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「水無月に水入れて肺まで」



拝啓、すずめ園さま


すずめちゃんこんにちわ!雨が多いのは変わりないですが、なんだか蒸し蒸しすることが多くなってきて季節を感じています。湿度の高い夜は苦手だけど、夏を感じる毎日はちょっと好きです、来年になったら忘れちゃうのかな。


そういえば、すずめちゃんみたいなビールをみつけて飲みました🍻

すずめちゃんと出会ってから、“園”をみると“その”と脳が勝手に訳すようになりました🌼サッポロビールソノ、と読んでしまった‥てへへ 爽やかで、夏みたいな味しました🎐

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前回のすずめちゃんの自由律俳句、なんというか、摩訶不思議な雰囲気を感じるものでした。現実っぽい夢を漂っているような感覚‥


・夜景きれいなくせにつまらないビル

簡潔な句だけど詩のような雰囲気があります。流れるような文体の中、夜景の描写が情緒的に落ちていって、流れ星だ、と思いました。🌠


・かろうじての名残りはイチゴスペシャル左利き

前回の中でも特に胸が高鳴った一句です。イチゴスペシャル、左利き、どちらもすずめちゃんの自由律俳句に出てくる、すずめちゃんを表す言葉だと思うのですが、「かろうじての名残り」に続くことで少し危うげな影みたいなものが見えて、胸がキュッとなりました。どんな日でも言葉と共にいて、昔書いた自分の句すら自分を励ましてきたりして、そんな日々の延長線上にあるような、優しい句。


・(青空犬猫ワンピース)カーブミラーの画角でいたい

カッコを使った挑戦的な句ですがすごく馴染んでいる‥と感動しました。カーブミラーの中に溢れる世界をぎゅっと閉じ込めたらそれはもうカーブミラーじゃん‥れっきとした、眩しい夏の情景が詰まった句だ🌻夏が待ち遠しいです


なんでも出来ちゃうすずめちゃんすごいよ‥としか言いようのない回でした‥言葉足らずだ、もっともっと魅力を伝えたい‥

それではわたしも自由律俳句ゆきます🦦

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つまみ食いした飯の落ちる穴

ウズラの卵喰い恐竜の面影

↪︎

つまみ食い、というのをあまり経験したことがない。幼い頃、少食のわたしにとってつまみ食いはもはや“軽めのご飯”だったから、自分の胃のキャパシティを理解した小学生は滅多につまみ食いをしなかった。揚げたてのエビフライや炊き立てのご飯だけ、たまに、「出来立てだから食べな」と母から貰ったけれど、こっそり何かを食べたことはほとんどない。冷蔵庫に入れられたサラダのハムとかは、ちょっとだけつまみ食いしたかもしれない、ほんと、それだけ。

人々がつまみ食いした食べ物が、普通ではない何処かへ消えていたとしたら?物理でなくとも食べ物の幽霊なんか、そうかもしれない。ワクワクするけどなんだかちょっぴり後ろめたいその行為は、普通の食事と同じ穴に落ちるというより、すこし先の、すこし複雑な色の穴なんかに落ちるのではないか。つまみ食いが得意な人のブラックホールには、唐揚げとかポテトサラダとか、豪華なお弁当ができちゃうくらいの食べ物の幽霊たちがいるのかもしれない。

わたしのブラックホールは多分しょぼい、切れ端のハムやキャンディチーズがふわふわと漂っているくらいで。憧れている、つまみ食いに。つまみ食いのできる世界線にわたしが行き着くことができたとき、ちょっぴりほっぺもふくふくとしているだろうか、それでもいいから、いつか穴の中でお弁当ができるくらいまでつまみ食いをしてみたいなあと思う。わたしの将来の夢はこれかもしれない。



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淡白な夜に幽霊カーブミラー

↪︎

前回のすずめちゃんの句に惹かれ、カーブミラーで作ってみました。わたしはカーブミラーをみるとき、自分一人だけ写っていて幽霊みたいだ、と思うことがあります。

焚き火の匂いする服で居たい

灯台光の行方をしらない


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黙ってるね「(わたしたちみたいな雨だ)」

三ツ矢・プールバックから覗き見て夏かな

麦茶と蕎麦湯の交互浴



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水無月かがやく眩しい睫毛

水無月に水入れて肺まで



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ラメ入りの毒を飲んでみる

飲み込めるレベルのロマンスだった

犬小屋淡い啜り泣きの聲

くちびる端っこ歪んでお陀仏



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羽虫掠めて夏だった

ガラクタね合鍵付けていただけの

↪︎





小さすぎる手からこぼれ落ちていったもの

スナツブ・スナップ・あめだまにこ・鍵
 おもちゃのゆびわ・いえなかったバイバイ
ひまわりのたね・九九のぜろのだん
      すずむしのこえ
  ☆と涙ふたつぶ・ ただしいだけの正解ひとつぶ

隙間からぽろぽろと
こぼれたねスナツブたち
五本のゆびのカタチだけ 
いいわけみたいに
わたし 補完している



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交換日記で自由律俳句をすると、回によって“空気”みたいなものが生まれる気がします。その時の心情だったり、お天気とか、ぜんぶが絡まって出来てるから、ナマモノだなあって‥

先日の東京新聞にひだりききクラブを紹介いただいた際、「従来の俳句のように受け取り手のなくても成立する自由律俳句だが、彼女たちは句を交換し合っている」というような講評をいただきました。確かに言われてみればそうだと思って、わたしたちはなんだか特殊な自由律俳句道を歩んでいるのかもしれません。

すずめちゃんといると楽しいことばかりです。文フリは終わったけど、もう次を作りたい気持ちでいっぱい!

あっ、最近お菓子作りがたのしいことを知ったので、今度クッキーでも作りましょう🍪缶ぎゅうぎゅうにしちゃうぞ〜

それではまたね〜すずめちゃん!

にっきより


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🍧新作の通販、はじめました🍧

先日の文学フリマ東京で発売した新作の通販が始まっております!「ひだりききクラブの自由律俳句交換日記傑作選vol.2」をはじめ、すずめ園の旅エッセイ「旅と蓋2」、出雲にっきの短歌とエッセイ「アンダースロウ背中ハートのシイル」も販売開始です!是非、お手にとっていただけますように🌠

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つぎは6月29日 すずめちゃんの番です🌾


『ひだりききクラブ』プロフィール
出雲にっき、すずめ園による自由律俳句ユニット。毎週水曜日にnoteにて自由律俳句の交換日記、「 #ひだりききクラブの自由律俳句交換日記 」を更新している。
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