【特許から見る】アパホテルのチェックイン&チェックアウトシステム
「知財情報を組織の力に®」をモットーに活動している知財情報コンサルタントの野崎です。
新型コロナウイルス感染症が流行してから在宅勤務・テレワーク中心で働いている方も多いかと思うのですが、私は基本的に新橋にあるオフィスに通っています。
とはいえ、社員は私1名、ずっとオフィスで働いていても刺激がないので、たまに働く場所を変えたくなります。
そんな時に見つけたのが、アパホテルの日帰りプラン。最大朝8時から夜19時までのプランがあるのですが、結構便利で結構利用させてもらっています。おそらく昨年20回ぐらいは日帰りプランを利用したのではないでしょうか。
それはさておき、本題に。
本日のタイトルにもありますが、アパホテルに宿泊(正確にいうと泊まってはいないのですが)すると、アプリチェックイン専用機とチェックアウト時に利用するエクスプレスチェックアウトポストが気になります。
というのも、いずれもプレスリリース等で共同研究開発や特許出願に言及しているんです。
チェックインの方はこちら。
チェックインについては、
オムロンと協業開発したとのこと。一方、エクスプレスチェックアウトポストについては、
ということで、特許出願中である点に言及しています。
このアパホテルのチェックイン・チェックアウトシステムに関する特許がどのようなものか調べてみました。
まずは、Google PatentsでAssigneeをアパホテルにして検索してみると1件ヒットしました。
タイトルは「ルームキー回収ボックス及びこれを用いたチェックアウトシステム(Room key recovery box and checkout system using the same)」なので、チェックアウトシステムに関する出願です。
ヒットしたのはWO特許(PCT出願)ですが、Wordlwide application(パテントファミリー・対応特許)を見ると、JPがあります。
内容は変わらないと思いますが、JPのリンクをクリックすると、公報番号はJP2020154435A(特開2020-154435)。
出願日は2019年3月18日なんですが、これは新型コロナウイルス感染症の流行に踏まえて非接触化を図ってこのエクスプレスチェックアウトポストを考えたわけではなく、新型コロナウイルス感染症の前からこのようなシステムを考えていたんですね。
宿泊客にとって、短時間でチェックアウトしたい、わざわざフロントでスタッフと話をせずにサッサとチェックアウトしたいという課題を解決しようとこのエクスプレスチェックアウトポストを考えたと思うのですが、結果的に人と人の接触を減らすという新型コロナウイルス感染症対策にもつながっていたのは偶然の一致とはいえ素晴らしいですね。
さて、アパホテルが出願人の特許は上記の1件しかありませんでした(正確にいうと日本・PCT出願の1ファミリー)。
もう1つのアプリチェックイン専用機ですが、これは協業開発したオムロン名義で出願されていると考えられます。まずはオムロンソーシアルソリューションズ株式会社で検索してみましたが・・・・
ヒットしませんでした。そのため、出願人・権利者(Assignee)をオムロンにして検索してみます。
当たり前ですが、8万件以上ヒットしてしまうので、キーワードで絞り込んでみます。
まずは、チェックイン と ホテル だけでキーワードで絞り込んでみます。すると、1件目に「施設利用管理システム、施設利用管理方法、及びプログラム」という関連する特許が見つかりました。
図面を見ると、アパホテルにおいてあるものとは少し違いますが
全文中には
とあり、アパホテルのアプリでQRコードをかざすとチェックインできるシステムについても含まれていることが分かります。
他の特許を見ても、アパホテルのアプリチェックイン専用機に関する特許は見つかりませんでした。
念のために、上記の特許にはホテルを「宿泊施設」と記載されていたので、ホテルにOR演算で宿泊施設を追加しましたが、結果としては変わりませんでした。
よく利用しているアパホテルにもこのような形で特許出願・権利化されている技術が利用されているというのは、なかなか嬉しいものです。
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