”『かぐや姫の物語』姫が犯した罪と罰”をみて幸福感が止まらない。

高畑勲監督のジブリ作品『かぐや姫』を観て、とてつもない幸福感に満ちている。

昔の小さな幸せを紡ぐ夫婦や自然とのふれあいで遊ぶ子供。

ただ広がる自然と人間が近くもなく遠くもなくただそこに存在する。

それをみただけで理由はわからないが涙が溢れた。

私たちは随分遠くに来てしまった。

色んなことが便利になって、色んなことが楽になった。

得たものに比べて失ったものがあまりにも大きいのだろうか。

今あるもの全てにたいしての感謝の気持ちが溢れてきた。

”感じた”よりも”思い出した”という方が正しいような。

私はきっとこの感覚を知っている。

バッタやウリ坊をみた時の興奮や、

翁とおばあさんの姫を大切に思う気持ち、

満開の桜や、色鮮やかなキレイな着物の美しさ、

かぐや姫の気持ちも、

月からの使者が暖かく残酷なことも、

知っているんだ。

この気持ちに触れる機会が減ってしまったから忘れかけていたのかもしれない。

それは私の中にある、過去の物語のつながりかもしれないし、

私の体や脳に刻み込まれた遺伝子の何かかもしないしわからないけど、

「あ、そうだ私こんなにも幸せだったんじゃないか」と思い出した。

過去に負ってきた傷も、それを乗り越えてきた自分も、出会ってきた全ての人も、

今思えばみんなこんな暖かい気持ちにさせてくれる愛おしい存在だった。

この愛おしいものがあるから、今の自分がこんなにも幸せを感じられるのだ。

”もっとより良い世界になったらいい。

そのために私も何かしなければ。”

と思い続けてきたけれど、

今初めて、世界はもう完璧なのだと思った。

苦しみも、罪も罰も、喜びも、愛も、その全てがあって世界なのかもしれない。

テクノロジーのおかげで私たちが「できること」はたくさん増えた。

でも「人間だから感じる心」をなくしたくないと強く思った。

健康な体があること、愛する人がいること、食べ物があること、家があること、仕事があること、

そしてそれを感じる心があること、それをだれかに伝える手段があること。

私はこんなにも幸せだった。誰かを必死に幸せにしたいと願う前に、自分がもっとこの幸せを十分に感じよう。

そんな気持ちにさせてくれる映画だった。


『今の全ては過去の全て。』

本当にいつも素晴らしい作品と音楽をありがとう。

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