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オンラインカウンセリングとセキュリティ

オンラインカウンセリングの必要性

再度の緊急事態宣言で、再び大きな影響を受けられている方々も多いと推察いたします。

心理領域においても、オンラインでのカウンセリングの継続、再開、あるいは今回新たに検討されている方もいらっしゃるかと思います。

言語的な情報以外も重要な手掛かりとなるカウンセリングにおいて、直接会って実施することが望ましいことには異論はありません。

ただ、クライエントファーストで考えたときに、家を出るのに抵抗がある方、わざわざ出向いてまで受けることにハードルを感じる方も、新型コロナウイルス感染症の影響も考えると今まで以上に多いことが考えられ、個人的にはオンラインカウンセリングもひとつの選択肢としてあるべきだと思っています。

臨床心理士は対面の面談にこだわりがちですが、クライエントの利益に資する可能性がある以上、検討していくべきです。

さらに、新型コロナウイルス感染症の影響が今後落ち着いていったとしても、時代の変化に伴い、オンラインでのカウンセリングを望む方が増えていくのではないかと考えています。

対面のみにこだわる心理職もいて良いと思いますが、時代のニーズに即した変化も、心理職が生き残り、より社会に資するためには必要です。

「対面をオンラインで行おうとする」のではなく、「オンラインカウンセリング」という技法として確立させていくことが大切なのだと思います。

オンラインカウンセリングにおける3つの注意点

前置きが長くなりました。

オンラインカウンセリングの効果エビデンスは海外を中心に徐々に蓄積されてきていますが、情報セキュリティを主とする本稿では置いておきます。

今回は、オンラインカウンセリングを実施するにあたっての情報セキュリティ・個人情報保護における注意点について考えたいと思います。

注意点は、大きく以下の3つです。

①オンラインツールのセキュリティ

②心理職側のセキュリティ

③クライエント側のセキュリティ

以下、ひとつずつ見ていきます。

①オンラインツールのセキュリティ

2020年春の緊急事態宣言のあたりでは、テレワークの推奨とともにZoomの利用が爆発的に増え、そのセキュリティの問題が話題になりました。

使用するツールはいわば「カウンセリングルーム」の代替であり、それがインターネット上にある限りは、リスクも高まりがちです。

しかし、それは当然ツール側も考えていることなので、様々な手法でセキュリティを高める努力がなされています。

個人的な見解としては、Microsoft Teams、Google Meet、Cisco Webexといった有名どころであれば、通常のカウンセリングに大きな支障はないと思っています。

ただし、いずれもビジネスアカウント等、よりセキュリティレベルの高い有料アカウントの利用が前提です。

一般的な比較記事は多数溢れていますが、それぞれのカウンセリングに用いる際の比較については、またいつか別記事で検討したいと思います。

②心理職側のセキュリティ

オンラインカウンセリングのセキュリティというと①のツールに注目しがちですが、当然ながら心理職とクライエント、それぞれの側のセキュリティも重要になってきます。

どちらも共通しているのは、場所です。

音が漏れず、他者に邪魔をされない、落ち着いた場所で一人で行うことが求められます。

インターネット環境も重要で、たとえば公共の無料Wi-Fiの使用などは、盗聴などのリスクも高まります。

不特定多数と共用されず、WPA2あるいはWPA3の暗号化方式がなされているものが望ましいです。

心理職がもし自宅で行う際は、自分の個人情報に気をつけることが大切です。

背景に映り込むものに注意をしつつ、バーチャル背景の利用なども有効です。

ただ、バーチャル背景だとクライエント側が「ちゃんと秘密が守られる場所で行われているのか」と不安になったり、「自宅ですか?」など個人的な質問をされる可能性もあり、可能であれば通常の面接を行っている場所が一番安全かもしれません。

③クライエント側のセキュリティ

心理職側は自分でコントロールがしやすいですが、クライエント側はそうはいきません。

いざ始めてみたら騒がしいカフェの中にいた、ということも実際にある話です。

特にもしグループカウセリングなどを行う場合は、そのような状況ではご参加いただけなくなってしまいます。

個別の場合でも、ご本人が良ければ良いという見方もありますが、危険性をしっかり把握できていなかったり、上述した通りカフェなどの公共のWi-Fiは盗聴される危険性もあり得ます。

そのため、事前に心理職と同じように、ある程度防音性の高い個室で一人で受けていただくことが望ましく、事前にその点を共有しておき、場合によっては、書面に署名していただく必要もあるかもしれません。

以上が、ひとまず最低限の注意点となります。

特に③については、いざ繋いでみたら外を歩きながらだった、ということなどもあり、いざ開始してから「それでは無理です」と伝えるのはクレーム等にも繋がり得ます。

事前にPDF等で注意事項の書面を作成し、共有しておくことが大切です。

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