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メギド72のはじまり PS2メギドラル大戦を語る

 メギド72の前身となった作品についてしばしば語られるが、メギド72の元となったといえる作品は複数ある上、タイトルが似通っている。そのため各作品がごっちゃに語られ、話が混線したり、かみ合わないことが少なくない。
 メギド72が三周年を迎えた今、数あるメギド系ゲームの中でメギド72と原点となったいえる作品メギドラル大戦について語ろう。

PS2の時代

 2000年3月4日、PS2が発売された。PSと比べ、格段に描写能力が上がった。カクカクポリゴンからなめらかな3Dのキャラはまさに革命的であった。PS2はPSより開発費が高騰し、参入が少ないのではという話を小耳にはさむこともあったが、それでも日本国内で2925タイトル発売された(PSは3290、どちらもウィキ調べ)。PSの頃からは減ったが開発費があがった程度では止まらない熱がPS2にはあった。その熱気の中で生まれたのがメギドラル大戦である。
 メギドラル大戦は、PS2が生まれた次の年2001年に生まれた。2001年と言えば、デビルメイクライ真三国無双2連邦VSジオンDXなどが発売された。PS2ならではの高速アクション・大量の敵や、今でも続くアーケードの話題作がそん色なく移植されるなどPS2のパワーをまざまざと見せつける名作たちが次から次へと生まれていったのであった。
 メギドラル大戦はというと、クラシックなシミュレーションであった。だが3Dモデルや動作にはかなり力を入れており、PS2ならではの映像美を堪能できた。ファミ通の評価も7・7・7・8とシルバー殿堂入りの30点一歩手前で、手堅く遊べるゲームとなっていた。

ストーリー

 異世界メギドラルでは戦争で勝つこそが至上とされ、メギド達が日々戦争を繰り広げ、版図を書き換えていた。だが長期に渡る戦争でメギドラルは疲弊し有力メギド達は会議の末、休戦を決めた。
 休戦中は戦争で物事を決めることができないため、争議を裁定しメギドラルを支配する王が必要となる。
 どうやって王を決めるか?当然戦争である。
 だが戦争の中、有力メギド達が次々と倒れることがあれば、空白になった地帯を巡り戦いが終わらぬであろう。ゆえにメギドラル中の有力メギド達はヴァイガルドから将を呼び寄せ、そのものに兵を託し戦わせるのが休戦前の最後の戦争ハルマゲドンのならわしであった。
 あなたは勝利者に与えられる財貨、力、または名誉や地位に惹かれ7人のメギド達の一人に呼び寄せられた。

 メギド72と比べると全然違うストーリーであるが、どことなく魔を統べる者たちの戦いを思わせる。この頃はソロモン王という言葉はないものの、メギドラル、メギド、ヴァイガルド等々その後に続く言葉たちは生まれていた。
 この話に出てくる有力メギドたちの頂点に君臨する者たちが、72でも活躍してるアスモデウス等の大罪同盟の面々である(このゲームでは7人と呼ばれる。メギド達は獣から不定形までいるが7人は全員人型。人型からの由来か)。
 当然72とデザインは違う(アスモデウスは色欲の悪魔らしく青少年のなんかに悪そうな格好)し、性格も違う(青少年のなんかに悪そうな口調。だがキレると72っぽい口調になる)。しかしながらリヴァイアサンがヤンキーやベルフェゴールがオッサンという共通部分も見られる。72プレイヤーなら相違点や共通点で楽しめるだろう。

 あらすじに7人のメギドの一人に呼び寄せられたの通り、7つの勢力から1つ選んで物語が始まる。どの勢力でも初見クリアは可能だが、難易度に差が出る。そこについてはユニットについてのとき語ろう。
 選んだあとはチュートリアルとしてメギド諸国連合(有力メギド以外の勢力がハルマゲドンに勝つために一時手を組んだ勢力、トップがアマイモン。まつろわぬ諸王の原形か)と戦う。トップの策のおかげで7人に次ぐ勢力とされているがチュートリアルなので、説明を聞いてちゃんと守ってると特に苦も無く勝ててしまう。ゲームゆえの悲しみである。
 
