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組織が変わる/宇田川元一 #自己用書籍要約



◆組織が抱える慢性疾患の例
 ・イノベーション関係の取り組みへの他部門の協力が得られない
 ・新しい事業アイデアを出そうとする人がいない
・会議で誰も発言しない
・納期の遅れが常態化している


◆組織の慢性疾患 6つの特徴
 ➀ゆっくりと悪化する
 ➁原因があいまいで特定できない
 ➂背後に潜んでいる
 ➃後回しにされがちである
 ➄既存の解決策では太刀打ちできない
 ➅根治しない


◆組織の慢性への3つの対処方法
  1.危機感は生まれにくいことを自覚する
    慢性疾患は目立たず、誰も着手しようと思わない。長期にわたって悪化してきた慢性疾患だと理解する
  2.セルフケアのための対話を心掛ける
    ・いま、繰り返し組織で起きている問題とは何か
    ・それはどのようなときに生じるのか
    ・どんなきっかけや、過程を経て生じ始めたか
    ・どんな特徴やパターンがあるか
    ・自分の行動と問題がどのように関わっているか
    ・さしあたり、どんな手立てを講じることができるか
    ・(少し時間をあけて)手当てを講じてみたらどのような変化が起きたか
     表面的な問題をすぐに解決しようとせず、どうしてその問題が起き続けるのかメカニズムを理解していく
  3.問題を単純化しない
     なぜ問題の単純化が起きるのか?
→問題を既存の解決策で解決できると考えるから
→問題は解決しさえすればいいと考えるから

      (マネジャーの認識)
     ・負け癖がついている
    ・メンバーが自分から状況を変えようとしない
    ・それは、どんな状況にあるかわかっていないからだ
    ・状況を理解するためのフィードバックを増やそう
     →「みんなのやる気がないからだ」と考えるのは単純すぎる→さらに部下は受け身に。
      部下たちが自分から動こうとしない理由がよくわかっていないことがダメ、NG
     (メンバーの認識)
     ・ずっと負け続けていることはわかっている
     ・特に自分たちにできることはない
     ・この状況を変えるのはマネージャーの仕事だ
     ・自分から何かやっても無駄だ
     ➜改善したい人(この場合マネジャー)が、自分も問題の一部であると気づくこと
     ➜見えてきた状況を掘り下げること


◆慢性疾患へアプローチをする際の注意点
 心理的安全性は結果的に高まるもの。心理的安全性を高めることに注力するのは慢性疾患悪化への道のり


◆対話はわかり合うことが目的ではない理由
 わかり合うことを目的とした対話は雑談に過ぎず、自分たちが困っていることを解決できない
 「現場の部長が対話をしてくれない、どうしたらいいですか」というギスギスした社風を変えたくて対話に取り組んでいる人からの相談。
 →「なぜ部長は、そんな反応をするのだと思いますか?」
→「それが大事だとわかっていないから」「話すことに慣れておらずコミュニケーションそのものに問題を抱えているから」「互いにわかり合おうと努力しない風土だから」との返答。
➜こちらがよいと思う価値観を押しつけているいるだけで、相手の拒否反応の理由に向き合えていない。押しつけがましい対話は対話ではない


◆問題は責任感の欠如ではない
 「部下から提案が出てこない」→「仕事に対して責任感がないのでは?」
 →問題に対してどうアプローチしたらいいのか、問題の解釈が自分のナラティブに縛られてしまい、やむ終えず現状のナラティブで問題解決をしようとしている
  対話の準備段階、相手を観察する段階で、「観察しているんだけれどよくわからない」「こちらがいろいろ気を遣っているのに相手に伝わらず腹が立つ」といった声があった。→対話の入口を見つけるのは難しく、本人も苦しんでいる。自分自身への依存が悪化する。→NG!周りに話す
  ➜自分の感情、心の動きをひも解いてみる
  「部下が動かない。どうしたら?」の他にも「部下が自分についてこないことへの恐れや不安」
  ➜それはどう不安なのか?
「成果を出さなければならないプレッシャー」「同期のなかで出世の遅れを取る焦り」
  ➜その感情は何を目指しているから生じるのか?
  「よい成果を出したい」「よいチームワークを築きたい」
  声にならないモヤモヤを解消する


