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ある朝、音とイメージと

9時45分。

コメダ珈琲のモーニングに間に合う時間だ。2度寝をしなければ…。4時間半しか寝れてないのはしんどいけど。

せっかく自然に目が覚めたのだから起きよう。でないとまた朝型シフトに失敗する。「出社前の1クッション」。魅力的な言葉が寝ぼけた頭をかすめる。

目覚めたとき、頭の中に聞いたことのない音と見たことのない映像が流れていた。ある朝偶然ぼくのもとに訪れたこの音と映像を、永遠に失ってはもったいないと思う。

しかしこれらをことばで記述することはできない。たしかにあったのに、記述することで外部に固定化できない存在を強く意識する瞬間だ。

目覚めると「彼女にLINE、何を書こうか」とか「英語を聞こう、単語も20個覚えなくちゃ」と言語活動の波にすぐさま支配されそうになる。はかない非言語を長持ちさせようと、それにあらがった。

ぼくたちは、自分に起きたほとんどの現象を言語化できないし、お互いに伝えられない。その厳しい現実を忘れるな。

ぼくが曲を作りたいなどと言いはじめたのは、こんな朝を何度も通ったからだった。

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