 このチュートリアルを終えると一気に時と戦況が動き、7人以外の勢力はすべて敗れる。次にどの勢力に攻め込むか。ここから真のメギドラル大戦の物語が始まる。とはいってもナレーション(面の解説や進行の意図についてなど)と選んだ勢力の7人との会話が中心のため色々なキャラが飛び交うような会話はあまりない。それでも選んだ勢力ごとに会話内容はガラリと変わり、世界観に関わる情報や身の上話、王になったら何をするかなど中々読み応えがある。
 筆者のお気に入りはリヴァイアサン。全員とダチ公になって戦乱のねぇ世の中にすると戦争社会を否定することをいいだす。一見アホっぽいがちょっとやそっとの休戦じゃ海が回復せずこのままだと大地が滅びると冷静な見地だったりする。かつて真面目だったのに何故ヤンキーになったのか、ヴァイガルドとの関わりの話は一番好きなところである。

バトル

 クラシックなシミュレーションと書いた通りこの頃はドラフトフォトンバトルではなかった。フォトンスポットを占領し、溜めたフォトンを使ってユニットを召喚する、ファミコンウォーズみたいなゲームだった。
 だが72にみたいなフォトンの取り合い要素がないのかというとそうではない。
 フォトンスポットにはユニットの通常攻撃を強化するアタック、技を強化するスキル、スペシャル(72でいう所の奥義)の溜まりを早くするチャージの3つの種類がある。ステージにもよるが一つ占領するだけで10%~20%ぐらい上がるため、どの種類のスポットから占領するか非常に重要である。
 脳筋系のユニットを多く登録してるからアタックを優先して占領するか、スペシャルが強力なユニット中心の相手だからとにかくスペシャルを取らせないように立ち回るか、そのようなフォトンの奪い合い要素が既にこの頃からあった。

 3Dや動作に力を入れていると最初に書いたが、そこはかなり気合が入っている。3Dマップに3Dキャラの画面であり、マップ待機状態でも獣系なら吠えるようなポーズや、人型なら武器を振り回すなどキャラによって種類が多い。
 戦闘シーンでも気合が入っており、通常攻撃では隊長がまず攻撃を仕掛けてから、後ろに控えているモブ兵たちがワーっと一斉突撃する。この時代にしては動きがかなりなめらかで、効果音の良さも相まって単純に剣を二回振るだけでもかなり気持ちいい出来である。
 色替えのキャラでもちょっとした変化が入っていたりと戦闘モーションのこだわりは強い。そのせいで戦闘シーンが少々長く、中盤あたりからは演出オフが基本になる。スパロボとか演出に力の入れてるゲームの宿命的な悲しみである。
 ちなみに私のお気に入りのモーションはシャックスのスペシャル。この頃はシャックスの原典の剣の達人という要素を抜き出したようで、和風の剣豪キャラだった。素早い踏み込み居合から、座頭市のように刀を逆手に持ち更に一閃する。そしてカチっと鞘に刀が収まると体力が一気に削れる。演出はこれだけオフにせずに毎度見ていた。

ユニット

 色を変えただけ、武器を変えただけのものがいるものの全ユニット数は100と多い。勢力毎の専用ユニットとどこでも使える中立ユニットがおり、ゲームを進めるごとに解禁されていく。召喚登録できるのは15までと少ないが、事前に相手の戦力と地形を見て、戦略を練るには頭を悩ます丁度いい数字である。コストの安いユニットで占領を進め、高いので勝負を決めるのが基本の流れとなるため、どうやって序盤に競り勝ち、中盤を支え、終盤決定打を出すか、ユニット選出をどうするかが最初の戦いとなる。

 ユニットの名前は基本的に悪魔から取られているが、悪魔の意味はメガテンの悪魔ぐらい広く、低コストはピクシーやらドワーフやらといる。高コストになるとスサノオがいたりと、メギドと言えばソロモン72柱と決まってないのが伺える。

 勢力毎の専用ユニットがおり、ここが勢力毎の難易度の差となる。基本は高コスト帯が強いか低コスト帯が強いか、攻めか守りかと得意な部分が違うだけでそれに合った戦術をすればよいのだが、リヴァイアサンだけは水地形にいると強化というユニットばかりである。
 悲しいことに水地形は毎回あるわけではない。そうなると他の中立ユニットと変わらず、リヴァイアサンは半分中立ユニット縛りとなる。すべての地形を水として扱うリヴァイアサン(戦場にいるメギドはフォトンで肉体だけ再現したものという設定なので勢力リーダーでも出せる)は格別の性能をしているが、高コストであるコイツを出せる頃には勝負を決してることも少なくない。ただ中立ユニットが十分強い性能をしているので、理不尽に難しくなることはない。

