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ここに来た理由

その箱を開けてみることにした。
壺かもしれない。

中身があとどのくらい残っているのか
確認するだけでもいい。

できれば中身を取り出して並べてみたい。
既に全てのものは風化していて、
着色、装飾で原型は分からなくなっているだろう。

それでも、中身を確認してみたくなった。

この、ふと涼しい風が身体を撫でていく季節に。

この箱のような、壺のようなものに
私はいつフタをしたのだろう。
どこにしまっていたのだろう。

開け方さえ分からなくて、
開けられなくなってしまっているかもしれない。
開けられたところで、
納得がいくまで中身を確認するには
時間も場所も足りないだろう。

だけど、せめて、
断片だけでも確認したいと思った。
そして、確認した記録を残したくなった。

それが、私がここに来た理由だ。

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