◆なぜ?(Why)と問わない理由
 気をつけるべきことは、「なぜ?」と問うのをやめてみること
 ➜代わりに「どんなときに?」「いつ頃から?」「どんなきっかけで?」「どんなふうに?」「関わっている人は誰だろう?」と自問自答する
「なぜ部下はモチベーションが低いのだろう?」と問うと、マネジャーの批判的な視点が強化され、「部下は若手で自分で事業を開発したことがない。事業に対しての責任感が足りないからだ」という理由付けになりがち。
→相手の複雑さを知るために、今のナラティブとは違う風景の観察を見ようとする


◆「同じ方向を向くことが大切だ」に反論する
そもそも同じ方向とは?
会社利益や社会貢献につながるという意味で同じ方向を向いていることは大切。
しかし、同じナラティブを生きることを強いるのは警戒すべき。上司の考えを部下に強要する願望が見え隠れするため。企業はみんなが同じナラティブではないから、別の視点から助け合える。
 ナラティブが同じという前提にすると、相手の意外な言動に際し、「どうして違うんだ」と腹を立ててしまう。一方、互いのナラティブが異なるという前提だと「どんなことが起きているのか」と観察をスタートできる。同じナラティブに生きなくても、ともに仕事はできる

✱✱コラム✱✱
 上司「気軽に話してくれたらいいのに」「困ったことがあればいつでも相談して」
 →物事がうまく運ばないと「どうしてもっと早く話してくれなかったの?」と言いがち
  →どうしてこんなことが起こるのか?

 ➀権威・権力の作用
    そう言われてもなかなかできない。
 ➁わかっているから話せる
    部下には言葉にならないモヤモヤがある。わからないから話せない
 ➂話しても伝わらない諦め
    同じ部署でも各々異なるナラティブで生きていることを理解できないと相手に伝わらない
 ナラティブアプローチ
Ex).医者と患者のコミュニケーション
   →医者が丁寧に説明したり、選択肢を示したりしても患者の訴えとかみ合わない問題
   患者は自分が抱えている苦しさを表現できるものではなく、たとえそれを訴えても伝わらないだろうと考える。話せばわかるというのは幻想であり、話したってわからないのです。
   →他者を交えて対話する。他者がいると、何がわからないのか、わかるから。


◆何に困っているかよくわからない大問題……2on 2で他者の力を借りる
問題解決モード→「対話モード」チェンジするのは大変。何に困っているのかわかっていないから
手っ取り早い解決策で問題を単純化してしまう。大事なのは危機感ややる気をあおることではない。
問題に対し、自分がどう困っているのか、何が嫌なのか、今後どうしていきたいのか。そこに目を向けていくことが現状を変えていく一歩。

 ✿2on2が有効なパターン✿
 ・手上げ制で新規事業開発プロジェクト抜擢された若手の直属上司が兼務に反対して協力的でない
  ・新しい商品を開発しても「本当に売れるの?」と事業部につぶされてしまう
  ・スタートアップ企業と新たな提携をしようとしても、リスクばかり指摘され、話が前に進まない
  ・部下たちが自発的に仕事をしてくれない。自分が考えて動いてくれない
  ・ずっとパフォーマンスの低いメンバーがいるが、何度アドバイスや相談にのってもよくならない
  ・新しい人を採用してもすぐ辞めてしまい、離職率低下に歯止めがかからない
  ・自由闊達に意見が出る部署にしたいのに、全然意見が出てこない
 ・組織診断の結果、「とても状態が悪い」と指摘され、人事部から改善を求められている
 ・実際、チームの雰囲気も暗いが、何をやったらいいかわからない
 ➜具体的にこんな困りごとがあるから、2on2をやってみる