評価

 3Dモデルは中々良く、動きには躍動感がある。ゲーム性もクラシックなシミュレーションだがゲームバランスは良い。使い勝手の差はあれど7つの陣営から選んで遊べると、ゲーム発売前も発売後もしっかりと評価された。
 だがメギドラル大戦が評判に反してあまり話題にならなかったのには理由があった。発売日が2001年7月19日である。これはファイナルファンタジー10の発売日である。ファイナルファンタジー10は、スクエアがPS時代に極めていった演出能力をPS2でも遺憾なく発揮し、ハイクオリティな映像にボイスまで搭載とPS2の能力をまざまざと見せつけた驚異の一作である。映像美だけにあらず未だファイナルファンタジーシリーズの投票をすれば1位をとるほどで、BGMのひとつ「ザナルカンドにて」は音楽の教科書にも乗ったことがあるといえば、この作品の持つ力はわかってもらえるだろう。
 メギドラル大戦の前評判はよかったものの、ファミ通評価39点とほぼ満点では相手が悪すぎた。

その後

 メギドのはじまりメギドラル大戦は、FFの前に見事爆死した……かのように思えたがワゴンで見かけなかったことを見るに、消化率は良かったようだ。
 据え置きの続編はなかったもののメギドシリーズは携帯機で続く。GBCのメギドサマナーズウォーズ(いわゆるポケモンのフォロワー)、GBAのメギドサマナーズウォーズアドバンス(相変わらずポケモンフォロワーだが戦闘にフォトンを取り合う要素が入った。ただドラフトフォトンというより変則的なジャンケンに近い。結構売り上げが良かったようで村長を主人公にしたスピンオフゲームが出た)、メギドDS(ドラフトフォトン要素があり今と近い)ときて、少し間が開いたがメギド72へ繋がった。
 実はソコソコメギドの世界観を使ったガラケーのゲームがあったそうなのだが、ガラケーのゲームは専門外なのでよくわからない。ただメギド72がスマホで出たのはガラケーメギドとは無縁ではなかろう。

 PS2ブームの中数々のゲームが出て消えていったが、メギドラル大戦はいきなりラスボスと戦うという憂き目にあいながらも、しっかり血を残し現代まで繋いでいった。原点を知るという意味で72プレイヤーは大戦を遊んで欲しいが、72と別物なのでプレイしたところであまりピンと来ないかもしれない。ただチュートリアルをクリアすれば当時からキャラを動かすことに力を入れていたことがわかる。
 そしてそこを理解すればメギド72にしっかりとキャラを動かすことへの情熱が受け継がれていることが伝わるだろう。メギド72の3周年の道のりには20年の前のこだわりがあったのだ。メギド72は2017年12月7日突如生まれたのでなく20年の歳月があったのだ。それをわかってくれれば当時FFの前に涙をのんだ開発者たちの努力も報われるであろう。
 メギド72の誕生日に書き上げたかったがいささか時間がたちすぎてしまった。だがしっかりと祝わせてもらおう。

3周年おめでとう!メギド72!

これにて語りを終わろう。メギド4周年にまた会えることを願って、では!



おまけ

 よくメギド72にはPS2版があることが語られるが当然そんなもの存在しない。信じた人には悪いがコレは単なる与太話である。いわゆる集団幻覚を基にして書いたもの。

 ちなみに前はメギドDSについてかいた。

 幻覚を見る、幻覚を書くという行為は楽しいのでみなも見えた幻覚を文字にすることに果敢にチャレンジしてほしい。自分だけのメギド72過去作を作り出せ!メギド64!メギドSFC!メギドDC!組み合わせは無限大!俺とメギドシリーズで勝負だ!
 ちなみに俺は次はガラケーメギドについて書きたいなぁっと思っている。

 こういうのがあるのでガラケーゲームの知見が溜まればできるかも。もしわれこそはガラケーゲームは青春だぜ、という人がいればぜひ書いたのが見たい。幻覚はみんなでみるとより楽しいからネタ被りでもなんでも待ってるぜ!


 
 

さぽーとすると映画館にいくかいすうが増えます