見出し画像

第3話 あれれ?晴れから曇り

前回のお話


「ほぇ〜」と、ため息をついた私。

午前中のテスト終了後に、先生に呼び出しをくらい、説教されてしまった。
明日、遅刻したらもっとうるさいだろうなぁ。

私は、自分の下駄箱を開けて、靴をとった。
さっきまで、晴れだった空が、曇り空へと変わっていた。

曇り空も好き。
なんか、この星が泣きそうだから。
なんか、寂しいのかな、って思う。
だから、曇り空は、泣きたいんだけど、泣けない、みたいな感情があるような気がするんだ。

でも、雨が降ってこないうちに帰ろ。
と、立ったまま、空を見上げていた。

「また、空見てる」

振り返ると、琴実が傍にいた。なんだか、ちょっと寂しそうな感じがするんだけど・・・

「うん、雨が降りそうだね」

私は、また空を見上げて、つぶやいた。

「ところで、どうしたの、琴実? 」

琴実は、「別に〜」って、石を蹴飛ばしながら、言った。
何かあったんだ、って私は、思った。
でも、それ以上は、聞かない。言いたい時になったら、琴実は言ってくるから。

「それよりさ、ふう。結構、先生に怒られたでしょ? 」
「うん、担任の安部がうるさくて。ほんっと、うざい」
「だって、1時間目のテストは、英語だったからだよ」
「ほんっと、大人って、怒ればいいとか思ってない? 」
「あ〜分かる〜。大人だから、言う事聞けみたいな」

そんな愚痴を言いながら、二人で下校。
毎日の当たり前な風景なんだ、これが。

「じゃあね〜、ふう。明日は遅刻したら駄目だよ〜」
「うん、分かった〜。琴実もバイト頑張ってね〜」

と、駅で別れる。
琴実は、家が近くなんだけど、バイトしてるから、いつも駅で別れる。
私は、バイトとか出来ない。
別に、お母さんに止められてる訳じゃなくて、外に出るのがめんどくさい。
おしゃれがしたいとか思わないし、ジャージ最高だし・・・
夜中にコンビに行って、ポテト買うのが趣味だし・・・

って、私って、暗い。
周りのみんなが、眩しく見えてくる。


あ、ラインーだ。

「帰りに、白菜と椎茸買ってきて。ママより」

今日は、鍋かな? お肉は無いのかな?
私が遊びに行かない日は・・・って、言ってもほとんど真っ直ぐ家に帰るから、ほとんどだけど・・・買い物は、私の仕事。

お母さんは、仕事で帰ってくるのが遅いし、疲れてるから、「買い物する気力が無いわぁ」といつも言ってる。
私は、お母さんとの2人暮らしだから、洗濯とか、洗い物とか、一応やってる。
掃除は苦手だけど・・・

「うん、分かった。気をつけて帰ってきてね」

私は、お母さんにメールを返す。
すると、顔に滴(しずく)が落ちてきた。

「あ、降ってきた」

私は、携帯を持ったまま、空を見上げた。
白い雲が、黒い雲へと変わっていた。
もちろん、傘なんて持ってきてない。
私は、走ることが苦手なので、早歩きで帰ることにした。

あ、スーパーにも寄らなきゃ。って、今思い出した。
私は、帰りの途中にあるスーパーに寄って、白菜と椎茸と、ポテトを買ってしまった。
どうでもいい話なんだけど、中学の時に、プリングル○が大好きで、一時、太ってしまったこともあったので、今は止めている。
見た目は、どうでもいいんだけど、重くなると、動くのがつらくて、つらくて、だから、食べない。
自分の体が重くなって、外に出るのがしんどくて、登校拒否したぐらいだから、私のめんどくさがりも相当なものだと思う。
その時から、お母さんの家事を手伝って、体重が減ったんだっけ。しかも、結構きつい労働なんだけど、誰かがしなくちゃならないから、してる。

スーパーから出ると、雨はますます激しくなってきた。
どうせ濡れるんだから、と思ったから、ゆっくり歩くことにした。急いだって、雨に濡れる量は変わらないような気がするから。

それに、雨が降った時の空も好き。
私に向かって、涙が降ってるみたいな感じがいい。それに、水浴びしてるのも気持ちがいい。

すると、道の真ん中に、あの柴犬が座ってた。

続く


次回のお話


★毎週、土曜日投稿中★

🐶「風の花」バックナンバー🐶
第1話 あなたは柴犬?
第2話 信じてくれないよね?


#柴犬
#小説
#風の花
#風の花  しばし見交わす 恋の実を
#恋愛
#ファンタジー
#暗夜灯
#弧底人生

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?