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「プライシングの技法」

他社の値段を見てなんとなく同じぐらいに。少し安く。
価格改定後の顧客離脱の数字も、なんとなく許容範囲だろう。と
そういったKKD(勘・経験・度胸)で価格決定をしていませんか?
私はKKD一本足打法でやっておりました。

卵・牛乳の値段から、車、そして生涯で一番高額な買い物になる家の価格。
安いと感じるブランドから、なんでこんなに高いのだろうと感じる商品まで
価格決定のプロセスや、方法論が知りたい

価格決定をする際になんとなく。ではなく数字や戦略的な価格設定をしたい

そう思った時に、価格決定の手法の理解・把握から、プライシング業務導入までを力強くアシストしてくれる一冊です。

理由としては、価格決定の手法にフォーカスするのではなく、価格決定を取り巻く問題点・課題から始まり、次に手法・戦略の紹介。
そして、プライシング(価格決定)業務を会社に導入する手引、最後に実践問題・ケーススタディの紹介と、プライシングに悩む方が、会社に導入したい。実際に戦略的な価格決定をしたくなる。と、感じる作りになっており
また、図表のまとめ方、章立ての仕方から大変読みやすく、一気に読んでしまいます。

面白かった箇所として
・価格決定の最小と最大の考え方
 →最小は原価。最大はお客様が購入しても良いと思える最大額
例えば原価50円の商品があるとして、お客様が払っても良いと思える最大額を200円とする。
値段を100円と設定した場合は、お客様は200円ほどの価値が100円で手に入るので、100円分の顧客価値を感じる。
企業側は原価が50円なので、50円分の企業利益を得られる。

・ブランドと価値の関係
 →商品・サービスの価値には4つの構成要素がある
(例:自動車)
①自己表現価値 ステータスに寄与するもの(高級車は成功者の証)
②情緒的価値  感覚的な効用(走る歓びが感じられる)
③機能的価値  機能(走行性・安定性)
④根源的価値  基本的な役割(乗って移動ができる)
①②は正確な価値を推し量ることが難しい
②③は科学的に価値を算出しやすい
またハイブランドでは①②③④の順番で価値・値段決定の決め手となるので
「自己表現価値」「情緒的価値」で値段設定されている。
一般ブランドでは、④③②①の順番で価値・値段決定の決め手となる。
洗剤や歯磨きなど生活必需品では、「機能的価値」「根源的価値」が価格を左右する。と筆者は述べている。

他にも、24の価格戦略・価格決定方法が掲載されており、面白いなと思ったり、納得できたりしたものが多く掲載されていました。
基本的な事ですが、商品ポートフォリオの中での位置づけ(エントリーモデル、フラグシップモデル)を考えること、原価企画から商品を考えることなど、改めてプライシングの重要性を考えるきっかけになりました。

「プライシングの技法」 下 寛和 237p 4h


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