空港


空港はいつも、お別れの場所。

社会人になって、東京と関西で遠距離恋愛していたとき
いつも羽田行きの飛行機に乗るのがとっても嫌だった。
明日もお休みだったらいいのに。
明日熱を出しても上司は怒らないかな、って。
踏み切る勇気がないくせに、余計な悪知恵が急に働く。

頻繁に行き来してた私たちは、
預け入れ荷物なしなら電車のような身軽さで
離陸20分前にバイバイして
お別れのLINEをする間もなく
手荷物検査やゲートへの猛ダッシュを成し遂げ
いつも終電ならぬ終飛行機に飛び乗っていた。

同じように、週末になって早起きして飛行機に乗って
伊丹空港に着いた昼過ぎには
乗り慣れた小さめの青い車から大好きな笑顔を見つけて
一目散に駆け寄っていたはずなのに、
私の中で空港は、なぜか「お別れの場所」なのだ。


海外駐在をしてから、日本の空港はさらに私にとってエモーショナルな場所になった。
今はもうお別れしてしまった東京での時間を長く共にした彼とも
海外赴任当日のお見送りはとっても寂しかったし

そのあとお互いを支え合えなくなって週末に弾丸帰国をしてお別れしたときも
成田空港に着いたあの何とも言えない切なさと
翌日本当にさよならした空港の出発ゲートの前も。

一時帰国したらいつも久しぶりの日本が愛おしすぎて
日本の空港に到着して日本の匂いに胸がきゅんとしてたのに
なぜか空港にその、幸せな感情が紐づいてくれない。駐在先に戻らなければいけない当日の空港の白黒さが、私を埋め尽くす。

旅行ばかりしてた学生時代は
空港に着いて感じる「旅の始まり感」や
帰国した時の「アットホーム感」を純粋に楽しめていたのに

今はただ、切なさが埋め尽くす。
大人になったのかな。お別れにまだ慣れることが出来ないのかな。
全部を諦めきれない、私の悪い癖が、空港を切ない場所にしちゃうのかな。








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