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こう着てほしい?

「この洋服はどう着れば良いですか?」
店頭にいるとそんな質問はよくあるものです。
もちろん、着こなしに自信をもてない人もたくさんいますし、いて当たり前のことだと思います。
みんながみんな完璧に着こなしたり、アレンジも自由自在にできたらこの商売はあがったりです。

いつもなら「自分の着たいように着れば良いのだ・・」なんていうところですが、洋服をデザインしている身からするとそんな無責任なことは言えません。わたしも分野が変われば逆の立場で同じような質問をしていることでしょう。

「これはこう着てほしい」というのはありませんが、こんな着方もありだとか、こんな合わせもありみたいな提案は常にもっています。
それは、その人その人、またはその年々でも提案は変わっていきます。
一つの洋服に沢山の着こなしが存在するのがカジュアルの面白さです。

わたしは常に言ってきました、
今年しか着れないものは作っていない。コレクションなんて大層なものではなく、あくまでもデイリーウェアとしての1着を提供させて頂いていると。

コレクションと呼ぶブランドはその時々のスタイリングや素材、シルエットのラインに繋がりが必然と生まれる訳で、言いかえれば"今年はこれにこれ、みたいなものがある"。一方でわたしのブランドは一着一着での提案であり、今年のテーマなんてものはある訳がない。
その代わりと言っては何だが、それ以上に奥行きとなるこだわりやストーリーはあるとは自負している。
逆にその決まっていないことへの自由さをより楽しんでもらいたいと思うし、そんな想像広がるデザインをしたいと思っている。

定番の一つに「bio koch shirts」がある。
縦に二列並んだボタンと小ぶりな襟感は料理人のストーリーから生まれたデザインで、奥に薄っすらとコックシャツがイメージできる。

この夏はリネンの半袖をリリースしますが、ボタンのデザイン以上に特徴的なのがボックスシルエット。
これはわたしが大好きなビンテージのレーヨンオープンシャツにみるそれ。
合わせるパンツとインナーのTシャツの着丈一つでバランスは大きく変わります。
もちろんボタンの並びも、着こなしの奥行きを想像させてくれます。
はだけても、しっかり留めても、二つだけ留めても、ずらしてつけても・・その時々で楽しんでほしい。
リネン素材の洗いざらしなら、襟を立てても下ろしても、中途半端な立ち具合だって様になるでしょう。

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