ストーリーで学ぶ交通事故案件処理マニュアル⑩

法律相談⑤


※今回は,相談者へわかりやすく説明することを念頭に置いているため,一部詳細な説明を割愛しています。そのため,厳密には不正確な記述もあります。

江頭「続いて,物損について説明しますね。」
加藤「はい。」
江頭「まず,物損については,法律上,修理代と事故当時の車両の時価額とを比較して,どちらか低い方しか請求はできません。今回の場合,修理代が50万円ぐらいとのことですので,車両の詳しい情報を得て,車両の時価額が50万円を超えるかどうかを調査する必要があります。」
加藤「そうなんですね。」
江頭「ご依頼いただければ,車両の価格調査などはこちらで行いますのでご安心ください。今回の件は,比較的新しい車両になりますので,修理代の方が低くなるかな~とは思います。」
加藤「わかりました。」


江頭「あとは,今代車を借りられているとのことでしたので,修理を進めて代車は早めに返しておきましょう。」
加藤「なぜですか?」
江頭「修理に時間かかって長期間借りてしまうと相手方から代車の借りている期間が長すぎるので,相当期間しか代車代は払いませんと言われる可能性があるんです。」
加藤「そうなんですね。わかりました。」


江頭「最後に過失割合について説明しますね。」
加藤「はい。お願いします。」
江頭「まず,今回の事故は,交差点内での直進車と右折車の事故です。その場合の基本的な過失割合は,加藤様が20%,相手方が80%になります。こちらの図です。」

(別冊判タの【107】図を見せる)

加藤「そうなんですね・・・私に20%も過失が出るんですね・・・」
江頭「もちろん,あくまでも基本的な割合です。ここから相手方がウインカーを出していなかったとかその他の事実を踏まえて,最終的な過失割合を決定していくことになります。」
加藤「なるほど。」


江頭「今回の場合,ウインカーを出していなかったという事実が認められれば,過失割合が修正され,加藤様が10%,相手方が90%になる可能性があります。ちなみに,加藤様の車両にはドライブレコーダーは付いてますか?」
加藤「あっ,そういえば旦那が付けてました!そこに映像が残っているかも知れません!」
江頭「映像が残っていれば重要な証拠になりますので,すぐに確保をお願いします。データを後程メールで送っていただけると助かります。」
加藤「わかりました。すぐに確認します。」
川口「いずれにしても,加藤様にも過失が出る可能性はありますので,その点はご理解ください。」
加藤「はい,わかりました。少しでも私の過失が小さくなるようにお願いいたします。」
江頭「お任せください!以上で,今回の加藤様の事故についての大まかな流れの説明となります。何かご質問はございますか?」


加藤「とてもよくわかり,安心しました。質問はないんですが,先生に依頼した場合の費用ってどうなりますか?旦那が弁護士費用特約に加入しているようなんですが。」
江頭「ありがとうございます。」
川口「費用の件ですが,今回旦那様が弁護士費用特約に加入されていますので,配偶者である加藤様の事故についても使用することができます。使用しても保険料は増額しませんのでご安心ください。」
加藤「そうなんですね!では,先生方にお願いしたいと思います。」
江頭「ありがとうございます。ご依頼に当たっていくつか書類を作成する必要がございますので,準備して参ります。少々お待ちください。」

ガチャ・・・(川口とともに一旦離席する。)

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