朝の5時なので、私からするとおはぱれ、ですね!
(時空異常事態とはいえ、陽も昇らないうちに呼ばれるのはちょっぴり眠いです…)
改めまして、東京フェアリーテイルパレスにてテーマパークツアーガイド並びにアンバサダーを務めております世界線の一乃宮アンリです。
アンくん、といつも通りお気軽にお呼びくださいませ!

さて、ご存知かとは思いますが、東京フェアリーテイルパレスでは、今後、平行世界…つまりパラレルワールドの研究が進んだ際に、別世界線からの来客を見込み、様々な世界線へ広報活動を行っております。
特に、東京フェアリーテイルパレスが存在しない世界線の皆様には、本来たどり着けないはずのテーマパークとなります。その希少性からご興味をお持ちいただけるのではないかと思い、より一層のプロモーション活動としてnote.IRIAM.Youtubeなどの媒体で活動をしております。
ですが、やはりパラレルワールド研究の重要地点となった東京フェアリーテイルパレスがそちらの世界では存在しないため、パラレルワールドに対する研究が大幅に遅れている様子であると把握しております。実際、皆様もパラレルワールドとはどのようなものか、今ひとつ掴めないのでは無いでしょうか?

今回、時空間異常により、「別のパラレルワールドの一乃宮アンリが書いた文章」を発見しました。
本来、混乱を招く可能性があるため、この文章はいつもなら私たち共でアーカイブを取り秘蔵する…のが通常の流れとなります。
ですが、今回は皆様にパラレルワールドとはどのようなものか?その時空の不思議をより感じて頂くきっかけにもなると思い、文章を公開する事にしました!
この文章を読むことで、みなさんはきっと、
パラレルワールドという夢の研究の奥の深さを味わっていただけるのではないかと考えています!

ぜひこの後続く、「別世界線の一乃宮アンリ」による文章を読み、東京フェアリーテイルパレスが所有するパラレルワールドへの研究の一部を感じ取ってみてください!

そして…この文章を読むことで、「一乃宮アンリ」とは何者なのか、より一層の理解をする方も、より不可解になる方もいらっしゃることでしょう。

私から言えることはふたつだけ。
「私、一乃宮アンリは在ります」
「私をどこまで信じるかは皆様に委ねます」

それでは、別世界線の「私」が書いた文、
タイトル「眠れぬ夜にも夢は見る。」を
どうぞお楽しみください。
私は…朝早くから呼ばれてしまったのでまた夢の世界へと戻りたいと思います…。
それでは皆様、すこし不思議な世界へ、行ってらっしゃいませ!

東京フェアリーテイルパレスアンバサダー
一乃宮アンリより。


眠れぬ夜にも夢は見る。


陽が落ちたらコーヒーを飲まない。
そう自分で決めて数ヶ月が経った。
思い返せば、人との約束は守ろうとする割に、自分への約束は後回しにして反故にしてきた人生だった。
そして、今日またひとつ約束を破ってしまった。
けれども、蜂蜜を混ぜた甘いカフェオレを飲みながら夜風に当たるのも悪くない。
数ヶ月も自分との約束を守れたのだから、昔よりは進歩だよね、と思いつつ。

夜の帳は下ろされていく。
それなのに私は、むしろこの夜に目を輝かせて、ショーの幕を開ける。
スポットライトはブルーライト。
全ての台詞は、声ではなくてフリック入力で。
久しぶりに、深夜の綯い交ぜになる気持ちを文にしようとしている。
夜書いたラブレターは朝読み返してから推敲しろと誰かが昔に言っていたけれど。
深夜にしか味わえない、脳が空回りして、演算のエラーが積み重なった果てに行き着くうねる波のような感情、この勢いでしか産み出せない言葉があるのではないかと今は信じている。
朝の澄んだ頭では思いつかない言葉の中にも私がいるのなら、私はその私と出会いたい。

私にしてみれば、日中の誰かと会うための「社会の一部としての自分」というものを現代人は大事にしすぎている。
夜の内省とその反発を繰り返す、誰かのものでは無い自由な「今を生きる、生命体としての自分」をみんな忘れていないだろうか。

「一乃宮アンリ」とは、私にとって何者なのか。
それは、私にとって「自分」を覆い隠すものでは無かった。むしろ、夜の夢に近い時間に現れる自由奔放な「今を生きる、生命体としての自分」をより鮮やかに、より明確にさせる存在だった。
「自由な私」を世界の中に顕現させるための依代のようなものなのだと今は思う。
あれがしたい、これがしたいとわがままを繰り返す自由奔放な私こそが「一乃宮アンリ」であり、だとするならば「一乃宮アンリ」として何がしたいのかを考えるのに、深夜の感情の迸りに耳を傾けないのは道理が通らない事になるだろう。

