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俺は映画「カルト」を笑うべきなのか、怖がるべきなのか考えなければならない

 ある映画を見てから「セイッ!」という言葉が頭から離れなくなり、あの映画はホラーの皮を被ったコメディ映画だったのか、そう見せかけた真剣な映画だったのか……俺は悩みとりあえず感じたことを言葉にすることにした。核心までには触れないものの前半から後半近くの内容については触れていく。要注意

 本作は最初ちょっと演技の安定性の欠ける三人の女優がやけに顔の濃い除霊師と共に怪異の起きた家に除霊にいく話から始まる。
 この前半戦は2000年前後ぐらいにやっていたオカルト番組のノリ全開で俺の笑いのツボを突きまくった。特に除霊師は凄くいい声で「セイッ!」といいながら除霊し、あんまりにもわざとらしさにセイというたび俺の笑顔がこぼれてしまうほどだ。
 特に最高なのは最初の大掛かりな除霊だ。除霊師がチャントを唱え続けると女優の一人が倒れる(オカルト特集でよくある展開だ)。当然除霊するためにセイッ!セイッ!そしてなんか食べましたね(除霊行為をする前に肉魚類を食べるととりつかれやすくなる)からのハンバーガー食べました→お肉は食べちゃダメでしょうの一連の流れはあんまりにもバカバカしすぎて下手なコントよりも大笑いだった。
 更に家にいる子供も霊が憑依、階段を後ろを向きながら登っていくが逆再生と思われるキレイで変な登り方で俺の腹筋に更なる衝撃を与えた。
 ラストは暴走した子供を取り押さえながら師匠に電話、ナンデ電話!?という混乱から電話から師匠の「セイッ!」お前もセイッ!かよう!っという驚き共に俺は笑い過ぎてゲホゲホいっていた。恐るべき天丼テクニックである。
 正直ここまで爆笑しっぱなしだったが、テレビではなく映画ということもアリ、テレビにありがちな妙にぼかすような怪異演出ではなく、盛り塩が突然飛び跳ね謎の紋様を描いたり、子供が割れたお皿を吐き出したり力が入った演出に結構感心した。そんな力を入れて作ってるからこその爆笑なのだが、これがガチンコファイトクラブのような大げさにやることで笑いを誘う的な展開なのか、真面目に作った結果先鋭化され笑えるような展開(シリアスな笑い)を作ってしまったのかわからない。
 この最初の除霊までのノリで終われば妙に笑える変な除霊映画として思い出に残ったのであろうが、ココから映画は怪異の力が増す。

 今度は師匠と一緒に除霊なのだが、今度現れてきた存在は謎の黒い影。低予算CGなのだが、長身のぼやけた黒い影は雰囲気と映画のノリとマッチしており中々に不気味。そして最終的には目の飛び出たグロテスクな顔が生えてきて、セイッセイッラッシュが始まってるのに笑えない展開になってくる。怪異は除霊できたかのように見えたが色々あって師匠と弟子は死亡。
 ここから物語の怪異はさらに加速し、俺がこの映画をどう評価すればいいのかわからなくなる原因のネオが登場する……

 ネオは俺様系ホストみたいな除霊師といえばいいだろうか?一人だけアニメみたいなノリの変なセリフ回しだ。良く捉えれば周りとは違う明らかな異質な存在であり、悪く取れば浮いてる一人コントみたいな存在である。
 とにかくネオは二人の除霊師と比べると明らかに強い。そして怪異の仕組みを見破り、力の入ったオカルト番組からカルトという題名にふさわしい世界へと物語を導く。
 ここからは思わず見入ってしまうような不気味なシーンが多くなる。特に家の前に人々が集まり、全身で手招きするようなシーンは固定された視点からそこそこ長い描写に関わらずここから何が起こるのかと釘付けになってしまった。
 であるんだけど、そこからのネオの呪詛返しという低予算CG触手攻撃。影は雰囲気にマッチして好きなんだけど、コレはイマイチだった。シリアスとして見るにはこういうイマイチさや、ネオの変なしゃべりのせいで深く集中することができないところがある。特にこの後物語は更なる深さを見せて、どうなるんだこれはと惹きつける展開をするのだが、やっぱりネオのおかしさは変わらないのだ。

 以上「カルト」について自分の感じたことを言葉にしてみた。前半は笑える、後半は惹きつける要素があるが変な所が気になって集中できない。そういったところだろうか。変な映画、としてまとめてしまうには、惜しいものがある。気合の入った怪異描写にカルトというタイトルの意味がわかる展開に入った時のゾクっとする刺激は中々味わえないものだ。正直他人におすすめといえない映画なのだが、未視聴の人はここまで内容を知ったうえでも見てほしい。そして自分はどう感じたのか感想を書いてほしい所だ。

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