帰国中に感じたこと
ラジオで話すと気恥ずかしい部分もあるので、ここに備忘として感じたことを断片的に書く。
幸せを感じられるようになった1年の締めくくりに、ひとりでトルコに行くことができて本当に良かった。
ここ2〜3年、激烈な遠回りをしてあらゆることに悩みきった分のご褒美が今回のひとり旅だったんだなと、カッパドキアの景色を見ながら感傷に浸っていた。
過去回でも少し話したけど、腹落ちして理解する機会が増えたことと生活環境が好転したことが相まって、日々を穏やかに過ごせるようになる、それが幸せだと気づけたが、外的要因で生活の息遣いが荒くなると、また視野が狭まって些細なトキメキすら感じられなくなるんじゃないかと夏頃から少し懸念を抱き、先回りして解決策を思案していた。
先日、久々に会った先輩にそのことを相談してみると、間髪入れずに「そこまで考えが至ってれば大丈夫」とハッキリ断言してくれた。
ずっと蕾のままモヤっとしていた自分自身のポジな部分が、弾けるように咲いた感覚があったし、幸せを感じられるこの花が咲いてる今のうちに、まだ自分の中で飼い慣らしてる蕾を丁寧に咲かせられるような2023年にしたいと機内で揺られながら思った。
2022年の目標に、"トキメキに溺れる"を掲げていた。2021年M-1決勝後のハライチのターンの一幕から引用している。
トキメキを意識することで、日常の何気ない会話や読んだ本、散歩から+αの刺激をもらえるんだなと2022年は気づくことができた。(ひとりディズニーというあの世みたいなデコボコ珍道中も今となっては良い経験だった)
その中でも、やっぱりひとり旅は格別だった。
どこに行ってもトキメキだらけで色はつけられないけど、特にカッパドキアのツアーは最高に刺激的な二日間だった。
人生で初めて乗った気球では、高度3,000フィート(らしい)からの絶景に声を失った。ここ10日間ほどは天候に恵まれず全く飛べてなかったらしく、ほんとラッキーですよとガイドに言われた。常々思うけど、俺は本当に運が良い。
もちろん、イスタンブールの街並みも最高だった。ヨーロッパ然としながらも、どこかアジアのバタくささが混在していて、アジアとヨーロッパの中継地点をしっかり肌で感じることができた。イスタンブールはロマン溢れる坂が多く、散歩好きとしてこの上ないひとときを過ごせた(公共交通機関は空港-ホテル間以外ほぼ使う必要ないくらい歩くほどトキメキに包まれる街だった)。
ただ、いつもそうだが、帰国してまた忙しない日常が始まると、身体中を刺激するあの煌々としたトキメキはすぐになりを潜めてしまう。それほどに多忙はネガで即効性・持続性が強い。
だからこそ、その予防策として、ネガを一瞬で忘れられるくらいポジなトキメキをいくつかストックしておきたいし、その準備に俺は労を厭わない。常にアンテナを貼り続ける。
ときどき思うことがあった。
2022年になってデイキャンプにハマったけれど、なんでこんなに没頭できたのか言語化出来ずにいた。自然に囲まれてリフレッシュできるのもあるが、答えらしきものを帰国中に気がついた。
それは、今の生き方と火を燃やす行為が似てるところに無自覚に面白味を感じてたからかもしれない。
薪は、体験・経験に例えられる。燃えるまでが楽しむまでの準備期間、労力、発生する金銭。燃えてる間がトキメキの時間で、燃え切った後は炭となって自分の思考の型となる。細い薪は燃えやすいけど、その分トキメキは短期的なものかもしれない。ただ、細い薪から薪へ積み重なって火移りすることでトキメキも掛け算され、大きな発見に繋がることもある。
大きく太い薪は燃えて馴染むまでに時間がかかる。そのままでは扱い難いから、横着して細切れに割ったりする。労力を減らすと感動も薄れる。
燃えにくい分、燃え盛った時のトキメキの火力はいわずもがな、炭になっても火の元の大きな軸となる。ひとり旅なんかはまさに大きな薪。燃えるまで費用、時間などの労力はエグかかるけど、トキメキの質量は存外大きく、炭になっても日々のアイデアの源泉となる。炭が自分の中で増え続ければ、次の薪となる興味関心へも着火しやすくなる。新聞紙なんかは瞬間的な着火力こそあるけど、灰の処分が面倒というネガな側面もある。喫煙や飲酒がなんとなくここに分類される。作り手に対してはもちろんリスペクトはあるけれど。
ネガの強さは先述したが、焚き火で例えるなら水がネガに該当するんじゃないだろうか。火の元にひとたび水を少量でもかければ瞬く間に消えてしまい、火種になるはずの薪も一瞬で使い物にならなくなる。繰り返すけど、それくらいネガは即効性も持続性もある。
焚き火では火をポジ、水をネガで例えたけど、場面を変えればここの関係性は逆転する。人も物事も常に多面体であることだって学べる。
時間がかかっても火をじっくり育てるのが好きな性分だからこそ、この考え方にすごく合点がいったし、トキメキの源泉をひとつ掘り当てた気がした。この気づきをもって、自分の中で育ててきた炭もちゃんと火種となって燃え続けているんだなと思えた。
2023年もトキメキにどっぷり溺れたい。
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