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「あのころを語りたい。コミックマーケット 1980~90代のオマージュ」

 職業欄に看護師と書くようになってからはや25年。思えば人生の一番長い時間を手術室で過ごしてきたような気がします。仕事して、家に帰って、家事して、疲れて、飲んで寝る。毎日そんな繰り返し。そんな中で、最近気づいたことがあります。この4半世紀、「あのころ」の話を語る相手がずっといなかったことに!職場では仕事の話か、職場内での人間関係の話がほとんど。あとはテレビやドラマ、芸能人の話くらいで、胸を熱くして語れることも相手もいなかったような気がします。いえ、気がするのではなく、そうだったのです。輝いていたあのころ、楽しかったあのころ。あのころの話をするだけで、気分も当時に返ったようにうきうきわくわくしませんか?後ろ向きと責めることなかれ。あのころを語る自分からは若返りホルモン(笑)があふれ出しています(多分)。

「あのころ」とは?

「あのころ」って、どの頃だよ~、というつっこみが聞こえてきそうです。私の言う「あのころ」とは、日本がバブルに沸いていた、1980年~90年代の頃のこと。あの頃のマンガやアニメ、コミックマーケットや、それに紐づくカルチャーについて思い出していきたいと思います。

 ちなみにですが、私が一番はまっていたのは、大学生の頃。1987年頃になります。菊地秀行先生の「魔王伝」でちょろっとサークル参加していました(全く売れませんでしたが、とにかく楽しかったです)。コミケのことは、「イベント」と呼び、そのためだけに服を新調しておりました、暑い夏も汗で塩の吹いた黒の長袖を着て参加(笑)。当時は「夜嬢帝国」高河ゆん先生が大手として活躍なさっていました。壁サークルの本欲しさに、酷暑や極寒もなんのその、長蛇の列に並んだものです。今なんて、スーパーのレジの列にすら我慢が出来ませんのに。「C翼」「星矢」「シュラト」「トルーパー」「北斗の拳」「JUNE」「銀英伝」「栗本薫」「三国志」「ガンダム」「マクロス」「留美子」「ジブリ」「クリーミーマミ」「ミンキーモモ」「光genji」「SMAP」等等。会場で見かけるラムちゃんのコスプレとかやばかったです。今のコスプレイヤーの完成度の高さとは程遠い当時のコスプレですが、痛々しいながらも、ひたすら愛を感じ、今では尊さすら感じます。余談ですが、車の免許をとった弟に本を運ばせていたら、彼もコミケにはまってしまい、なんと「ア〇メ〇ト」に就職してしまいました。情報処理会社からの転職でしたが。ですから、コミケには、企業ブースで参加している始末。なので、コミケが開催される盆正月に、実家へ帰ってきた試しがないという・・・。ただ、本当に幸せな人生を送っているように見えます。少なくとも私にはそう見えます。きっと必然だったのでしょう。さて、4半世紀が経ち、世の中の価値観が変わってしまった今、過去を見つめるということは、一見建設的な行為には見えないでしょう。しかし、今の目線から、過去を振り返ることにより、新しい発見や、自分に対する意味付けが見いだされるかもしれません。安心感やよりどころといったものを得られるのかもしれません。幸せホルモン、セロトニンの分泌が促進される可能性もあります。そして、あの「場」にいたという共有の体験は、確かに私たちの中にあったものとして共通の財産になっているはずです。これから先IT化が進もうともこのような過去の経験の共有は、生身の人間にしか持ちえない宝物だとは思いませんか?

幸せな人生ということ

先に私は看護師と書きました。多くの方々の今際の際や、最後のありようを見てきました。「絶対なんてあり得ない」。ほとんどの事象に対して当てはまる言葉です。ですが、人間、一つだけ信じるに足る、確実なことがあります。それはいずれ死んでいくということです。私は常々死ぬ時に、「自分の人生、まんざら悪くもなかったな」と笑って死んでいけたら上等と考えています。しかし、それすらかなわないのが現在の医療の在り方と言わざるを得ないでしょう。そんな中で、やっぱりいいなあと思うのは、「孤独でない」人生を送られた方の最後です。家族間ですら疎遠となりがちな現代。今は特にコロナ下で人と人の物理的な距離感も広がっています。そんな中で、共通の趣味や話題を持ち、近い心の距離感を持ちながら人と関わって行ける場所。先が見えない中で、ほっと自分に帰っていけるような安心な場所。心近くよりそっていける場所。家族にそれを求められたらよいのでしょうが、今はライフスタイルも様々で、手術の同意書を「家族」に書いてもらえない方も増えています。「おひとりさま」も多く老後を迎えることと思います。私も50歳を過ぎ、人生折り返し地点。階段は、上る時よりも、降りるときの方が難しいです。足を踏み外さないように、ゆっくりと・・・そんなことを考えるようになった時、一緒に手をとりあって降りていける仲間がいたら、この先の人生を楽しく送っていけるのではないかと思います。このnoteが「あのころ」を懐かしむ皆さんの、そんな場所になっていけたらなあと思います。

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