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流産手術との向き合い方。

私が勤務している手術室では、流産手術があります。

何らかの理由により、赤ちゃんの成長が止まってしまい、お母さんのおなかの中で留まってしまう稽留流産に対して、おなかにいる赤ちゃんを外に出してあげる手術です。

とても残念なことですが、私も今までたくさんの流産手術を担当してきました。


患者さんへの配慮として、緊急の場合はやむを得えませんが、帝王切開をしている隣の部屋では流産手術は行わないようにしています。

流産手術で入室してくる患者さんは当たり前ですが、皆さんとても辛そうで、そして自分を責めている方がほとんどです。

原因についてはよく分かっていないこともあり、妊婦さんの努力ではどうしようもない場合がほとんどのため、自分を責める必要は全くないのですが、妊婦さんの自分を責めてしまう気持ちもよく分かります。

妊婦さんの中には不妊治療中で、年齢や身体的・精神的・金銭的な面から最後のチャンスだった方もいらっしゃいました。

その妊婦さんは「もしかしたら心臓が動き出したかもしれない」という思いから、手術を受けるギリギリまで赤ちゃんの様子を見てほしいと入院時から手術室に入るまで何度もエコーでの確認をお願いしていました。


この世に出された赤ちゃんは病理に回すため、検体として処理をされてしまうのですが、少しの間でもその命がお母さんのおなかに宿ったことに違いはありません。

私はその小さな命と、今度は元気な姿でまた巡り会えるよう祈りながら、そっとお別れをしています。

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