 ✿基本は4人1組✿
 ・問題を抱える当事者が参加メンバーの選定・招集を行う
 ・問題からの距離:A>B>C>D
 ・αチーム(A,B)、βチーム(C,D)に分かれ、二人ずつが向き合う形で座る
 ・【Aさん】自分の困りごとについて会話の口火を切る
・【A,B共通】チームでの会話とβチームからのフィードバックを通してAさんの抱える困りごとを具体化する/βチームが話している間は黙って話を聞く
 ・【Bさん】問題の背景を聞く。「そのとき、どんな気持ちでしたか?」「いつからその問題は起き始めましたか?」
 ・【C,Dさん】αチームで語られている問題が明らかになるよう、チームでの会話を通して間接的なフィードバックを行う/αチームが話している間は黙って話を聞く
 ・一人は外部者の立場を取り、Aさんの問題を掘り下げていくために、欠けている視点がある場合に「私からはAさんの話はこう見えます」と投げかけを行う
・両名は問題解決をしない。NG「どうしたらいいですかね(表面的な問題のアドバイス)」
OK「結局、何が問題なんですかね?(困りごとの掘り下げ)」


セッション 配分
インストラクション 10min.
αチーム 10min.
βチーム 10min.
αチーム 10min.
βチーム 10min.
全員で問題に名前をつける 10min.


 【1ターン目】【Bさん→Aさん】
 ・何に困っているか
 ・どのような場面でその困りごとが起きるか
 ・それが起きるとどんな気持ちになるか
 ・それについて、Aさん自身どう思っているか
 ・周りの人たちはどんなふうに思っていると思うか

 【2ターン目】【Bさん→Aさん】
 ・その問題はいつから、どんなきっかけで生じるようになったか
 ・そんなときによく発生するか
 ・もう一度同じ問題を起こすにはどうしたら?もっと悪くするにはどうすればいいか(反転)
 ・問題について語られてこなかったのはどうしてか
 ・問題に名前をつけるなら、どんなネーミングが考えつくか


 ✿問題解決モードになったら誰かがアイテムをもって知らせる✿
 ※おもちゃのバナナ等、ビジネスシーンで持ってると面白いもの


 ✿反転の問いかけ✿
  反転することで、問題そのものより発生プロセスに目を向ける。自分がその問題とどう関わっているかが見えてくる。
 【問題1】「部下が私の指示に従わないことがある」
 『反転1』「部下があなたの指示にまったく耳を貸さない状態にするには、どんなことができますか?」
 『反転2』新人を上司に従わないよう育て上げるにいは、どんな経験を積ませることが有効でしょうか?

 【問題2】「自分一人で仕事を抱え込み、成果が上がらない」
 『反転1』「他の人があなたの仕事に一切手を出せない状態にするには、どんな工夫ができますか?」
 『反転2』「部下や同僚にも、仕事を抱え込んでもらうには、どんなふうに教えますか?」

 【問題3】「重要懸案事項があるのに、互いに忖度して意見を言わない」
 『反転1』「互いの顔色を気にし合って必要なことを言わないチームになるために、あえてやったほうがいいのはどんなことでしょうか?」
 『反転2』「新人マネジャーに大事な問題をさらに先延ばしにするチームをつくる方法を教えるとしたら、何をどう教えますか?」


 ✿問題(慢性疾患)に名前をつけ、「妖怪探し」をする。問題の外在化✿
  POINT
 ・問題に名前をつける
 ・絵に描いてみる
 ・どんなときにやってくるか
 ・どんなものを食べ物にしているか(忖度、あきらめ、疲れ、焦り等)
 ・どんなときに暴れるか
 ・どんなときに協力してくれるか
 ・妖怪の口ぐせは何か


◆2on 2を実施する際にやってはいけない6つのこと
 ➀2on2を実施する理由が共有されていない
 ➁すぐに問題解決策を言ってはいけない
  →2 on 2の目的は問題に対しての理解を深め、背後の慢性疾患へのセルフケアを確率していくこと
  →解決策を言うことは、それ以上、何が問題なのかを考えることを放棄することだと肝に銘じる
  何か問題が起こると、「なんでこの問題が起きたんだろう?」と問いたくなる→反転で仕組みの悪に気づく
 ➂ぜんぶ周りのせい、他人のせいにしない
  →C,Dさんは当事者Aさんに自分のせいでもあると考えることを促すが、「Aさんにもできることがあると思います」というような、Aさんに非があるような言い方はNG。C,Dさんは一緒に考える仲間であると位置付ける
➃きれいに終わらせようとしない
  →「最初は○○のことが問題だと思っていたけど、そもそも自分が何に困っているかわかっていないことがわかった」程度でもOK。継続していくことが大事
 ➄周りの人たちは自分の話を始めない
 ➅目新しいだけで始めない


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