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洋服の接客はいくつまでできる?

今の10代20代の子達は、店員さんというものに「憧れ」みたいなものはまだあるのでしょうか。
また、30代40代の人は同世代の洋服の店員さんをどう見ているのでしょうか?
時々、現役の販売員の方とお話しすると、
「いつまでこの仕事をやるのだろう」
みたいな事を常に考えるらしい。
そして、周りからもそう思われている気がします…と。
そのあたりは今も昔もあまり変わらないようです。


いつでしたか、
洋服屋さんで60代と思われる女性の方に接客をして頂いた。

そのお店はユニセックスなラインで、平日でも3、4人のスタッフが立たれている。店内もメンズレディース垣根のない構成なので、女性の方が男性に接客をされることもあるでしょう。ただ、洋服屋さんとしては意外と少ないシチュエーションかもしれません。

その日、当時40前後のわたしはとても満足いく接客を受けました。
それは丁寧な対応とか、心配りとかそんなレベルのものではありません。
性別も年齢も違うわたしに、最初から最後まで一つの違和感も感じさせることなく接客を終えたのです。
何でもないことに思えますが、とても稀なことです。
彼女は会話の一言目でわたしの感覚や要望を全て見抜いていたようでした。

その女性はとてもさっぱりとしたメンズライクなスタイルで、小物使いがとても素敵な格好良い女性でした。
洋服を売るということに年齢の限界はないと確信した瞬間でもありました。

やはり、歳などは関係なく、本当に好きであればずっと続けられるということです。念を押しますが、好きならばです。
この好きは単に洋服、お店、または運営に関わること、もちろん接客も含め極めたいと思う気持ちがあるかということです。
そして、お客様に少しでも素敵になってもらいたいという想いがあるかどうかです。

それがあれば、世間の目など全く気にすることはありません。
それどころか、歳を重ねることでより素晴らしい仕事にすることもできるということなのです。

わたしはずっとこの業界にいますが、たくさんの知人や友人がこの業界を後にしました。
そのほとんどが30代でした。
色々な事情があり、色々な現実をみた結論かと思います。
しかし、その十年、二十年は誇るべき経験だったに違いありません。
そして、その後に待っている景色こそが壮大なものだと思うのです。

40歳、50歳とずっと接客を続けていかれる人も非常に少ないです。
ただ、現在のアパレル業界を鑑みて思う、
もっと年配のスペシャリスト店員がいなくては駄目だ。
60代、70代の格好良い店員さんに接客してもらいたい人は思った以上に多いと思います。
個人の小さなお店にはカリスマ的な年配の方々はおられます。ただ、
わたしが望むのはもっと一般の方々がたくさん出入りされる大手カジュアルセレクトのようなお店に立って頂きたいのです。

人生100年時代、
60、70代の店員さんがショップ内をせわしく行き来して、40、50代のお客様がその接客を待ち侘びる・・、そんな素敵な光景がいつか当たり前になる日も遠くないかもしれません。

わたしも今年で50歳になります。
裏方の仕事ですが、小さなお店で明日も自分のお店に立ちます。
10年後、あの時のいぶし銀のような接客ができるように。

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