簡単に言ってしまえば「なりたい私になれるんだから他の人の目とか気にしてる暇なんてないでしょう?」ということであって、私はその自由に生きるための姿を「一乃宮アンリ」という形で得たことになる。
私は、自分が自由に生きる理由付けを得たかったのだと、今更ながら気付く。
だからこそ、「一乃宮アンリ」という存在を受け入れ、楽しんでくれている誰かがいることに。「一乃宮アンリ」を好いてくれている方がいることに。
驚きと、感動と、感謝が一斉に押し寄せて来て、時々泣きそうになる。
私が、私のためだけの舞台を開いたら、いつの間にか思ったよりも多くの人がニコニコと見ていてくれていた。
そのことが、今どうしようもなく愛おしくて、幸せで仕方ないのである。

だからといって、客席に誰もいなくなったとしても、私は「一乃宮アンリ」であり続けるだろう。
なぜならば、前述の通り、「一乃宮アンリ」とは自由奔放に生きようとする私自身であり、そして、私が見たい夢そのものでもあるのだから。

私は、私のためにこの舞台をはじめたのだから。
だから、私が生きる限り、「一乃宮アンリ」の演者と観客両方として私はこの舞台を続けるだろう。


昔から、自分との約束を破ることの多い人生を歩んできた。
本当は寂しい時に、大丈夫だと騙したり。
本当は大好きなものに、素知らぬ顔をして好きにならないようにしたり。
今までの人生、私は私のことを大切にしてあげられなかったことばっかりだ。
今日みたいに夜中にコーヒーを飲んでしまう日もあるし。
これからだって、私は私の約束を破ってしまうことはたくさんあると思う。

けれど、これからは。
「一乃宮アンリ」として、私は、私の望むこと、私の夢を、私自身で叶えてあげて、生きていきたいのだ。
辛い時には誰かに頼ったり、
好きな人にはたくさん好きだって伝えたい。

たくさんの人に愛されなくたっていい。
ただ、私自身は絶対にあなたを、「一乃宮アンリ」を手放さない。
私は、私でありたい。
だからこそ、今日も私は、一乃宮アンリとして生きていくのだ。




さて、深夜の心の赴くままに筆を進めていたら、個人的には心の底から満足の行く文が書けて、胸の内がスッキリとしている。
明日の朝読み返して恥ずかしくなろうともこれ以上の無い決意表明が出来たのだから臆することは無いぞと思っている。

ただ、この文章には実に厄介な問題がある。パラレルワールドのテーマパーク広報が書いた文章というよりかは、Vtuberの演者の文章という色彩が強すぎる、ということである。

一乃宮アンリはパラレルワールドの東京に存在する東京フェアリーテイルパレスのテーマパークツアーガイドであり、広報のためのアンバサダーを務める人物である。
その広報活動の一環としてnoteやIRIAM、YouTubeでの活動をしている。

…はずなのだが、その認識で今まで書いた文章を読むとどうにも齟齬が生まれる。
まるで「一乃宮アンリは架空の存在であるか」のように読めてしまう。

この齟齬をどうお話にして現実の存在として読めるように解釈付けるのか、というのもバーチャルの存在のストーリーテリングの腕の見せどころ…でもあるのだが、今日のところはひとまず幕を下ろそうと思う。
幕の前に私のまぶたが、今にも下りてしまいそうだからだ。

そのため今回のこの文章の存在の齟齬についてはこのように説明をして、オチをつけておきたい。


一乃宮アンリはパラレルワールドのテーマパークツアーガイドである。
であるが、さらに別のパラレルワールドには、「一乃宮アンリという名前でパラレルワールドのテーマパークツアーガイドという設定で活動を行うVtuber」がいるのかもしれない。
今日のこの夜の夢は、そんなまた別の一乃宮アンリのパラレルワールドから届いた、とあるバーチャルの存在の演者の、夜のつぶやきが、たまたまここに繋がってしまっただけのこと。

そんなSFの入れ子構造的なオチとして、今日の話はここで締めくくりましょうか。




さあ、今日の話は一体、
どこまでがメタで、
どこまでが設定で、
どこまでがパラレルワールドと通じてやってきた文章なのか?

どこまでが本当なのか?

ただひとつ言えることは、
私のことを信じてください、ということ。
どの私を信じるかも含めて…

さあ、あなたは、どの「一乃宮アンリ」を信じたいですか?

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